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性暴力を受けたこどもへの対応のポイント
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変更後 · 1ページ性暴力を受けたこどもへの
対応のポイント
性暴力を受けたこどもへの対応のポイント(2ページ)
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変更後 · 2ページ目 次
研修の概要 ......................................................................................................... 1
1.本研修の目標・対象...................................................................................................... 2
(1)研修の背景 ........................................................................................................... 2
(2)研修の対象 ........................................................................................................... 2
(3)研修の目標 ........................................................................................................... 2
(4)性暴力を受けたこどもへの対応に当たっての考え方 ................................................................ 2
PART 1 こどもを中心とした対応の流れとポイント........................................................... 3
1.タイムライン︓主な対応の流れ ........................................................................................... 4
(1)弁護士の関与 ........................................................................................................ 5
(2)心理職の関与 ........................................................................................................ 5
2.初期対応 .................................................................................................................. 6
(1)性暴力の疑いの発覚時の初期対応 ................................................................................ 6
(2)一時的な接触回避策としての防止措置(こどもの安全確保) .................................................. 7
(3)被害を受けたこどもの保護者への連絡・説明 ....................................................................... 7
3.調査(事実確認) ...................................................................................................... 9
(1)情報及び客観証拠の保全 .......................................................................................... 9
(2)こどもへの聴き取り .................................................................................................... 9
4.調査を踏まえた対応 ..................................................................................................... 10
(1)対応方針の決定 .................................................................................................... 10
(2)こどもへの保護・支援 ................................................................................................ 10
5.弁護士の関わり方におけるポイント ...................................................................................... 11
(1)関係機関等との連携 ............................................................................................... 11
(2)性暴力を受けたこどもの供述の特徴への理解(被害については語られにくい) ................................11
(3)適切な司法手続の実現に向けて .................................................................................. 12
6.心理職の関わり方におけるポイント ...................................................................................... 13
(1)トラウマインフォームドな対応に向けて............................................................................... 13
(2)司法手続のステージに対応した適切なケアの実施................................................................ 13
(3)補足︓性暴力被害によるトラウマ反応 ............................................................................ 15
