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教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針
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こども家庭庁
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(2ページ)
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第 1 章 横断指針の趣旨等 ...................................................................................................... 1
1.背景 ......................................................................................................................... 2
2.目的 ......................................................................................................................... 4
3.添付資料 ................................................................................................................... 6
4.性暴力、不適切な行為とは ............................................................................................... 7
5.児童等に対する性暴力の特性 ..........................................................................................13
(1)被害児童等の観点 .................................................................................................13
(2)加害者の観点 .......................................................................................................14
第2章 性暴力防止への対応の全体像 ....................................................................................... 18
1.性暴力防止への対応に当たっての考え方 ...............................................................................19
(1)性暴力は生じ得るとの意識・理解 .................................................................................19
(2)未然防止・早期発見に向けた日頃からの取組 ...................................................................19
(3)疑い段階から重く受け止めた対応..................................................................................20
(4)チームによる対応 ....................................................................................................20
(5)被害を受けた児童等を中心とした対応 ............................................................................20
2.安全確保措置のフローの全体像.........................................................................................21
第 3 章 未然防止 ............................................................................................................... 22
1.服務規律等の整備・周知 ................................................................................................23
2.施設・事業所の環境整備 ................................................................................................26
3.児童等や保護者への教育・啓発 ........................................................................................30
(1)児童等への教育・啓発 .............................................................................................30
(2)保護者への教育・啓発 .............................................................................................34
4.従事者への研修 ..........................................................................................................36
第 4 章 早期把握・相談 ........................................................................................................ 39
1.児童等の日常の観察・会話 .............................................................................................40
2.性暴力被害や不適切な行為を訴えやすい仕組み .....................................................................42
(1)相談体制の整備・周知 .............................................................................................42
(2)定期的な面談・アンケート ..........................................................................................46
3.報告ルールの策定・周知 .................................................................................................49
4.対応ルールの策定・周知 .................................................................................................52
第5章 相談・報告等を踏まえた対応 ......................................................................................... 55
1.発覚時の初期対応 .......................................................................................................56
2.保護者への連絡・説明 ...................................................................................................64
3.被害児童等の安全確保 .................................................................................................66
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(3ページ)
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変更後 · 3ページ4.調査 ........................................................................................................................68