PART2 地域の関係機関・専門家との連携 ................................................................ 16
1.地域の関係機関・専門家の全体像 .................................................................................... 17
2.連携の進め方 ............................................................................................................ 19
3.各機関との連携時の留意点 ............................................................................................ 20
(1) 警察との連携 ....................................................................................................... 20
(2) 地方公共団体との連携 ............................................................................................ 21
(3) 性暴力被害者支援機関との連携 ................................................................................ 22
性暴力を受けたこどもへの対応のポイント(3ページ)
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変更後 · 3ページ(4) 医療機関との連携 ............................................................................................... 23
4.弁護士と心理職の連携の意義と場面 .................................................................................. 24
まとめ(留意点) ................................................................................................ 25
(1)性暴力を受けたこどもへの対応に当たっての考え方(重要項目) ..............................................26
(2)性暴力の疑いの発覚時の初期対応 ............................................................................... 26
(3)一時的な接触回避策としての防止措置(こどもの安全確保) ................................................. 26
(4)被害を受けたこどもの保護者への連絡・説明 ...................................................................... 26
(5)情報及び客観証拠の保全 ......................................................................................... 26
(6)対応方針の決定 .................................................................................................... 26
(7)こどもへの保護・支援 ................................................................................................ 26
(8)弁護士の関わり方におけるポイント ................................................................................. 27
(9)心理職の関わり方におけるポイント ................................................................................. 27
(10)地域の関係機関・専門家との連携の進め方 ..................................................................... 27
(11)各機関との連携時の留意点(弁護士における連携の留意点) ..............................................27
(12)各機関との連携時の留意点(心理職における連携の留意点) ..............................................28
監修者.......................................................................................................................... 29
参考資料 ....................................................................................................................... 29
性暴力を受けたこどもへの対応のポイント(4ページ)
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変更後 · 4ページⅠ
研修の概要
研修の概要
性暴力を受けたこどもへの対応のポイント(5ページ)
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変更後 · 5ページⅠ
研修の概要
1.本研修の目標・対象
本研修では、こども性暴力防止法に関する対応を行う可能性のある弁護士及び心理職の方や、性暴力の疑いの
発生時に関係機関や専門家と連携して対応する事業者の方を対象に、性暴力を受けたこどもへの対応のポイントにつ
いて学んでいきます。
(1)研修の背景
2026 年(令和 8 年)12 月 25 日に「こども性暴力防止法」が施行されることにより、今後、弁護士・心理職の方
が、性暴力を受けたこどもへの支援に関与する場面が、これまで以上に増えていくことが見込まれます。そのため、こども
の心身の安全を第一に、それぞれの専門性を発揮しながら、適切に対応することが求められます。
(2)研修の対象
本研修は、今後、こども性暴力防止法に関する対応を行う可能性のある
① 弁護士
② 心理職
等を主な対象としています。なお、これらの専門職が、事業者から相談を受けて活動・助言する場合、こども・保護者か
ら相談を受けて活動・助言する場合の双方を想定しています。
また、事業者における管理者や、性暴力の疑いの発生時にこどもへの対応を行う可能性のある方は、関係機関や
専門家と連携した対応を行うに当たって参考にしてください。
(3)研修の目標
本研修の目標は、こどもの心身の安全を第一としながら、弁護士・心理職等が性暴力を受けたこどもへの適切な対
応や助言ができるようになること、こどもへの性暴力に対応する際、地域の関係機関や専門家と適切に連携できるよう
になることです。
(4)性暴力を受けたこどもへの対応に当たっての考え方
最初に、性暴力を受けたこどもへの対応に当たっての考え方について、確認しましょう。
性暴力は、個人の尊厳を著しく傷つける行為です。とりわけ、こどもに対する性暴力は、当事者の心身に対する重大
な加害行為かつ極めて悪質な人権侵害であり、その影響が長期に及び得るものであって、断じて許すことはできません。
このような認識を前提として、事業者は、次の5つの考え方に基づいて、性暴力を受けたこどもへの対応に当たること
が有効と考えられます。
性暴力はいつでもどこでも生じ得るとの意識・理解をもつこと
疑い段階から重く受け止めた対応を行うこと
速やかに警察に通報又は相談をすること
チームによる対応を行うこと
こどもの心身の安全を第一とすること
本研修では「こどもに対する性暴力への対応に当たっての考え方」の詳細には触れませんが、こども家庭庁が別途提
供している解説動画に詳しい説明が掲載されていますので、参照してください。
性暴力を受けたこどもへの対応のポイント(6ページ)
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変更後 · 6ページⅠ PART 1 こどもを中心とした対応の流れとポイント
PART 1
こどもを中心とした対応の流れと
ポイント
性暴力を受けたこどもへの対応のポイント(7ページ)
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変更後 · 7ページⅠ PART 1 こどもを中心とした対応の流れとポイント
ここでは、性暴力を受けたこどもへの対応の流れを確認し、その中で弁護士や心理職が関わる際に留意すべきポイン
トについて学びます。
1.タイムライン︓主な対応の流れ
下図は、事業者において、こどもへの性暴力や不適切な行為の疑いを把握した場合の対応の大まかな流れを示し
たものです。
図︓こども性暴力防止法に基づく安全確保措置のフロー︓性暴力・不適切な行為の疑いの発覚以降
(こども性暴力防止法施行ガイドラインより抜粋)
性暴力・不適切な行為の疑いが把握された時、大きな流れとしては、【初期対応】、【調査】、【調査を踏まえた対応】
の3つの段階を踏みます(上図の最左部)。
【初期対応】では、被害を受けたと思われるこどもの心身の安全を第一に優先します。その上で、対象事業者は、あ
らかじめ策定・周知している報告・対応ルールに基づき、迅速に対応します。具体的には、①発覚時の初期対応、②
一時的な接触回避策としての防止措置、③保護者への連絡・説明です。その際、対象事業者の内部のみで情報を
抱え込むことなく、速やかに警察や所管行政庁等の行政機関に通報・相談することが重要です。
【調査】では、①情報及び客観証拠の保全、②聴き取り、③事実の有無の評価が大きな流れになります。
【調査を踏まえた対応】では、①対応方針の決定、②防止措置、③保護・支援、④その他の関係者への対応・支
援、⑤再発防止策の検討・実行となります。
全体フローのうち、性暴力を受けたこどもへの対応として本研修で取り扱うのは、上図のうち赤枠で囲んだ項目、すな
わち「発覚時の初期対応」、「一時的な接触回避策としての防止措置」、「保護者への連絡・説明」、「情報及び客観
証拠の保全」、「対応方針決定」、「保護・支援」の各項目です。
なお、「聴き取り」等は別の動画で取り扱っています。
性暴力を受けたこどもへの対応のポイント(8ページ)
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変更後 · 8ページⅠ PART 1 こどもを中心とした対応の流れとポイント
(1)弁護士の関与
弁護士が関与する場面には、安全確保・事実確認・関係者対応・再発防止策などへの法的助言・妥当性確認、
関係機関との調整等があります。
(2)心理職の関与
心理職が関与する場面には、安全確保・聴き取り・関係者対応などへの心理面での助言、支援機関との調整等が
あります。
性暴力を受けたこどもへの対応のポイント(9ページ)
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変更後 · 9ページⅠ PART 1 こどもを中心とした対応の流れとポイント
2.初期対応
「初期対応」のフェーズから、性暴力を受けたこどもへの対応についてみていきましょう。
(1)性暴力の疑いの発覚時の初期対応
性暴力の疑いの発覚時の初期対応で重要なのは、被害を受けたこどもを徹底して守り通すことを第一とし、加害行
為を絶対に許さないという姿勢で臨むことです。
初期対応のポイントは、まず被害を受けたこどもや保護者の心情(不安、不信、動揺、自責等)を踏まえ、落ち着
いて対応することです。
そして、「記憶の汚染」を防ぎ、責める印象を与えないために、繰り返し質問や Why 質問を避け、How 質問を中心
にすることが必要です。「記憶の汚染」とは、こどもから何度も話を聴いたり、誘導的に聞いたりすることで、こどもの記憶
が変わってしまうことです。こどもが被害について話し始めたときには、否定・驚愕・追及をしないことが前提です。
「記憶の汚染」とは
○ 性暴力の被害を受けたこどもに、何度も話を聴いたり、誘導的な質問をしたりすることで、周りからの質問や
事後に得た情報を自分の考えや経験と思い込んだり、体験のない被害を実際に体験したと思い込んだりし
て、記憶が変わってしまうこと。
○ 記憶能力が発達段階にある幼少期等において生じやすい。
また、発覚時の初期対応から、安全確保へと即座につなげる必要があります。詳しくは、動画「こどもへの聴き取りに
関する留意点」を参照してください。
発覚時の初期対応の例として、こどもから被害を打ち明けられた場合には、下記等が重要です。
発覚時の初期対応の例
こどもから被害を打ち明けられた場合
○ こどもが自発的に打ち明けた被害の内容の聴き取りに留め、それ以上は積極的に聴き取ろうとしない。
○ 必要最小限の範囲で聴き取りを行う(「誰が」、「どうした」(疑い)で十分)。
○ 同じ話を他の者から繰り返し聞かれることは、被害を受けたこどもの心身に無用な負担をかけることになるた
め、最大限避ける。
○ 「話してくれてありがとう」と伝えるとともに、こどもが自分を責めているときには、「あなたは悪くない」、「あなたに
落ち度も責任もない」と伝える。
今後、連絡が必要となる機関について、こどもの気持ちを聴きつつ、丁寧に説明します。被害を受けたこどもに治療が
必要な外傷がある場合、妊娠又は性感染症の可能性がある場合、薬物を使用されたおそれがある場合等には、警
察や支援機関と連携して医療機関に速やかに受診させる必要があります。
犯罪であることが明らかである、またはその疑いがある場合には、二次被害、「記憶の汚染」の防止等の観点から、こ
どもへの聴き取りは最小限にとどめ、速やかに警察に通報又は相談することを徹底します。
警察に通報するか判断に迷う場合にも、そうした状況にあることを含めて、今後の対応について警察に相談すること
性暴力を受けたこどもへの対応のポイント(10ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 10ページⅠ PART 1 こどもを中心とした対応の流れとポイント