(1)調査の進め方(総論) ............................................................................................68
(2)調査を行う体制 .....................................................................................................70
(3)情報及び客観証拠の保全 .........................................................................................73
(4)聴き取り ..............................................................................................................74
(5)事実の有無の評価 ..................................................................................................84
5.対応方針決定 ............................................................................................................85
6.保護・支援及びその他の関係者への対応・支援 .......................................................................87
(1)被害児童等とその保護者への支援 ................................................................................87
(2)被害児童等以外の児童等への対応 ..............................................................................89
(3)従事者への対応.....................................................................................................91
(4)不適切な行為を行った者への対応 ................................................................................92
(5)性暴力を行った者への対応.........................................................................................92
(6)性暴力や不適切な行為の事実の有無を評価することが難しい場合の対応 ....................................95
(参考)既存のガイドライン等における通報等の記載 ......................................................................98
7.再発防止策の検討・実行 ................................................................................................99
8.関係機関との連携 ...................................................................................................... 101
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(4ページ)
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変更後 · 4ページ第1章 横断指針の趣旨等
第 1 章
横断指針の趣旨等
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(5ページ)
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変更後 · 5ページ第1章 横断指針の趣旨等
1.背景
児童等に対する性暴力は被害を受けた児童等の権利を著しく侵害し、当事者の心身に深刻かつ長期的な影響を
及ぼし得る重大な加害行為である。
児童等に対して教育・保育等を行う事業は
①従事者が業務上、児童等と接する中で、指導・コミュニケーション等を通じて、優越的立場に立つこと(支配
性)
②従事者が日常的、定期的、その他継続性をもって(不定期であっても反復継続が見込まれる場合など)児
童等と接すること(継続性)
③他の職員や保護者等が同席しないなど、第三者の目に触れない状況で児童等と接すること(閉鎖性)
という特別な社会的接触の関係にあるといった性質を有することから、児童等に対する性暴力の発生に特別の注意を
払うことが求められる。
令和6年6月には「こども性暴力防止法」が成立し、令和8年 12 月の同法の施行後、児童等に対して教育・保
育等を提供する一定の事業者は、法律上、児童対象性暴力等を防止することが義務付けられることとなったが、同法
の義務付け対象の事業者以外の現場も含め、児童等に対する性暴力を防止し、被害児童等を適切な保護・支援
につなげることが重要である。
こども性暴力防止法が成立した令和6年の時点では、教育・保育等の所管行政、団体等が、事業者向けに、児
童等への性暴力防止を念頭においた指針・ガイドライン等を作成しているケースがあるものの、どのような取組があるか
等の情報が不足しており、業界横断的に整理されたものは存在しなかった。
このため、教育・保育等の所管行政、団体等により作成されている既存の指針・ガイドライン等の情報、有識者等へ
のヒアリング、有識者検討会における意見等を踏まえ、事業者や業界団体において、従事者から児童等への性暴力
防止策等の検討を行うに当たって、業界横断的に有用と考えられる内容を取りまとめることとし、令和7年4月に本横
断指針を公表した。
その後、こども性暴力防止法施行準備検討会における議論等を踏まえ、令和8年1月にこども性暴力防止法施
行ガイドラインが策定されたこと等を受け、令和8年8月に本横断指針の改訂を行った。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(6ページ)
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変更後 · 6ページ第1章 横断指針の趣旨等
(参考)本横断指針とこども性暴力防止法施行ガイドラインの関係は次の表をご覧ください。
また、ガイドラインに記載している内容のうち、本横断指針でも扱っている内容は次の表をご覧ください。
本横断指針は、こども性暴力防止法の対象事業者にとどまらず、児童等に対して教育・保育等を提供する幅広い
事業者に活用いただくことを想定している。
また、本横断指針は、法律に基づくものではなく、本横断指針の策定により、事業者に対して新たに義務が課さ
れるものではない。こども性暴力防止法に基づく義務の具体的内容については、下位法令、こども性暴力防止法施
行ガイドライン、解説動画・資料等を参照いただきたい。
(参考)こども性暴力防止法に関する情報はこども家庭庁の HP をご覧ください。
こども性暴力防止法(学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措
置に関する法律)
https://www.cfa.go.jp/policies/child-safety/efforts/koseibouhou
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(7ページ)
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変更後 · 7ページ第1章 横断指針の趣旨等
2.目的
本横断指針は、「教育・保育等を提供する場における従事者から児童等に対する性暴力」を主たる対象1とし、事
業者によるその防止等の取組を業界横断的に促進することを目的とする。
具体的には、関係する業界や事業者において、本横断指針を参考にしつつ、各業界の特性を踏まえた上で、
⚫ 児童等への性暴力防止に向け、事業者、従事者その他の関係者による議論が行われること
⚫ 児童等への性暴力を防止する業界ごとのガイドラインや事業者ごとの服務規律等を定めた文書等の作成・改
訂等が行われること
⚫ 現場において自律的に児童等への性暴力を防止する取組等が実践されていくこと
を目指すものである。
本横断指針を踏まえ、業界、現場等における取組を主導していく者は、教育・保育関連施設の設置者・事業の運
営者や、性暴力防止等の担当者、関連業界団体の役員、担当者などを想定している。
他方、教育・保育等を提供する場以外の、児童等を対象とする事業においても効果があると考えられる取組も含ま
れており、児童等と関わる様々な事業においても、児童等に対する性暴力防止のための参考となることが期待される。
児童等に教育・保育等を提供する施設の設置者・事業の運営者は、従事者による児童等への性暴力が、被害児
童等の心身に対する重大な加害行為かつ極めて悪質な人権侵害であり、その影響が長期に及び得るものであるととも
に、適切に対応しないことが事業者に対する信頼低下や訴訟リスク等(被害者側からの使用者責任の追及、加害者
側からの処分等に対する異議申立て等の法的リスクを含む)となることも認識し、未然防止・早期発見、性暴力の疑
い発生時の適切な事実の有無の調査、児童等の保護及び被害児童等への支援を行うことが重要である。
その際は、当事者の人権に配慮しつつ事実確認等の対応を公正・中立に行うことが重要と考えられるため、事実確
認等のプロセスや留意点などについても記載を盛り込んでいる。
本横断指針に記載されている取組について、各事業の事業形態を踏まえ、まずは効果的と考えられるものや実施
可能なものから、取り組み始めることが重要と考えられる。また、児童等にサービスを提供する外部委託先(例▶ 施
設への送迎サービス等)にも、児童等への性暴力防止への取組の実施を促すことが有効と考えられる。
1 教育・保育等を提供する場においては、児童等の間で生じる性暴力への対応も生じ得ることから、「児童等の間の性暴
力」が生じた場合の対応策については p103 において触れている。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(8ページ)
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変更後 · 8ページ第1章 横断指針の趣旨等
❖ 児童等に教育・保育等を提供する場として主に想定する事業者例
幼稚園、小学校、中学校、高等学校、高等専門学校、特別支援学校、専修学校、各種学校
認定こども園、保育所、ベビーシッター、放課後児童クラブ、児童館、居場所支援施設、母子生活支援施設、
児童自立生活援助事業者
小規模住居型児童養育事業者、乳児院、児童養護施設、児童心理治療施設、児童自立支援施設、指定
発達支援医療機関、児童相談所(一時保護施設を含む。)
障害児通所支援事業所(放課後等デイサービス、児童発達支援事業所、児童発達支援センター等)、
障害児入所施設
学習塾、学習支援施設、家庭教師、スイミングスクール、スポーツ教室、ダンス教室、自然体験学習 等
※こども性暴力防止法の対象事業者でない事業者も含む。
※個人で行うベビーシッター、家庭教師等を紹介するサービス(マッチングサービス等)を提供する事業者を含む。
※上記はあくまで例示であり、教育・保育等を提供する場であるものの記載されていない事業者も多数存在する。
なお、各業界において既存のガイドライン等がある場合には、引き続きそれらに基づく取組を進めることは重要であり、
加えて、本横断指針を必要に応じて参照・活用する等の取扱いを想定している。
❖ 既存のガイドライン等の例
対象施設・事業 児童等への性暴力防止等を含む法令・指針・ガイドライン・手引き等
学校 教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律
教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する基本的な指針
保育所等 児童福祉法
保育所保育指針
保育士による児童生徒性暴力等の防止等に関する基本的な指針
保育所や幼稚園等における虐待の防止及び発生時の対応等に関するガ
イドライン
「子どもへの性暴力防止」の視点から考える保育の専門性
小規模住居型児童養育事業者、
乳児院、母子生活支援施設、児童
養護施設、障害児入所施設、児童
心理治療施設、児童自立支援施
設、指定発達支援医療機関、児童
相談所(一時保護施設を含む。)
等
児童福祉法
被措置児童等虐待対応ガイドライン
障害児通所支援事業所等 障害者虐待防止法
障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(9ページ)
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変更後 · 9ページ第1章 横断指針の趣旨等
3.添付資料
現場において実践しやすいものとなるよう、本横断指針には、次のとおり参考資料編及び取組事例集を添付する。
⚫ 参考資料編 (行動規範・誓約書の文面例、相談体制・窓口に関する資料、相談窓口の周知広報資
料、保護者対応資料、こどもの権利に関する資料)
⚫ 取組事例集 (事業者による取組事例)
❖ 用語の定義
⚫ 施設・事業所:教育・保育等を提供する施設・事業所。
⚫ 事業者:施設・事業所を設置・運営する法人等(こども性暴力防止法の対象事業者以外も含む。)。
⚫ 児童等:こども性暴力防止法の対象となる「児童等」を指し、18 歳未満の未成年者に加えて、高等学校等
に在学する 18 歳以上の者を含む。詳しくはこども性暴力防止法施行ガイドラインⅡ.1. 児童等を参照。
⚫ 従事者:教育・保育等を提供する施設・事業所等で、児童等と直接関わることが想定される、教育・保育等
に携わる職員全般(こども性暴力防止法において犯罪事実確認等の対象となる対象業務従事者以外も含
み、パートタイム、アルバイト、ボランティア等を含む)。
⚫ トラウマ:大きな精神的ショックや恐怖が原因でできる心の傷(心的外傷)のこと。性暴力は他の暴力と比べ
ても、トラウマ(心的外傷)が生じるリスクが高い。
⚫ 性的グルーミング(性的手なずけ):児童等に徐々に近づき、警戒心を解いて自分を信用させることで、性
暴力を振るいやすくするための加害者の行動のこと(p16「【コラム】性的グルーミング(性的手なずけ)の概
要」参照)。
⚫ 記憶の汚染:性暴力の被害児童等に、何度も話を聴いたり、誘導的な質問をしたりすることで、周りからの質
問や事後に得た情報を自分の考えや経験と思い込んだり、体験のない被害を実際に体験したと思い込んだりし
て、記憶が変わってしまうこと。記憶能力が発達段階にある幼少期等において生じやすい。
※年齢の高い児童等であっても、被害の内容や支援の状況によって、記憶があいまいになり、記憶の変容が起
こることもあり得る。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(10ページ)
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変更後 · 10ページ第1章 横断指針の趣旨等
4.性暴力、不適切な行為とは
本横断指針では、「従事者から児童等に対する性暴力」を主たる対象としている。
本横断指針において、「性暴力」とは、こども性暴力防止法における「児童対象性暴力等」と同一であり、犯罪に該
当するものだけでなく、犯罪に該当せずとも、「児童等を不快にさせる性的な言動」が行われることを含む2。被害児童
等が「嫌だ」と伝えた場合だけではなく、行為の意味を理解していない、嫌だけれども断れない、逃げられない、応じざる
を得ない、あるいは性的手なずけによって誘導された場合も性暴力に当たる。
性暴力とは必ずしも、直接身体や性器に接触する行為であるとは限らない。わいせつな言動、性器の露出、ポルノ
や性行為を見せること、のぞき、盗撮等の非接触型の性暴力もある。性別を問わず性暴力の被害者となり得るもので
あり、加害者の性別は被害者の異性とは限らない。
本横断指針における「不適切な行為」とは、こども性暴力防止法施行ガイドラインにおける「不適切な行為」と同一
であり、その行為そのものは性暴力には該当しないが、業務上必ずしも必要な行為とまでは言えないものであって、その
行為が継続・発展することにより性暴力につながり得る行為である。
「不適切な行為」については、性暴力に至らずとも、児童等の人としての尊厳を侵害し得るものという認識に立つこと
が重要である。また、外形上は「不適切な行為」に該当する行為も、状況によっては、問題のない場合もあり得る。しか
し、従事者の意図・目的によっては、リスクのある行為であるとの認識に立つことが重要である。このため、「不適切な行
為」が行われる中で、公私の区別が不明確になったり、児童等との適切な距離感が失われたりすることにより、性暴力
に至るリスクを念頭に置いて、「不適切な行為」を改め、性暴力に至ってしまうことを未然に防止することが重要である。
216 歳未満の児童については、性的行為に関して有効に自由な意思決定をするための能力が十分に備わっているとは言え
ないため*、仮に本人の同意がある場合であっても、性的行為が犯罪や性暴力となることに留意が必要である。
*性的行為に関して有効に自由意思決定をするための能力としては、①行為の性的な意味を認識する能力だけでなく、②
行為の相手方との関係において、行為が自己に及ぼす影響について自律的に考えて理解したり、その結果に基づいて相手
方に対処したりする能力が必要であると考えられる。13 歳未満の場合は、①の能力が備わっておらず、有効に自由な意思
決定をする前提となる能力が一律に欠け、13 歳以上 16 歳未満の場合は、①の能力が一律に欠けるわけではないもの
の、②の能力が十分でなく、相手方との関係が対等でなければ、有効に自由な意思決定ができる前提となる能力に欠けると
考えられる。このため、13 歳以上 16 歳未満の場合は、相手方との間に対等な関係がおよそあり得ず、有効に自由な適切
な意思決定をする前提となる能力に欠ける場合に限って処罰する観点から、当該 13 歳以上 16 歳未満の者が生まれた
日より 5 年以上前の日に生まれた者が処罰対象とされている。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(11ページ)
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変更後 · 11ページ第1章 横断指針の趣旨等
「不適切な行為」を定めるにあたっての留意点
⚫ 不適切な行為は、例えば次のアからウまでのように、事業者、事業内容、対象となる児童等の発達段階
や特性、現場の状況等によって、不適切であるか否かが変わり得る。
ア 児童等の発達段階に応じて、現場で必要となる「身体接触を伴う行為」の範囲は異なるものであり、
未就学児に対するものと、中高生に対するものを同等に扱うことはできない。一方、個々の児童等の発