を第一に検討します。
所管行政庁等への連絡については、警察への相談等と並行し、早期から所管行政庁等の行政機関に相談します。
調査に当たっては、警察の助言を踏まえて、所管行政庁等の行政機関とも、可能な限り一体的に調査を行います。
児童福祉法等においては、保育所・児童養護施設等に入所するこども等に対する性的虐待(の疑い)を発見し
た者は、速やかに都道府県又は市町村に通報しなければならないとされていることにも留意します。
こどもの心情に配慮しながら、こどもの不安や疑問には誠実に答えて、情報を整理し、提供することが大切です。
こどもの心情に配慮しながら、情報を提供することが大切
(2)一時的な接触回避策としての防止措置(こどもの安全確保)
一時的な接触回避策としての防止措置(こどもの安全確保)について、みていきます。
こどもやその保護者から、特定の従事者による性暴力被害の申告があった場合には、事実確認と並行して、一時的
な接触回避策として、こども性暴力防止法に基づく防止措置を講じる必要があります。
まずは、こどもと加害が疑われる者とを分離し、接触を遮断します。分離方針としては、加害が疑われる者をその環
境から遠ざけることが望ましいです。例えば、こどもと接触しない事務作業に従事させ、こどもとの接触を禁止したり、自
宅待機・自宅勤務とするなどです。
具体的にどのような分離方法をとるかは、こどもの心身の状況やこどもや保護者の意思を確認した上で決定します。
例えば、保護者と連携して、施設・事業所へ通うこどもの道中の見守りを行うことを検討しましょう。
また、こどもや保護者が強い不安を感じている場合には、自宅待機を守っているか確認するなど、加害が疑われる者
の居場所を事業者側が把握することも考えられます。
ここでは、「こどもが安心できる大人」が対応する状況を確保することがポイントです。
(3)被害を受けたこどもの保護者への連絡・説明
被害を受けたこどもの保護者への連絡・説明についてです。性暴力の疑いについて、被害を受けたこどもの保護者に
速やかにその情報を連絡することが望まれます。ただし、保護者に性暴力の疑いがあるなどの特段の事情がある場合は
除きます。
その日は、保護者に迎えに来てもらうか、自宅までこどもを送り、確実に保護者につなぐようにしましょう。なお、この
際、保護者に連絡する必要性については、こどもに十分に説明しましょう。
事実確認が十分にできておらず、対応方針が決まっていない時点であっても、その時点で把握していることを丁寧に
説明しましょう。説明が遅れると、隠ぺいしていた、放置していたと疑われるリスクがあります。その後のこどもへの対応にお
いては、保護者との連携が非常に重要です。
こどもを守ることを最優先に行動する姿勢を、真摯に、強く表明しましょう。保護者への説明のポイントは、動揺に共
感すること、事実のみを伝えること、こどもを責めたり疑ったりしないよう伝えることです。
また、保護者の怒り・不安は自然な反応であることを伝えたり、こどもには被害について誘導的に聞かないことや、こど
もが話したことは記録をとること、こどもが話してこない限り出来事にはふれないようにすることを助言しましょう。
性暴力を受けたこどもへの対応のポイント(11ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 11ページⅠ PART 1 こどもを中心とした対応の流れとポイント
こどもの記憶は汚染されやすいため、専門家ではない人が聴き取りを行ってしまうことで記憶の汚染が生じると、司法
手続において信用性のある証拠として採用されなくなる可能性があります。詳しくは、別の動画「こどもへの聴き取りに関
する留意点」を参照ください。
保護者に対して説明するべき事項は次の通りです。
保護者に対して説明するべき事項
○ 事業者の今後の対応姿勢・方針、
○ 被害の状況
○ 警察等との連携
○ こどもへの接し方
○ 連絡窓口
詳細は、こども家庭庁の「教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に
促進するための指針」(略称︓横断指針)に記載されていますので、参照してください。
性暴力を受けたこどもへの対応のポイント(12ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 12ページⅠ PART 1 こどもを中心とした対応の流れとポイント
3.調査(事実確認)
「調査(事実確認)」のフェーズでの性暴力を受けたこどもへの対応についてみていきましょう。
(1)情報及び客観証拠の保全
情報及び客観証拠として、次のようなものを適切に保全することが有効です。その際、証拠に接する者は可能な限り
限定し、誰がいつ証拠の管理・閲覧等を行ったか記録しておくことが重要です。
客観証拠の例
○ 施設・事業所内の防犯カメラ、写真・録音等の直接的な証拠
○ SNS の投稿やメッセージアプリ、メールのやり取り
○ 服務上の記録等
○ こどもへの何らかの性暴力が行われた場面や、行動・行為の直接目撃情報の記録
○ 性暴力に使用されたものや、被害を受けたこどもの衣服等
(2)こどもへの聴き取り
次に、こどもへの聴き取りについてです。
事実確認のためのこどもへの聴き取りの基本原則は、被害を受けたこどもの「記憶の汚染」を防ぎ、二次被害を生じ
させず、かつ適切な司法手続につなげるように努めることです。
詳しくは、別の動画「こどもへの聴き取りに関する留意点」で学ぶことができますので、参照してください。
性暴力を受けたこどもへの対応のポイント(13ページ)
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変更後 · 13ページⅠ PART 1 こどもを中心とした対応の流れとポイント
4.調査を踏まえた対応
「調査を踏まえた対応」のフェーズでの、性暴力を受けたこどもへの対応についてみていきましょう。
(1)対応方針の決定
対応方針については、事業者内の対応チームにおいて、性暴力を受けたこどもの心身の安全を第一とする観点から
決定します。その際、事実が確定していない場合にも、ケアを実施することが重要です。
対応方針は、性暴力を受けたこどもがそれまでの日常を取り戻すことを目標に、検討・決定することになります。その
際には、性暴力を受けたこどもとその保護者の意思や意向を尊重して決めることが重要です。こどもと保護者の意見が
分かれた場合には、こどもと保護者によく話し合ってもらうことが大切です。こどもの意思を尊重することが大切であり、こど
もの回復にもつながることを、保護者と共有しましょう。
なお、よほど危険・理不尽であるケース以外は、こどもの意見を尊重することが基本です。また、二次被害を防ぐため
に、人権やプライバシーを守ることも重要です。
こどもと保護者の意思・意向を尊重しながら、
こどもの日常を取り戻すことを目標に、対応方針を検討・決定
(2)こどもへの保護・支援
こどもへの保護・支援に際し、気をつけるべきポイントを紹介します。
まず、日常の回復を目指すことです。こどもの「日常の回復」を目標に、どのような状況でこどもが不安に感じるか、そう
した状況に置かれていないかを把握するとともに、安心感を高める関わりを行います。
次に、トラウマ(心的外傷)に配慮した関わりをすることです。性暴力被害がこどもにもたらす複雑な影響(心身へ
の影響、トラウマ症状等)について理解した上で、被害を受けたこどもに変化がないか、様子を見守ります。例えば、性
被害を受けたこどもは、自責感から、話したことを後悔したり、加害者に申し訳ないと思って会おうとしたりすることがあり