達段階や特性により、例えば小学校低学年に対して、未就学児と同様に、信頼関係を築いていく過
程で身体接触を伴う行為はあり得る
イ スポーツ、水泳、バレエ、ダンス等においては、児童等及び保護者の理解を得た範囲で、身体接触を
伴う指導があり得る
ウ 日常的に児童等の送迎を行う場合と、災害等の緊急事態に送迎を行う場合とを同等と扱うことはでき
ない
⚫ 「不適切な行為」は、事業内容等に応じて、その範囲が異なり得るものであることから、従事者が正しくそ
の範囲を理解し、「不適切な行為」を行わないようにするためには、各事業者において、業務上の必要性
を踏まえて「不適切な行為」の内容を定めるとともに、こども性暴力防止法に基づき、適切な防止措置を
図る観点から、服務規律等に適切に反映することが必要となる。各事業者において「不適切な行為」を
定めるに当たっては、必要に応じて専門家に相談するとともに、現場で業務を担う従事者とコミュニケーショ
ンを図り、従事者が過度に萎縮することがないよう留意しつつ、事業の実態に即して決定することが必要で
ある。また、文化・慣習に基づき行っている行為についても、児童等がどのように受け止めるのかという観点
から、改めて見直すことが重要である。
⚫ また、「不適切な行為」を定めた場合には、従事者に対して周知徹底を行うことが必要である。あわせて、
「不適切な行為」に該当し得る行為が生じた・見かけた場合に、普段から職場内で議論し、自由に発言
できる雰囲気・環境を整えることや、どのような事案が「不適切な行為」に該当するか、日々のミーティン
グ、研修等において議論し、対応を検討する中で、従事者の理解を深めること等も重要である。このような
過程を通じて、事業内容等に応じた「不適切な行為」に関する議論が現場を中心に蓄積されていくことに
より、現時点では十分に認識、指摘、指導等がなされていないような行為についても、「不適切な行為」と
しての共通認識が形成され、現場での認知や行動変容、ひいては性暴力の防止につながっていくものと考
えられる。
⚫ 加えて、従事者だけでなく、児童等及び保護者に対しても、各事業者が定めた「不適切な行為」について
十分に周知徹底を行い、理解を得て業務を行うことが必要である。このような取組を通じて、事業者、従
事者、児童等及び保護者が、相互に気を付けることにより、「不適切な行為」が行われない環境を実現す
ることが重要である。
⚫ 「不適切な行為」が行われないようにするため、日々の業務の中で、必要に応じて、次のアからオまでのよう
な対応を講じることが考えられる。
ア 業務は、可能な限り閉鎖環境ではない場所(従事者と児童等が一対一になることがないような場
所)で行うことや、私的なやりとりは厳に慎むことを、従事者に呼び掛け、実践すること
コラム
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(12ページ)
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変更後 · 12ページ第1章 横断指針の趣旨等
イ 身体接触を伴う行為を業務上行う必要がある場合(未就学児等との信頼関係を築くための触れ合
い、障害児等への介助、スポーツにおける指導等)には、児童等・保護者に対して、あらかじめ事業
者内で「不適切な行為」として定めている範囲について説明し、共通認識を形成しておくこと。また、年
齢の高い児童等に対する身体接触が必要な場合については、児童等にその都度、「ここ触るよ」と伝
えることや、スポーツ指導等において、あらかじめ個別契約等があるような場合には、その書面で身体接
触の有無・範囲について合意をしておくなどの工夫も考えられる。
ウ 児童等から身体接触を伴う行為を求めてきたとき、愛着に課題がある児童等などの場合には、それを
無下に断ることが適切ではない場面も想定される。このため、例えば、学齢期の児童等が膝に乗ってき
た場合には、「お膝の上じゃなくて、隣に座ろうね」と言いながら、隣に座らせて、必要に応じて手をつなぐ
などして安心感を提供することを試みることや、膝に乗せる場合であっても、他の児童等や職員等から
見える方向を向くなど、その場に応じた工夫を行うこと。また、児童等が特別なスキンシップを必要として
いると思われる場合には、児童等の発達段階や特性を踏まえて保護者に事前に相談するなど、性暴
力の疑いが起こらないような工夫をすること。
エ 緊急的・一時的に、外形的には「不適切な行為」に該当し得る行為を業務上行うことが必要となった
場合(事故等により、急遽児童等の送迎が必要となったときなど)にも、従事者と児童等が一対一
であるなど、「不適切な行為」が行われたとの疑念が持たれかねないときには、事前・事後に、その経過
を組織内で共有するなど、性暴力につながらないための歯止めをかけるルールを定めて運用すること。
オ 業務上の必要性から SNS やメールを用いて児童等とのやりとりを行っている場合は、可能な限り一対
一とならないようにし、第三者が適正か否かを確認できる状況にすること(例えば、SNS のチャットグル
ープを部活動等の連絡手段として利用している場合には、保護者や他の職員も宛先に入れるなどの
工夫が考えられる。また、個人的な悩みの相談が SNS やメールで個別に寄せられた場合には、①上
司等に個別の相談を受けている旨を必ず報告する。②私的な端末でのやり取りをせず、秘密は守りつ
つもトラブル防止の観点からこうした対応が必要なことを、児童等に説明するなどの工夫が考えられ
る。)
⚫ また、「不適切な行為」を行ったとされた者が直ちに大きな不利益を受けるような運用がされると、従事者を
過度に萎縮させるおそれがある。このため、初回かつ比較的軽微な「不適切な行為」の疑いが生じた場合、
当該行為自体については、従事者に対する適切な指導等を行いつつも、その行為を責めるのではなく、そう
した行為に至った理由を聴き取り、未然防止の観点から早期に対処する必要性を丁寧に説明するととも
に、「不適切な行為」に該当し得る行為が生じたことを職場内の議論のきっかけとし、各事業者内における
「不適切な行為」の共通認識の形成につなげることが重要である(p23「服務規律等の整備・周知」、p92
「不適切な行為を行った者への対応」も参照)。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(13ページ)
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変更後 · 13ページ第1章 横断指針の趣旨等
※次ページ以降に、性暴力、性暴力につながり得るような不適切な行為の例を記載している。
※正当な理由なく、プライベートゾーンに接触するような行為は、児童等本人の同意の有無にかかわら
ず、性暴力となる。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(14ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 14ページ第1章 横断指針の趣旨等
❖ 性暴力等の定義と具体的内容
❖
<留意点>
※こども性暴力防止法における「児童対象性暴力等」と、教員性暴力等防止法における「児童生徒性暴力等」
は同じ行為です。
※上図に記載の行為は、発生した場所や加害者によって、「被措置児童等虐待」(児童福祉法)、「児童虐
待」(児童虐待防止法)、「障害者虐待」(障害者虐待防止法)、「入園児虐待」(認定こども園法
(学校教育法により準用される場合を含む))などに該当する可能性がある点に留意する。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(15ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 15ページ第1章 横断指針の趣旨等
❖ 不適切な行為の例
「子どもへの性暴力防止」の視点から考える保育の専門性(令和6年、全国保育士会)
(https://www.z-hoikushikai.com/about/siryobox/book/seibouryokuboushi.pdf)
児童との接触等が業務上求められる保育所等においては、URL に掲載されているパンフレットにおいて、具体的な
場面の例(例▶ 抱っこ、着替え、写真撮影)における、業務の必要性と、留意点等が説明されている。
参考資料
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(16ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 16ページ第1章 横断指針の趣旨等
5.児童等に対する性暴力の特性
(1)被害児童等の観点
①被害の深刻さ
⚫ 性暴力は、個人の尊厳を著しく傷つける行為である。とりわけ、児童等に対する性暴力は、当事者の心身に対す
る重大な加害行為であり、その影響は長期に及び得る。
⚫ 児童等への性暴力は、乳幼児から思春期まで、幅広い年代に渡り、性別にかかわらず起きている。
⚫ 教育・保育等の場における従事者からの性暴力は、信頼している大人からの裏切り行為となり、こうした経験によ
り、誰を信頼すれば良いか分からなくなる等、人間関係の構築等に深い傷を残す場合がある。
⚫ 性暴力を受けた児童等の反応は一様ではない。一般的に、性暴力を受けた児童等は、自分の身に起きたことを
どう捉えれば良いのか混乱し、恐怖する。被害によるショックは、身体症状や言動として現れたり(例▶ ボーっとす
る時間が増える、頭痛・腹痛、倦怠感、食べられない、不眠、赤ちゃん返り、被害のあった場所に行きたがらない
等)、心理面に現れたり(例▶ 抑うつ、不安障害、フラッシュバック等)する。その結果、日常生活に支障をき
たしたり、自己肯定感が低下したりすることがある。(p40「日常的に気にかけてほしい児童等の変化の例」参照)
⚫ 性暴力を受けた児童等は、その後の人生の過程で、過去をなかったことにできない悔しさ、汚れてしまったかのよう
な自分に対する絶望感、自分に起きたことを誰にも話せずに秘密を抱える苦痛などに苦しむ状況がみられる。被
害を受けた自分を責めてしまう児童等も多い。
⚫ なお、こうした症状は、専門家による適切なトラウマケアなどの支援を中長期的に行うことで、緩和が可能なケース
が多いため、被害者に対する偏見をもたないように留意することが重要である。
②被害の発見のしづらさ
⚫ 発達段階等により、受けた行為が性暴力かどうかを判断する能力を十分に身に付けていない児童等においては、
性暴力被害を認識できない、性暴力被害かどうか判断がつかないため、周囲が被害に気付くまで、被害が発見さ
れづらく、被害が潜在化・長期化しやすい。
⚫ また、仮に、判断能力を十分に身に付けた児童等においても、性暴力被害を思い出したくない、誰にも知られたく
ない、恐怖で口にすることができない等の心理から、性暴力を受けた児童等にとって、被害を相談、開示することは
非常に困難なケースが多い。
被害を訴えることで現在の生活が一変したり、世間の好奇の目にさらされたりすることが懸念される。
⚫ 勇気を出して周囲に相談しても、真剣に取り合ってもらえなかったり、むしろ被害児童等の方が非難されたりするお
それがある環境の場合、更に被害が潜在化・長期化しやすい。
⚫ 発達段階等により、受けた行為が性暴力かどうかを判断する能力を十分に身に付けていない児童等においては、
性暴力被害を認識できない、性暴力被害かどうか判断がつかないため、更に被害が潜在化・長期化しやすい。ま
た、信頼している相手であるために、性暴力被害の判断がつかないこともある。なお、本人が被害を受けたと認識
していなくとも心身に症状が出ることがあり、認識してから初めて心身に症状が出ることもある。
⚫ 被害児童等が男児の場合、「男の自分が被害を受けるわけがない」との思い込みや、被害を受けた自分に対する
羞恥や自責から、被害を誰にも言えないことがある。
⚫ 障害のある児童等の場合、その障害の程度によっては、児童等本人が被害を明確に認識したり、被害を周囲に
伝えたりすることが難しい場合があることや、自らを介助・支援する支援者が加害者の場合、支援者との関係性が
崩れると生活に支障をきたす懸念があること等から、被害が潜在化・長期化しやすい。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(17ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 17ページ第1章 横断指針の趣旨等
⚫ 関係性のある人から加害を受けた場合、児童等は、先生や親との人間関係を損なう、自分が悪い、恥ずかしい、
言うと叱られる、といった思いを持ちやすくなる。また、加害者から脅しを受けたり、秘密にするよう言われたりしてい
る場合もある。受けた行為を特別扱いや愛情だと思い、被害だと認識していない場合もある。
⚫ 被害児童等が、家庭内不和や虐待により、帰る場所や逃げ場所がない場合、慕っている従事者との関係を壊し
たくないと考えて事実を隠そうとすると、その発見はとりわけ困難である。
虐待など圧倒的な力の支配の下で、あるいは基本的な要求に応えてもらうことができない状況で育っている児童
等は、自分への否定的イメージや強い無力感、助けを求めても得られないという不信感、絶望感を抱えているため、
被害を受けても不当だとは考えることができなかったり、訴えることにより事態が改善されるといった肯定的イメージが
持てなかったりする。むしろ加害者からの報復や庇護を失う恐怖の方が強い場合が多い。
⚫ このような状況から、性暴力被害について、誰にも言うことができず、被害から数年、数十年も経過してから、よう
やく辛く苦しい体験を語ることができた人が少なくない。
⚫ 大人の対応により、児童等への性暴力の発見が妨げられることもある。保護者が、児童等が世話になっている相
手を信頼し、疑いを持たない場合もある。また、過去には、事業者が、疑いがあるのに黙認したり、児童等の言葉
や訴えを過小評価したり、大事になることを恐れて告発せず、内部での聴き取りのみで解決しようとしたケースもあ
る。
③被害の相談・開示までのプロセス
⚫ 被害直後に、被害児童等からの開示がないことが多く、被害発覚は、周囲の大人が被害児童等の言動等に違
和感をもって気づくことから始まる場合がある。
⚫ 被害児童等が、被害による混乱や葛藤を経て、第三者に被害を相談・開示するに至るまでには、相応の時間を
要することが多い。
⚫ 相談・開示の対象としては、保護者や友人、教育・保育等の場における従事者が挙げられる。
⚫ 被害児童等は、誰が自らの相談・開示を、批判をせずに受け止めてくれるかについて、日常の会話の中で探るよう
な場合がある。
⚫ 被害の一部分を話してみて、相手が真摯に聴いてくれるか反応を探り、見定めながら、不安が高まれば、それ以
上話すのをやめたり、嘘や冗談だったことにしたりして自分を守る等の行動をとることがある。このような行動を重ね
ながら、話しても大丈夫であると安心感が出てきた時点で、少しずつ、被害の全容を話すことが可能になる。
(2)加害者の観点
①個人に起因する要因
⚫ 抵抗が少ないなどの理由で加害に及んだ後、弱者に対する支配欲や征服感を背景に、加害行為が繰り返され、
次第にエスカレートしていく傾向にある。
⚫ 加害者には「思考の誤り」「認知の偏り」と呼ばれる一方的な思い込み(例▶ 「少し触っただけで大したことでは
ない」「実は児童等も喜んでいる・嫌がっていなかった」「児童等が好意を寄せてきており、それに応えただけ」「いず
れ経験することだから問題ない、早めに教えてあげている」)や、人権意識の低さ、自己中心的な考えなどがみら
れる。
⚫ 加害者の性的対象が成人女性・男性であっても、児童等を対象に性暴力を行うことがあり、幅広い年齢層を性
的対象と捉える人が一定の割合存在すると言われている。
⚫ 児童等を手なずけ、信頼関係を醸成し、児童等の心情や行動を操作し、児童等の抵抗感を抑えながら、性暴
力に及ぶ行動もみられる(p16「【コラム】性的グルーミング(性的手なずけ)の概要」参照)。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(18ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 18ページ第1章 横断指針の趣旨等
⚫ 児童等からの私的な相談に親身にのっている中で、依存関係が生まれたり、児童等に疑似恋愛と思いこませるよ
うに操作したりして、加害に転じる例もみられる。
⚫ 愛情が少ない家庭で育った児童等に対し、支援を行う立場にいることで、「自分がこの子を救ってあげられる」等の
救済心理から、加害に転じる例もみられる。
⚫ 勤務時間外に無償で児童等に相談にのったり、自らのポケットマネーで児童等に物を買い与えたりするなど、熱心
に児童等への支援に携わる中で、公私の区別が不明確になり、ストレスなどを口実にしつつ、「これだけ自分が尽く
しているのだから、相手に見返り(≒性的関係)を求めても良いはずだ」という思考の誤りに至る例もみられる。
⚫ 過去に被害にあった者が、加害に及ぶ例もみられる。
※ただし、加害者側にいかなる状況・理由があっても、加害を正当化する理由にはならない。
②環境に起因する要因
⚫ 教育・保育等の場では、性暴力が生じやすい環境や状況(「支配性」「継続性」「閉鎖性」がある環境や状況)
に直面しやすい。
⚫ 教育・保育等の場の従事者は、しばしば、児童等から一定の信頼を寄せられる立場にある。また、従事者は児童
等に対し権力を持ちやすい立場にある(例▶ 養護・指導する従事者と、養護・指導を受ける児童等との関係
性)。多くの場合、従事者から児童等に対する性暴力は、この信頼と権力を濫用して行われる。
⚫ 加害者は、多忙な中で真面目に取り組む一方、同僚等を頼れずに孤立している場合や、周囲から信頼されてい
て、問題提起がなされにくい立場(例▶ 業務・活動等の運営・指導を一任され、大きな裁量を持つ等)にいる
ため、被害が発見されにくい場合もみられる。
⚫ 過度なストレス(例▶ 長時間労働、人間関係等)やアルコールなど、加害につながる引き金がある場合もみら
れる。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(19ページ)
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変更後 · 19ページ第1章 横断指針の趣旨等
コラム
性的グルーミング(性的手なずけ)の概要
⚫ 性的グルーミングとは、被害者の警戒心を解き、自分を信用させることで、性暴力を振るいやすくするための加害
者の行動である。被害者の心情や行動を操作することで、被害者の抵抗を抑えるだけでなく、被害者に自責感を
抱かせる。「グルーミング」という用語は、動物の毛づくろいを意味する英語「groom」に由来している。
⚫ 加害者は、児童等に優しく声をかける、悩み等の相談にのって共感する様子を示す、容姿や性格等をほめる、時
には叱る等、いかにも親身な態度で接して安心を感じさせる。また、飲食をご馳走する、プレゼントをする等のさま
ざまな方法を用いる。
⚫ 人間の心理メカニズムの1つとして、「返報性の法則」という、他人から何らかの恩恵を受けたら、自分からも何かを
返さなければならないと感じる傾向があり、性的グルーミングにおいても、児童等は同様の心理になる。
⚫ 2人きりの状況を何度もつくりだしたり、身体接触の程度を段階的に引き上げたりする(例▶ 頭や腕に触る、ゲ
ームとして触れさせる)ことで、「まさか危ないことはされないだろう」「このくらいの行為であればまだ大丈夫」などの正
常性バイアス(異常を正常の範囲内のことと捉えて、心を平静に保とうとする心理メカニズム)が被害側に働き、
加害行為から逃げづらくさせることがある。