ます。
さらに、支援ニーズに沿って対応することも重要です。支援ニーズはないか定期的に確認しつつ寄り添い、被害を受
けたこどもが話したいことがあれば傾聴します。そして、支援ニーズが確認できれば、具体的な支援などにつなげます。あ
わせて、保護者が安心感を持てるよう支援することも重要です。
被害を受けたこどもやその保護者に対し、支援機関等に関する情報を提供することも求められます。紹介する支援
機関等としては、例えば、性暴力被害者支援機関、警察、地方公共団体、医療機関、弁護士などが挙げられます。
こどもや保護者が、支援機関等に相談することをためらう場合には、支援機関等が守秘義務を負っていることや、再被
害や被害の拡大を防ぐ必要があることについて説明するなどして、根気よく説得しましょう。
傷ついたこどもの気持ちに寄り添い、見守り、
ニーズに応じた心身のケアにつなげることで、こどもが日常を取り戻せるように努める
性暴力を受けたこどもへの対応のポイント(14ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 14ページⅠ PART 1 こどもを中心とした対応の流れとポイント
5.弁護士の関わり方におけるポイント
被害を受けたこどもへの対応に、弁護士がどのように関わるか、関わり方のポイントについてみていきましょう。
(1)関係機関等との連携
性暴力事案においては、関係機関等と連携して対応に当たることが重要です。
被害を受けたこどもの保護・支援に当たっては、より実効的な対応ができるよう、事業者の管轄機関(地方公共団
体、教育委員会、業界団体等)のみならず、関係機関、専門機関(警察、性暴力被害者支援機関、医療機関
等)との適切な連携が必要と考えられます。
性暴力被害者支援機関の例
○ 性暴力被害者支援機関(性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター、犯罪被害者等早
期援助団体等)では、研修を受けた相談員・支援員が、相談を受けながら必要な情報や支援を提供して
います。
関係機関との連携は、弁護士の重要なミッションです。弁護士と関係機関等との連携についての詳細は、PART 2
を参照してください。
弁護士は、こどもの心身の安全確保を第一に、関係機関や専門機関等と
適宜連携しながら対応したり、適切に連携できるよう事業者に助言したりする
(2)性暴力を受けたこどもの供述の特徴への理解(被害については語られにくい)
性暴力を受けたこどもの供述の特徴について理解しておくことも重要です。性暴力被害については容易には語られに
くいことに留意しておく必要があります。
性暴力被害を思い出したくない、誰にも知られたくない等の心理から、性暴力を受けたこどもにとって、被害を打ち明
けることが困難なケースがあります。少しだけ打ち明けてそれ以上は黙ったり、日常生活の中で突然打ち明けたりするこ
ともあります。
また、被害を受けたこどもが、被害による混乱や葛藤を経て、被害を打ち明けるに至るまでには、かなりの時間を要す
ることがあります。
被害を打ち明けた場合に、相手が批判をせずに受け止めてくれるかについて、日常の会話の中で探るような場合が
あります。
こどもは、発達の段階や特性、受けた被害の内容や相手が信頼できるかどうか、聴き取りの際の表現の仕方や質問
のされ方などによって、供述内容が変わることもあります。それによって責められたり、不利益な取扱いを受けたりすること
がないことを伝え、安心して話せるようにしましょう。
性暴力を受けたこどもへの対応のポイント(15ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 15ページⅠ PART 1 こどもを中心とした対応の流れとポイント
発達の段階や障害の状態等により、受けた行為が性暴力かどうかを判断する能力を十分に身に付けていないこども
は、性暴力被害を認識できないことがあります。さらに、障害があるこどもなどで、自らを介助・支援する支援者が加害
者の場合、支援者との関係性が崩れると生活に支障をきたすことを恐れ、打ち明けられないことがあります。
弁護士は、「記憶の汚染」の防止等の観点から速やかに警察に通報又は相談を行うことを前提として、こどもの供述
の一部が客観証拠と一致しなかったり、こどもの供述の一部が変遷したりするなどしても、供述の信用性を過小評価す
ることなく、性暴力を受けたこどもの供述の心理学的特徴をふまえて支援する必要があります。
弁護士は、性暴力を受けたこどもの供述の心理学的特徴をふまえて支援する必要がある
(3)適切な司法手続の実現に向けて
性暴力事案には、その後の司法手続に適切につなげることを念頭に対応をする必要があります。司法手続に適切に
つなげていくためには、保護者や従事者の行動により、こどもの供述の信用性を低下させることは避けなければなりませ
ん。
まず、誘導的に、繰り返しこどもに聴いてしまう行動です。誘導的な質問が繰り返しなされることで、こどもの記憶その
ものが変化してしまう「記憶の汚染」が生じるリスクがあります。
次に、こどもに聴き取ったのに、適切な記録を残していないことです。こどもが話した言葉は、そのままの言葉でメモされ
ていなければ、聴き取り者の質問内容に、誘導的な質問があったと疑われるおそれがあります。聴き取りが行われた日
時、場所、状況、内容等が適切に記録されていない場合、証拠の信用性が低下することになります。
弁護士は、保護者や従事者が繰り返しの聴き取りや誘導的な聴き取りを行うことで、
こどもの供述の信用性を低下させないように注意喚起や指導を行うことが必要
性暴力を受けたこどもへの対応のポイント(16ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 16ページⅠ PART 1 こどもを中心とした対応の流れとポイント
6.心理職の関わり方におけるポイント
被害を受けたこどもへの対応に、心理職がどのように関わるか、関わり方のポイントについてみていきましょう。
(1)トラウマインフォームドな対応に向けて
性暴力を受けたこどもに接する関係者は、トラウマに関する知識を踏まえたトラウマインフォームドな対応が望まれま
す。
性暴力は他の暴力と比べて、トラウマになりやすいと言われています。性暴力を受けたこどもは、その後の人生の過程
で、過去をなかったことにできない悔しさ、汚れてしまったかのような自分に対する絶望感、自分に起きたことを誰にも話
せない苦痛などを抱える状況がみられます。長期にわたって、被害を受けた自分を責めて苦しむこどもも多くいます。性
被害を受けたこどもに対しては、トラウマインフォームドな対応が基本となります。
こどもの言動や状態を、トラウマの視点から周囲が理解することで、こどもに対して適切な対応を行うことができる可能
性が高まります。
心理職は、性暴力を受けたこどもに接する関係者に対し、トラウマ反応や
トラウマインフォームドケアについての周知を図り、関係者が適切に対応を行えるように支援
(2)司法手続のステージに対応した適切なケアの実施
こどもに対しては、司法面接前、司法面接から裁判まで、裁判後などのステージ別に、慎重に検討しながら、適切な
心のケアを行います。
被害を受けたこどもは、不安や恐れ、自責感、恥の気持ち、悔しさ、絶望感などに苦しむ状況におかれます。専門家
による適切なケアなどの支援を中長期的に行うことで、このような状態を緩和できるケースもみられます。心理職が行っ
たケアや発言の内容、それに対するこどもの反応は、正確に記録をとっておきます。