⚫ このように、児童等の信用を得た上で、性的な話題や行為への抵抗感をなくさせ、加害後には「2 人だけの秘密」
などと口止めすることで、罪悪感や羞恥心を利用したり、大人と特別な秘密を持つことの高揚感をあおったりするこ
とで、発覚しないよう仕向けるといった手口を取る。
⚫ 児童等の承認欲求や愛着、誰もが持つ心理メカニズムにつけこんで、徐々に性的な話題や行為にもち込むという
点で、児童等の純粋さや無邪気さを悪用する行為である。
⚫ 性的グルーミングは、親身に話を聞いてくれたり、褒めてくれたりするという、通常の大人がとる行動と似ているため、
第三者や児童等にとっては、加害の意図があるか否かの見極めが難しい。
⚫ また、被害を受けた児童等は、信頼をしていた大人からの性的な行為に、何かおかしい、怖いと感じながらも、
加害者の行動の意味が分からず混乱する
加害者の「ちょっと触っただけ」等の言い訳に、性暴力を些細ないたずら行動と過小評価する
恋愛行動と勘違いする
「信頼する人が良いことだと言っているなら、疑うなんて悪い」と思い込まされる 等の心情になることがある。
⚫ 先行研究では、家庭等で悩んでいることがあったり、精神的に不安定になっていたりするなど、弱みを抱えている人
がターゲットになりやすいことが明らかになっている。
被害児童等の中には、低い自己肯定感を上げてくれたり、家庭等で悩んでいることを心地よく傾聴してくれたりす
る加害者が、精神的な支えになっているケースもあり、加害行為を嫌だと思っていても、大ごとにして加害者との関
係を崩したくないという心理に至ることがある。
また、被害児童等の中には、加害行為を加害行為であると理解せず、むしろ加害者に好意を抱き、性的行為を
積極的に受け入れる場合があり、その場合、被害児童等が 16 歳以上であっても、その未熟さに付け込まれている
可能性が高いため、保護の対象と考えることが重要である。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(20ページ)
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変更後 · 20ページ第1章 横断指針の趣旨等
コラム 若年層が被害者となった性暴力の加害者像
内閣府による若年層(16~24 歳)を対象とした性暴力被害の実態に関する調査結果(令和3年度)から、
若年層に対する性暴力の加害者像について紹介する。こうした調査データを用いて、性暴力の実態を、児童等への教
育・啓発や、従事者への研修で取り上げることは、性暴力のリスクを適切に理解する上で有効と考えられる。
⚫ 被害者と加害者の関係は、次のとおり、全く知らない人よりも、身近な人からの加害が多いことが分かる。
加害者との関係(複数回答)(n=2,040)
⚫ 加害者の性別は、異性が多いが、同性からの被害もあることが分かる。
加害者との関係(複数回答)(n=2,040)
(出典:「若年層の性暴力被害の実態に関するオンラインアンケート及びヒアリング結果 報告書」
(令和4年3月 内閣府委託調査))交際相手・元交際相手
配偶者、元配偶者、パートナー、元パートナー
親(育ての親、義理の親を除く)
育ての親、義理の親、親の交際相手
兄弟姉妹
上記以外の親族
通っていた(いる)学校・大学の関係者
(教職員、先輩、同級生、クラブ活動の指導者など)
地域活動や習いごとの関係者
(指導者、年配、仲間など)
職場、アルバイト先の関係者
(上司、同僚、部下、取引先の相手など)
職場・アルバイト先の客
生活していた(いる)施設の関係者
(職員、先輩、仲間、里親など)
SNSなどインターネット上で知り合った人
芸能プロダクションへのスカウトや
高収入バイトの加入などを名乗る人
まったく知らない人
その他
親
密
圏
顔
見
知
り
圏
見
知
ら
ぬ
人
圏8.3%
1.7%
2.5%
2.2%
1.3%
1.6%
36.0%
4.8%
11.0%
5.2%
1.1%
14.0%
0.8%
32.5%
2.3%
0% 10% 20% 30% 40%80.9%
17.2%
7.7%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
異性
同性
わからない
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(21ページ)
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変更後 · 21ページ第 2 章 性暴力防止への対応の全体像
第2章
性暴力防止への対応の全体像
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(22ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 22ページ第 2 章 性暴力防止への対応の全体像
1.性暴力防止への対応に当たっての考え方
性暴力は、個人の尊厳を著しく傷つける行為である。とりわけ、児童等に対する性暴力は、当事者の心身に対する
重大な加害行為かつ極めて悪質な人権侵害であり、その影響が長期に及び得るものであって、断じて許すことはできな
い。
このような認識を前提として、教育・保育等を提供する場における児童等への性暴力防止に向けては、次のような
考え方に基づいて、対応に当たることが有効と考えられる。
(1)性暴力は生じ得るとの意識・理解
⚫ 児童等への教育・保育等に携わる人々の多くは、熱意をもって取り組んでおり、児童等への性暴力など想像もつ
かない人が多い。このため、これまでの多くのケースで、現場の従事者の中に、「まさかそんなことが起こるはずがない」
「まさか信頼の厚いあの人がやるはずがない」という意識が強い傾向がみられ、それが結果的に発見を遅らせてしま
うことにつながっている(例▶ 被害児童等や、リスクを感じた従事者が、「言っても信用してもらえない」と感じてし
まうこと)。
⚫ このため、教育・保育等に携わる全ての者が、児童等への性暴力はどこでも起こる可能性があるとの意識をもつこ
とが、性暴力のリスクの早期発見につなげる上で重要である。
⚫ なお、これは従事者間で疑いを持つことを意味しているのではなく、性暴力のリスクを把握する上で前提となる意識
を意味している。
(2)未然防止・早期発見に向けた日頃からの取組
⚫ 児童等への性暴力を防止し、また万が一発生してしまった場合に速やかな児童等の保護等につなげるためには、
未然防止・早期発見に係る日頃からの取組が重要と考えられる。
⚫ 未然防止の観点では、児童等への性暴力防止に向けたルールや取組を規定・周知すること、施設・事業所の環
境整備等により他の児童等や従事者等の目が行き届きにくい環境を可能な限り減らしていくこと、可能な場合に
は複数の従事者で児童等の見守りを行うこと、従事者等が加害者・傍観者にならないような研修等を進め、性
暴力への誤った思い込み・先入観を持つことがないようにすること、児童等が性暴力被害を認識できるような教
育・啓発を行うことなどが重要と考えられる。
⚫ 早期発見の観点では、特に、児童等への性暴力は、被害であると認識できなかったり、二次被害等を恐れて相
談しづらかったりすることから、児童等から自然に声が上がることを前提とするのではなく、事業者及び従事者が、
日頃から、児童等の心身の状況や言動に目を配り、気になる点、変わった点がないか把握に努めることや、被害
を訴えやすい環境を整備・周知することなどが重要と考えられる。
⚫ これまでの性暴力事案の中には、「信頼の厚い職員からの被害を受けたと言っても信用してもらえない」「同僚の言
動に違和感があったが、特に問題提起しなかった」という話が多くみられる。このため、早期発見につなげるには、
「より良い教育・保育環境の充実」の観点から、上司部下・同僚等の従事者間及び従事者と児童等との間で、
嫌なことや気になることを何でも話し合い、それを改善できる環境・雰囲気をつくり、共有することが重要と考えられ
る。これは性暴力に限らず、あらゆる問題の未然防止・早期発見につながる取組と言える。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(23ページ)
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変更後 · 23ページ第 2 章 性暴力防止への対応の全体像
(3)疑い段階から重く受け止めた対応
⚫ 事実関係が確定してから対応を開始するのではなく、性暴力の疑いの段階から重く受け止め、速やかに事実の有
無の調査、児童等の保護などの対応を開始することが重要である。
⚫ 被害児童等やその保護者、その他の児童等や従事者からの相談等により、性暴力の疑いが生じた場合に、組織
防衛心理から、それを放置又は隠蔽しようとしたりすることは、あってはならない。
(4)チームによる対応
⚫ 1人で抱え込まず、迅速かつ慎重に報告・連絡・相談することを徹底し、組織的に対応することが重要である。
⚫ 児童等への性暴力が発生すると、教育・保育等の現場にいる従事者は、大きな衝撃を受ける。現場の負担を軽
減し、適切な対応を行っていく上で、外部の機関や専門家等のサポートを得ていくことは有効と考えられる。
※個人塾等の少人数で教育・保育等を提供する事業の場合は、児童等への性暴力防止等の取組を推進する業
界団体等との連携も有効と考えられる。
(5)被害を受けた児童等を中心とした対応
⚫ 性暴力の疑いが生じた場合には、被害児童等の安全の確保を最優先にすることが重要である。
⚫ 対応にあたっては、被害児童等の発達段階や特性に応じて、被害児童等の人格を尊重し、本人の意思や気持
ちに十分に配慮しながら対応を進めることが重要である。
⚫ 他方、被害児童等が警察への通報・相談等を明示的に望んでいない場合であっても、被害児童等の安全を守
る観点から、犯罪の疑いがあれば、直ちに警察への通報・相談を行うなど、被害児童等の希望とは異なる対応に