司法面接前は、情緒安定の支援を重視し、こどもの状態を落ち着かせることを優先に、リラクゼーションやグラウンディ
ング(※1)の練習などを行います。また、司法面接前には、こどもから被害の内容を聴き出さないようにします。
司法面接から裁判までの間は、裁判が終わるまでは特にこどもが不安定になりやすいため、安全感の回復を図る支
援を中心に行います。また、司法面接前から引き続き、こどもの感情の調整を図る支援も行います。場合によっては、ト
ラウマ焦点化認知行動療法(TF-CBT)(※2)などのトラウマケアの実施も検討します。トラウマ焦点化認知行
動療法については、専門家と連携しながら実施します。
裁判後も、こどもの状態を適切にアセスメントしながら、長期的に関わりをもって心理的なケアを継続します。必要に
応じて、トラウマ焦点化認知行動療法(TF-CBT)などのトラウマケアの実施も検討します。
※1 グラウンディング︓「今ここ」に意識を向け心を落ち着かせる方法のこと。
※2 トラウマ焦点化認知行動療法(TF-CBT)︓事件や虐待などによって、心に傷を受けたこどもを対象にした、
構造化された心理療法プログラムのこと。
性暴力を受けたこどもへの対応のポイント(17ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 17ページⅠ PART 1 こどもを中心とした対応の流れとポイント
心理職は、司法手続のステージとこどもの状況に応じた適切なケアを検討・実施する
性暴力を受けたこどもへの対応のポイント(18ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 18ページⅠ PART 1 こどもを中心とした対応の流れとポイント
(3)補足︓性暴力被害によるトラウマ反応
性暴力被害によるトラウマ反応について補足します。
性被害を受けたこどもに対しては、トラウマインフォームドな対応が基本です。トラウマについて知り、配慮することが前
提となります。
言葉にすることが難しいこどもたちは、事件後の自身の変化を周囲にうまく伝えられません。傷ついた出来事の後に
は、腹痛、下痢、便秘、生理不順、頭痛、食欲不振、過食、過呼吸、不眠等の身体反応が出現しやすいです。ま
た、性暴力により、本来持っていた力が削がれることで、消極的、悲観的になり、生活に支障が出ることがあります。性
暴力被害の一般的なトラウマ反応には、表にあるように身体反応、情緒的反応、行動での反応、思考の反応、
PTSD 症状があります。
このようなトラウマ反応について周囲が理解することで、性暴力に気付き、適切な対応を行うことができる可能性が高
まります。
表︓性暴力被害におけるトラウマ対応
(出典︓NPO 法人性暴力被害者支援センター・ひょうご「学校で性暴力がおこったら~被害
・加害児が同じ学校に在籍している場合の危機対応手引き」をもとに一部加筆等を行った。)
性暴力を受けたこどもへの対応のポイント(19ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 19ページⅠ PART 2 地域の関係機関・専門家との連携
PART2
地域の関係機関・専門家との
連携
性暴力を受けたこどもへの対応のポイント(20ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 20ページⅠ PART 2 地域の関係機関・専門家との連携
ここでは、性暴力を受けたこどもへの対応に際して、地域の関係機関や専門家との連携の重要性とポイントについて
学びます。
1.地域の関係機関・専門家の全体像
こどもへの性暴力事案への対応では、様々な関係機関・専門家と連携することが考えられます。性暴力事案への対
応に当たり、事業者が連携する相手としては、性暴力被害者支援機関、医療機関、警察、弁護士、地方公共団体、
臨床心理士会・公認心理師会などがあります。
性暴力被害者支援機関
性暴力被害者支援機関では、被害者の心身の負担を軽減し、その回復を図るため、医療機関への同行支援や
紹介、警察への同行支援等、被害直後からの必要な支援を提供しています。性犯罪・性暴力被害者のためのワンス
トップ支援センターや犯罪被害者支援センターは各都道府県にあります。支援内容の詳細については、各センターのホ
ームページを参照してください。
医療機関
被害を受けたこどもに治療が必要な外傷がある場合、妊娠又は性感染症の可能性がある場合や薬物を使用され
たおそれがある場合等には、警察や性暴力被害者支援機関などと連携して、治療および証拠保全のため、医療機関
を受診することが必要になります。
警察
被害届を出すか決まっていなくても、警察への相談は可能です。警察では被害を受けたこどもの心情に十分配慮し
て対応します。
弁護士
被害を受けたこどもの権利を守るため、早期に弁護士のサポートを求めることも有効です。また、この分野に詳しい弁
護士を探したい場合には、日本司法支援センター(法テラス)や当該地域の弁護士会に相談して、紹介してもらうこ
とも有効です。
地方公共団体
犯罪被害者等に係る「総合的対応窓口」において、性暴力を含めた相談・問い合わせを受け付け、必要に応じ、
関係部局や関係機関・団体に情報提供・橋渡しなどを行っています。なお、性的虐待を受けたと思われるこどもを発見
した者は、速やかに、地方公共団体に通告する義務があります。
性暴力を受けたこどもへの対応のポイント(21ページ)
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変更後 · 21ページⅠ PART 2 地域の関係機関・専門家との連携
臨床心理士会・公認心理師会
最後に、臨床心理士会・公認心理師会は、各都道府県に設置されています。各都道府県の臨床心理士会、公
認心理師会の中には、被害者支援委員会が設置され、各種の助言や、心理職の派遣調整を行っている団体もあり
ます。
事業者は、日頃から、事案発生時に連携できる関係機関や専門家をリストアップしておきましょう。その上で、必要
な際に支援を求めることができる関係性を構築しておくことが望まれます。
表︓関係機関・専門家等の例及びそれぞれの支援内容
性暴力を受けたこどもへの対応のポイント(22ページ)
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変更後 · 22ページⅠ PART 2 地域の関係機関・専門家との連携
2.連携の進め方
次に、連携の進め方をみていきます。
事業者と関係機関との連携は、こどもへの対応の流れ(タイムライン)に沿って行われます。各機関の役割と連携の
タイミングを整理し、支援が補完しあう体制づくりが重要となります。
事業者と協働する弁護士や心理職には、こどもへの対応の流れに沿って、警察や行政機関等の各機関と連携・協
働するなど、事業者が連携・協働できるよう助言することが求められます。
図︓こども性暴力防止法に基づく安全確保措置のフロー︓性暴力・不適切な行為の疑いの発覚以降
(こども性暴力防止法施行ガイドラインより抜粋)
事業者と協働する弁護士や心理職には、こどもへの対応の流れに沿って、
警察や行政機関等の各機関と連携・協働したり、助言することが求められる
性暴力を受けたこどもへの対応のポイント(23ページ)
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3.各機関との連携時の留意点
各機関との連携時の留意点についてみていきましょう。
(1)警察との連携
警察との連携は、性暴力の疑いが発覚した直後から始まります。
弁護士と警察との連携