なり得ることを、丁寧に説明し、理解を得ていくことも重要である。
⚫ 被害児童等に対する二次被害(例▶ 被害児童等を責める言動、被害児童等に関するうわさの発生)を防ぐ
ことが重要である。
⚫ 保護者とも、被害を受けた児童等を中心とした方針を共有し、解決に向けて連携することが重要である。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(24ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 24ページ第 2 章 性暴力防止への対応の全体像
2.安全確保措置のフローの全体像
事業者は、性暴力を未然に防止するとともに、日頃より性暴力が行われるおそれがないかどうかの把握に努め、性暴
力が疑われる場合等には、調査等を行い、児童等の保護・支援や更なる性暴力の防止のための措置を講じる必要が
ある。このような安全確保措置のフローは次のとおり。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(25ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 25ページ第3章 未然防止
第 3 章
未然防止
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(26ページ)
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変更後 · 26ページ第3章 未然防止
教育・保育等を提供する場において、従事者による児童等への性暴力を未然に防止するためには、事業者として児
童等への性暴力を決して許さないという姿勢を、内外に明確に示すことが有効と考えられる。
具体的には、全ての従事者(パートタイム、アルバイト、ボランティア等を含む)に、児童等への性暴力につながり得
る不適切な行為をさせないこと、また、そのような行為につながりやすい環境や組織体制等に潜むリスクを取り除くことが
有効と考えられる。
1.服務規律等の整備・周知
⚫ p7「性暴力、不適切な行為とは」の記載を参考にしつつ、就業規則、服務規程、業務マニュアル、事業者の行
動指針等その他の職場における服務規律等を記載した文書において、関連する法制度や各事業者における児
童等への性暴力防止のためのルールや取組を記載・周知し、全ての従事者の共通理解とすることが有効と考えら
れる(周知方法の例▶ 研修における周知、メール等による定期的周知、掲示)。また、これらのルールについて、
児童等や保護者等にも周知し、共通認識とすることも有効と考えられる(例▶ 「この施設では、職員は、外で
児童等と二人だけで会ってはいけないことになっています」等と伝える)。
⚫ これらのルールは、日々の教育・保育活動の中で生じた気づき(ヒヤリハットなど)を踏まえ、更新・追加していくこ
とも有効と考えられる。
⚫ 採用決定通知前にこうしたルール等について書面等で交付し、理解してもらった上で、誓約書を提出してもらうこと
も有効と考えられる。
⚫ 服務規律等を記載した文書では、性暴力や不適切な行為を行った者については厳正に対処すること等について
も記載し、周知することが有効と考えられる(参考資料編 に「1.行動規範・誓約書の文面例」を掲載)。
⚫ これらのルールは、言われなき批判や疑いから従事者を守ることにもつながると考えられる。
⚫ 服務規律等を記載した文書における児童等への性暴力防止に向けたルールとしては、次のような事例がある。
❖ 服務規律等を記載した文書に定める事項の例
分類 事例概要
ス マ ー ト フ ォ ン ・
SNS の使用
➢ 私用のスマートフォン等の写真・動画撮影が可能な電子機器を、業務外の目的で児童
等がいる場所で使用しない。
➢ 児童等と私的な連絡先(SNS アカウントを含む)を交換し、私的にやりとりしない。
➢ 私的な連絡先でのやりとりが業務上必要な場合も、1 対 1 でやりとりせず、複数人で把
握できる状況とする。
➢ スマートフォン等に、シャッター音がしないカメラアプリをインストールしない。
➢ 個人の SNS 等には、業務上撮影した児童等の写真を掲載しない。
児童等とのコミュ
ニケーション方法
等
➢ 職場・事業所の外で私的に児童等と会う約束をしない。
➢ 原則として、密室内で児童等と1対1の状態にならない。
※業務の性質上、児童等と密室で1対1で面談することが想定される場合は、例えば
そのような場面を予め定めて、上司等と共有すること、可能な限り扉を閉めないこと、窓
のある部屋で行うこと、密室で 1 対 1 対応となることを管理職や同僚にグループチャット
等で随時共有できる仕組みにすることなども有効と考えられる。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(27ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 27ページ第3章 未然防止
分類 事例概要
身体接触等
➢ 児童等の身体に接触をしない。【業務上、接触が不必要な事業の場合】
➢ 児童等に対して、業務上不必要な接触を行わない。【業務上、接触の必要がある事業
の場合※】
(不必要な接触の例▶ 胸、脇、腰、でん部、大腿部等を触る、抱きしめる、頬ずりす
る、膝に乗せる、おんぶする、マッサージする等。業務の特性に合わせて具体例を定め
る。)
※保育園等においては、児童等からスキンシップを求めてきたら可能な限り応じることが重
要であり、適切な身体接触は業務として行い得るものであることに留意する。また、スポ
ーツ教室等では、ハイタッチなど、業務上必要とは言い切れないものの、性暴力の防止
の観点から問題とならないような身体接触も想定される。
各業種に応じて、様々なケースがあるため、現場が過度に委縮することがないよう留意
しつつ、各業種のガイドライン等で具体的に検討し、適切な身体接触の内容につい
て、共通認識を形成することが有効と考えられる。
➢ 周囲に人がいたとしても、児童等の下半身がテーブル等で見えない状態で抱っこしない
(周囲に人がいるにもかかわらず、テーブルの下で下半身が見えなくなるよう抱っこしなが
ら、性加害をしていた事例がある)。
移動
➢ 不必要に、児童等を1対1になる状況で車に乗せない。
➢ 従事者による児童等の送迎を行う場合には、予め又は事後的に、どの児童等の送迎を
いつ行ったか、管理職等へ報告させるルールを設ける。
その他
➢ キャンプ等宿泊を伴う行事等は、引率者を複数人とする。
➢ たとえ児童等から求められた場合であっても、事業所外で私的に児童等と会う、SNS や
連絡先を交換する、性的・肉体的な関係を持つといった行為をしない。
※いずれも、教育・保育等を提供する上で必要な場合、事業者等が予め服務規律等で認めている場合、緊急時の
やむを得ない場合等を除く。
※共に協力して教育・保育等を提供する者(従事者等の派遣元、送迎サービスの外注先等)にも、服務規律等を
周知・連携することが考えられる。
◆未就学児への対応における取組の例◆
⚫ 身体的な接触を伴う行為(例▶ 着替え、トイレ、シャワー)が必要な場面においては、パーテーション等で児童
のプライベートゾーンが外から見えないよう環境を整備した上で、複数名で対応するとともに、密室状態にならない
よう配慮することが有効と考えられる。その際、児童の性別を踏まえた対応が有効と考えられる(性的指向の対象
が同性・両性の場合があることに留意する。同性だから安全ということではない)。
また、「これからお尻を洗うよ」等の声掛けをして、相手に境界線を越えることを伝えることが重要と考えられる。
⚫ 未就学児に対して1対1での個別対応を必要とする場合には、部屋の隅やドアを開けた個室などで対応し、密
室では行わないようにしている事例がある。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(28ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 28ページ第3章 未然防止
◆障害のある児童等への対応における取組の例◆
⚫ 身体的な接触を伴う介助(例▶ 着替え、トイレ、入浴)が必要な場面においては、パーテーション等で児童等
のプライベートゾーンが外から見えないよう環境を整備した上で、複数名で対応するとともに、密室状態にならない
よう配慮することが有効と考えられる。その際、児童等の性別を踏まえた対応が有効と考えられる(同性による介
助。なお、性的嗜好の対象が同性・両性の場合があることにも留意する。同性だから安全ということではない)
(再掲)。
また、「これからお尻を洗うよ」等の声掛けをして、相手に境界線を越えることを伝えることが重要と考えられる。
なお、身体観察(皮膚トラブル等)や医療的ケア(導尿や排便管理、皮下注射等)等、プライベートゾーンに
関わる処置を行う必要がある児童等の場合、児童等のプライバシー保護の観点から、個室又はパーテーションを立
てて対応を行うと、加害がされていたとしても他者が気づきにくくなるという課題がある。
一方で、児童等のプライバシー上1対1でのケアが求められる場合や、複数名での対応が体制上必ずしも担保で
きない場合があるため、プライバシー保護と性暴力防止の両者のバランスを考慮して、対応を考えていくことが有効
と考えられる。
⚫ 障害のある児童等については、1 対1でのケアが必要な場面、個人の連絡先を交換する必要がある場面(例
▶ 道に迷う、電車の運行停止により対処が難しい等のケースに備える)等があり得る。その場合にも、密室で
1対1にならないようにする、担当従事者を定期的にローテーションして複数の従事者と児童等との間に関係
性を構築する、担当従事者と児童等の間の連絡は、グループチャット等を活用して保護者や他の従事者が見
られるようにする(緊急時以外の1対1での連絡は原則禁止とする)等の工夫が考えられる。