弁護士と警察との連携内容は、捜査協力、こどもの安全確保や事業者の適切な対応に資する情報の共有等にな
ります。
(留意点)
弁護士としては、警察に対して、被害者や保護者の現在の状況(精神的な状況や体調等)、事業者側
の対応状況、弁護士が入手した被疑者の情報(捜査につながるヒント等)などの情報を、把握している範
囲で伝えておくようにします。
逆に、警察からは、被疑者の供述情報、立件の見通し、被害者の規模の見通しなどの情報を、可能な範
囲で入手するように努めます。
特に事業者の立場に立つ弁護士にとっては、捜査の進行方法と事業者側でのヒアリング予定の調整を速や
かに行う必要があります。
警察が教えてくれる情報量は、事業者代理人よりも被害者代理人の方が多いと思われます。被害者の保
護者に対して個別に代理人を付けることを勧めることも考えられます。
心理職と警察との連携
心理職と警察との連携内容は、被害を受けたこどもの心理的ケア、保護者支援での協働等になります。
(留意点)
必要に応じて、心理的観点から配慮してほしいことを伝えます。また、警察との連携に精通している性暴力
被害者支援機関等の機関と連携することも有効です。
被害を受けたこどもを担当する警察の心理職と連携します。
表︓弁護士、心理職と警察との連携
性暴力を受けたこどもへの対応のポイント(24ページ)
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(2)地方公共団体との連携
地方公共団体との連携は、性暴力の疑いが発覚した直後から始まります。
地方公共団体には、こども家庭センターなど、こどもの福祉を担当するセクションがあり、こどもに関する相談に乗ってく
れることがあります。なお、機関・団体により職員配置や支援内容、弁護士や心理職との協力状況が異なるため、事
前に情報を入手しておくことが望ましいです。
弁護士と地方公共団体との連携
弁護士と地方公共団体との連携内容は機関・団体により異なりますが、調査協力、こどもの安全確保や事業者の
適切な対応に資する情報の共有、被害を受けたこどもへの支援情報の共有等が考えられます。
(留意点)
被害を受けたこどもとその保護者に対し、地方公共団体の支援メニューを伝えるようにします。また、地方公
共団体の支援メニューについては性暴力被害者支援機関が詳しいため、支援機関との連携も有効です。
連携に際して、地方公共団体に対し開示する情報の範囲については、保護者の了解を得ておくことが重要
です。
心理職と地方公共団体との連携
心理職と地方公共団体との連携内容は、保護者やこども本人の同意を取った上での心理アセスメントの共有、こど
もへのケアにおける協働等になります。
(留意点)
心理職は、連携する地方公共団体の組織や役割分担、配置職種などを事前に確認し、どの職員を相談
窓口にすればよいか把握することが重要です。
被害を受けたこどもを担当する心理職がいれば、連携・分担してこどものケアを進めるようにします。
表︓弁護士、心理職と地方公共団体との連携
性暴力を受けたこどもへの対応のポイント(25ページ)
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変更後 · 25ページⅠ PART 2 地域の関係機関・専門家との連携
(3)性暴力被害者支援機関との連携
性暴力被害を受けたこどもや保護者に適切な支援を提供するためには、地域の性暴力被害者支援機関との連携
が有効です。性暴力の疑い発覚後、早めに連絡することが望ましいです。
なお、機関により支援内容が異なるため、平時から意識して情報を入手しておくことが望ましいです。特にこども・保
護者から相談を受け、代理人として活動する場合には、弁護士自身が、どの支援機関が被害者にとってより適切か等
を、支援内容を踏まえて検討し、優先順位をつけて連絡をとることが必要となる点にご留意ください。
弁護士と性暴力被害者支援機関との連携
弁護士と性暴力被害者支援機関との連携内容は、被害を受けたこどもを守るための方針・方法に関する意見交
換・情報共有等になります。
(留意点)
弁護士と性暴力被害者支援機関は守秘義務の範囲が概ね類似しているため、被害を受けたこどもとその
保護者から両者がそれぞれ了解を得た上で、極力情報を共有して対応するように努めます。
支援機関の規模、支援内容には地域差もあるため、地域の状況に応じた連携方法を検討します。
心理職と性暴力被害者支援機関との連携
心理職と性暴力被害者支援機関との連携内容は、こどもの心理的負担の軽減(こどものケアにおける協働)等に
なります。
(留意点)
性暴力被害者支援機関に配置されている職員や、被害者支援の内容を事前に把握し、どのような連携が
被害を受けたこども本人や保護者にとって有益かを検討した上で、丁寧に仲介することが求められます。
性暴力被害者支援機関の心理職と共同で対応する場合には、役割分担を明確にします。
表︓弁護士、心理職と性暴力被害者支援機関との連携
性暴力を受けたこどもへの対応のポイント(26ページ)
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変更後 · 26ページⅠ PART 2 地域の関係機関・専門家との連携
(4)医療機関との連携
医療機関との連携は、治療や証拠採取等が必要な場合、性暴力の疑い発覚直後から始まります。精神科医によ
る治療が必要な場合、比較的長期のケアが必要になる可能性があります。
弁護士と医療機関との連携
弁護士と医療機関との連携内容は、被害を受けたこどもの心身の状況に関する情報共有、司法面接や裁判等に
関する情報共有等になります。
(留意点)
弁護士としては、医療機関との信頼関係を構築した上で、被害者の許可を取った後に被害者の医学的な
状況を教えてもらったり、医学的なポイントをレクチャーしてもらうことが重要です。
弁護士から医師に対しては、法律的な事柄(裁判で証人尋問に呼ばれた場合の対応など)について情報
提供することが有効です。
なお、医療機関が事業者代理人弁護士に対して伝えられることは、一般的なことに限られます。そのため、
被害者の立場に立つ弁護士が医師とのやりとりを行えるよう、被害者の保護者に対して個別に代理人を付
けることを勧めることも考えられます。
心理職と医療機関との連携
心理職と医療機関との連携内容は、トラウマケアの方針共有、精神科医との協働等になります。
(留意点)
心理職が医療機関に対して情報提供書を提出する際には、その内容についてこども本人や保護者に確認
を取り、同意を得るようにします。また、提供先の医療機関にも同意を得たことを伝えるようにします。
医療機関と連携してトラウマケアなどを行う場合には、主治医とよく相談してください。
表︓弁護士、心理職と医療機関との連携
性暴力を受けたこどもへの対応のポイント(27ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 27ページⅠ PART 2 地域の関係機関・専門家との連携
4.弁護士と心理職の連携の意義と場面
弁護士と心理職の連携の意義として、法的安全性を軸とする弁護士と、心理的安全性を軸とする心理職が協働
することで、こどもの権利保護と心理的回復を両立することができることが挙げられます。特に弁護士は、早期から心理
職や性暴力被害者支援機関等と連携することで、こどもの心理状態やそれを踏まえた性暴力事案への対応方法につ
いての知見を得ながら、業務を進めることが有効と考えられます。
両者の連携が可能な場面としては、次の表に記載しているようなものが挙げられます。
図︓弁護士と心理職の連携が可能な場面
弁護士と心理職が適切に連携することで、
被害を受けたこどもの権利保護と心理的回復を図る
性暴力を受けたこどもへの対応のポイント(28ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 28ページⅠ まとめ(留意点)
まとめ(留意点)
性暴力を受けたこどもへの対応のポイント(29ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 29ページⅠ まとめ(留意点)
最後に、性暴力を受けたこどもへの対応のポイントの留意点をまとめました。
(1)性暴力を受けたこどもへの対応に当たっての考え方(重要項目)
○ 性暴力はいつでもどこでも生じ得るとの意識・理解をもつこと
○ 疑い段階から重く受け止めた対応を行うこと
○ 速やかに警察に通報又は相談をすること
○ チームによる対応を行うこと
○ こどもの心身の安全を第一とすること
○ 性暴力を受けたこどもに対しては、トラウマインフォームドな対応が基本
(2)性暴力の疑いの発覚時の初期対応
○ 被害を受けたこどもや保護者の心情(不安、不信、動揺、自責等)を踏まえ、落ち着いて対応する。
○ 発覚時の初期対応から、安全確保へと即座につなげる。
(3)一時的な接触回避策としての防止措置(こどもの安全確保)
○ こどもと加害が疑われる者とを分離し、接触を遮断する(加害が疑われる者をその環境から遠ざける)。
○ こどもが安心できる大人が対応する状況を確保する。
(4)被害を受けたこどもの保護者への連絡・説明
○ 性暴力の疑いについて、被害を受けたこどもの保護者に速やかにその情報を連絡する。
○ 保護者との連携が非常に重要。動揺に共感し、事実のみを伝え、こどもを責めたり疑ったりしないよう伝える。
(5)情報及び客観証拠の保全
○ 情報及び客観証拠を適切に保全する。
○ 証拠に接する者は可能な限り限定し、誰がいつ証拠の管理・閲覧等を行ったか記録する。
(6)対応方針の決定
○ 性暴力を受けたこどもと保護者の意思・意向を尊重しながら、こどもの日常を取り戻すことを目標に、対応方針を
検討・決定する。
(7)こどもへの保護・支援
○ 安心感を高める関わりを行う/被害を受けたこどもに変化がないか、様子を見守る/支援ニーズはないか定期的
に確認する/こどもが話したいことがあれば傾聴する/具体的な支援などにつなげる/支援機関等について情報
提供する。
○ 傷ついたこどもの気持ちに寄り添い、見守り、ニーズに応じた心身のケアにつなげることで、こどもが日常を取り戻せ
るように努める。
性暴力を受けたこどもへの対応のポイント(30ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 30ページⅠ まとめ(留意点)
(8)弁護士の関わり方におけるポイント
○ こどもの心身の安全確保を第一に、関係機関・専門機関等と適宜連携しながら対応したり、適切に連携できるよ
う事業者に助言したりする。
○ 性暴力を受けたこどもの供述の心理学的特徴をふまえて支援する。
○ 保護者や従事者が繰り返しの聴き取りや誘導的な聴き取りを行うことで、こどもの供述の信用性を低下させない
ように注意喚起や指導を行う。
(9)心理職の関わり方におけるポイント
○ 性被害を受けたこどもに対しては、トラウマインフォームドな対応が基本。
○ 性暴力を受けたこどもに接する関係者に対し、トラウマ反応やトラウマインフォームドケアについての周知を図り、関
係者が適切に対応を行えるように支援する。
○ 司法手続のステージとこどもの状況に応じた適切なケアを検討・実施する。
(10)地域の関係機関・専門家との連携の進め方
○ 事業者と協働する弁護士、心理職は、こどもへの対応の流れに沿って、警察や行政機関等の各機関と連携・協
働したり、事業者が連携・協働できるよう助言する。
(11)各機関との連携時の留意点(弁護士における連携の留意点)
<警察>
○ 警察に対して、被害者や保護者の現在の状況(精神的な状況や体調等)、事業者側の対応状況、弁護士
が入手した被疑者の情報(捜査につながるヒント等)などの情報を、把握している範囲で伝えておくようにする。
○ 逆に、警察からは、被疑者の供述情報、立件の見通し、被害者の規模の見通しなどの情報を、可能な範囲で
入手するように努める。
<地方公共団体>
○ 被害を受けたこどもとその保護者に対し、地方公共団体の支援メニューを伝える(性暴力被害者支援機関が詳
しいため、支援機関との連携も有効)。
<性暴力被害者支援機関>
○ 被害を受けたこどもとその保護者から両者がそれぞれ了解を得た上で、極力情報を共有して対応するように努め
る。
○ 支援機関の規模、支援内容には地域差もあるため、地域の状況に応じた連携方法を検討する。
<医療機関>
○ 医療機関との信頼関係を構築した上で、被害者の許可を取った後に被害者の医学的な状況を教えてもらったり、
医学的なポイントをレクチャーしてもらう。
○ 弁護士から医師に対しては、法律的な事柄(裁判で証人尋問に呼ばれた場合の対応など)について情報提供
する。
性暴力を受けたこどもへの対応のポイント(31ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 31ページⅠ まとめ(留意点)
(12)各機関との連携時の留意点(心理職における連携の留意点)
<警察>
○ 必要に応じて、心理的観点から配慮してほしいことを伝える(警察との連携に精通している性暴力被害者支援
機関等の機関との連携も有効)。
○ 被害を受けたこどもを担当する警察の心理職と連携する。
<地方公共団体>
○ 連携する地方公共団体の組織や役割分担、配置職種などを事前に確認し、どの職員を相談窓口にすればよい
か把握する。
○ 被害を受けたこどもを担当する心理職がいれば、連携・分担してこどものケアを進める。
<性暴力被害者支援機関>
○ 性暴力被害者支援機関に配置されている職員や、被害者支援の内容を事前に把握し、どのような連携が被害
を受けたこども本人や保護者にとって有益かを検討した上で、丁寧に仲介する。
○ 性暴力被害者支援機関の心理職と共同で対応する場合には、役割分担を明確にする。
<医療機関>
○ 医療機関に対して情報提供書を提出する際には、その内容についてこども本人や保護者に確認を取り、同意を
得る(提供先の医療機関にも同意を得たことを伝える)。
○ 連携してトラウマケアなどを行う場合には、主治医とよく相談する。
性暴力を受けたこどもへの対応のポイント(32ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 32ページⅠ まとめ(留意点)
監修者
○ 浅野恭子 甲南女子大学心理学部心理学科准教授
○ 磯谷文明 くれたけ法律事務所弁護士
○ 鬼澤秀昌 おにざわ法律事務所弁護士
○ 上谷さくら 桜みらい法律事務所弁護士
○ 齋藤梓 上智大学総合人間科学部心理学科准教授
○ 仲真紀子 国立研究開発法人理化学研究所理事長特別補佐
(五十音順、敬称略)
参考資料
○ こども性暴力防止法施行ガイドライン
https://www.cfa.go.jp/policies/child-safety/efforts/koseibouhou
○ 教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針
(横断指針)
https://www.cfa.go.jp/policies/child-safety/efforts/koseibouhou/odanshishin