⚫ 身体障害がある児童等については、支援に当たって児童等の日常生活動作の自立を促しつつ、児童等が自
分でできることと支援者が介助することについて、児童等本人と支援者が共通認識を持った上で、境界線を決
めることが有効と考えられる。
◆身体接触を伴うスポーツ教室等における取組の例◆
⚫ 指導の際に、身体接触をする必要がある場合は、その都度、必要性を説明するなどして、口頭で同意を取って
いる事例がある。
⚫ トレーナーは、マッサージ、テーピング、ストレッチ補助等、密室での身体接触が生じやすいが、1対1で密室で
行わない(例▶ 他者がいる場で行う)、マッサージなど児童等にとって必要性が必ずしも定かではない身体
接触については事前に必要性を説明し、同意をとってから行う等の取組が考えられる。
◆個人が 1 人のみで児童等に教育・保育等を提供する事業(個人塾、家庭教師、ベビーシッター等)における取組例◆
⚫ 上表の「服務規律等を記載した文書に定める事項の例」に記載されている事項等(例▶ 児童等と私的な
連絡先(SNS アカウントを含む)を交換し、やりとりしない等)を、保護者との契約書に記載すること等が考え
られる。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(29ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 29ページ第3章 未然防止
2.施設・事業所の環境整備
被害を未然に防止する観点から、他の児童等や従事者等の目が行き届きにくい環境を、可能な限り減らしていくこ
とや、「性暴力を許さない」等の意識を啓発するような環境整備が重要である。
❖ 過去に児童等への性暴力が発生した場所(目が行き届きにくい、死角となりやすい場所)の例
⚫ 学校:放課後の教室、空き教室、更衣室、トイレ、体育館倉庫、放送室 等
⚫ 保育所等:保育室(昼寝や着替え時)、空き部屋、トイレ、押し入れ 等
⚫ 習い事:教室、更衣室、トイレ、合宿所、(遠征時等の)宿泊施設 等
⚫ 児童福祉施設:空き部屋、建物の裏、送迎車、居室、リビング、風呂場 等
※特に児童等や従事者が少なくなる時間帯や、児童等と1対1になる状況で、性暴力が発生しやすくなる。
そのために、①ハード面として、物理的環境の見直しによる密室状態の回避(死角を把握して可能な限りなくす、
監視システム等を活用する等)、性暴力や不適切な行為を抑止する掲示や、②ソフト面として、巡回の実施・強化、
複数の従事者での児童等の見守り等の予防的取組が有効と考えられる。
目が行き届きにくい、死角となりやすい場所をなくしていくためには、事業者や従事者が、死角や密室等のリスクエリアや、
児童等や従事者が少なくなる時間帯を常に認識し、ソフト面(例▶ 巡回する時間帯や場所)を含め、継続して改善
を図っていくことが有効と考えられる。外部の視点を入れながら、リスクエリアを記録し、定期的な点検と改善につなげる事
例(取組事例集 :菊池市教育委員会「多様な地域関係者とともに校内の死角を点検・改善」参照)がある。
施設・事業所環境整備への取組について、次のような事例がある。
❖ 施設・事業所環境整備として行われている取組の例
分類 取組事例の概要
死角をなくす
➢ 全ての教室・部屋等は、内側からは施錠できないようにする。
➢ 普段使われていない教室・部屋等については、施錠を必ず行い、鍵の一元管理を行う。
➢ 複数の従事者で施設・事業所内を巡回し、死角の有無(例▶ 教室・部屋の窓を隠す掲
示物、廊下から確認できない教室・部屋内の場所)を確認・記録するとともに、それをなく
すように努める(例▶ レイアウトの変更、ポスター・展示物の撤去、ミラーの設置、摺りガラ
スの廃止等)。
➢ 死角をなくす変更が困難な場合にも、そのリスクを検証し、従事者の意識啓発につなげる。
➢ 施設・事業所の建替・改修を行う際には、廊下から教室・部屋が見えるようにする(例▶
低い仕切りにする、壁ではなく窓等のスペースを大きくする)など、死角を生じさせない観点
を加えて、配置を検討する。
➢ 専門家(警察、警備会社等)、関係者(保護者、児童等)の視点からも点検を行う。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(30ページ)
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分類 取組事例の概要
巡回を実施・
強化する
➢ 施設・事業所内の安全に関する責任者・担当者は、毎日の巡回時に、死角となる場所は
必ず巡回する。
➢ 巡回の際には、廊下等外からの目視で済まさず、実際に中に入り状況を確認する。
➢ 見回りは不定期に行う(同一時刻、同一ルートの見回りでは予測できてしまうため)。
➢ 使われていない教室・部屋等の施錠確認を行う。
➢ トイレや着替えをする部屋等に、盗撮用のカメラが設置されていないか定期的に確認する。
監視システム
等を活用する
➢ 防犯カメラや人感センサー等の監視システムを活用することで、性暴力発生の抑止力となっ
たり、異常の早期検知や、問題が起きた時の検証が容易になったりすることが期待できる。
その際、責任者や管理職以外の者が、監視システムを操作することができないようにする。
➢ 送迎車には、車内も撮影できるドライブレコーダー等を設置し、疑義が生じたら検証できるよ
うにする。
周知・
意識啓発を
強化する
➢ 施設・事業所内の目に留まりやすいところに、「この施設は性暴力を許さない」等のメッセージ
を発信する掲示物等を貼る。
➢ 性暴力や不適切な行為の例など、服務規律等の一部を掲示する。
◆個人が 1 人のみで児童等に教育・保育等を提供する事業(個人塾、家庭教師、ベビーシッター等)における取組の例◆
⚫ 個人塾の場合には、周囲の目が届く環境で教育を行うこと(例▶ 窓ガラス超しに通行人から死角なしで見え
るところでの指導、防犯カメラが設置されている場所での指導)が考えられる。
⚫ 自宅で教育・保育等が行われる家庭教師、ベビーシッター等の場合には、サービス提供中の見守りカメラによる録
画(又は保護者によるカメラの設置の推奨)を行い、疑義が生じたら、検証できるようにすることが考えられる。
⚫ 企業主導型ベビーシッター利用者支援事業におけるベビーシッターサービスについては、「ベビーシッターサービス
提供中のウェブカメラ等の設置及び運用に係るガイドライン」が公表されている。
https://www.acsa.jp/images/babysitter/webcam_guideline.pdf
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(31ページ)
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変更後 · 31ページ第3章 未然防止
コラム 防犯カメラの設置について
⚫ 防犯カメラ等は、性暴力の発生の抑止力となること、異常の早期検知が容易になること、性暴力の疑いが生じた
場合の事実確認の際、加害の事実がある場合にもない場合にもその証明となり、児童等・従事者の双方をトラブ
ルから守ること、性暴力が発生した際の証拠となり得ることから、被害申告を促す効果が考えられることといった点
から、性暴力の防止に有効であると考えられる。
⚫ その具体的な設置場所としては、例えば、目が行き届きにくい、死角となりやすい場所や、面談室など児童等と一
対一にならざるを得ない場所等が考えられる。
⚫ 防犯カメラ等の設置・運用に当たって、個人のプライバシー、児童等への心理的な影響、保護者の不安、従事者
の萎縮(教育内容、監視されることへの抵抗など)、目的外利用の禁止などが課題になることがある。そのため、
関係者間で丁寧な議論を行った上で、必要な運用ルールについて合意しておき、設置目的やルールについて関係
者に説明し、理解が得られるようにすることが重要と考えられる(例:性暴力が行われた疑いがある場合に限って、
録画又は録音内容の確認を行うなど)。
⚫ 特に、施設内での防犯カメラ等の映像は、業務上必要な範囲に限って利用することとし、私用端末は録画又は
録音には使用しないこと、不必要な複写や加工は行わないこと、映像の共有範囲を適切に限定することが必要
である。個人情報に該当するデータについては、個人情報保護法に則って適切に管理される必要がある。
※インターネットに接続されたカメラ等の情報セキュリティの向上については、「ネットワークカメラシステムにおける情報セ
キュリティ対策要件チェックリスト」(平成 30 年3月 30 日独立行政法人情報処理推進機構特定用途機器情
報セキュリティ対策検討委員会)を適宜参照すること。
⚫ また、面談室など児童等と一対一になる場合の記録のための防犯カメラ等による録画又は録音については、次の
ような対応が必要である。
・児童等の心理的障壁等の観点から業務の性質上支障がない場合、かつ、児童等や保護者の意向を丁寧に
把握した上で、その同意が得られた場合にのみ行うこと。相談の際の防犯カメラ等の設置、録画等の要否の判
断に当たっては、当該相談に対応するカウンセラー等の判断も尊重すること。
・防犯カメラ等を活用しない場合にも、その場で行われた会話等を最後に双方で確認するなど、トラブル防止のた
めの対応を行うこと。
※同様に、児童養護施設等の生活の場においては、特に児童等のプライバシーに配慮し、意向聴取・同意取
得等を丁寧に行った上で設置することが必要である。
⚫ 防犯カメラ等の設置に当たって、個人のプライバシー、現場の萎縮等に配慮するための工夫としては、
・撮影したデータは、何か事案が発生したときに検証するために用いることとし、何もなければ映像は見ない・非公
開にする・一定期間の後に消去するなどのルールを設けること
・責任者や管理職以外の者が、防犯カメラ等を操作することができないようにすること
・プライバシー保護の観点から撮影が難しい閉鎖的空間(例:児童等の居室、トイレ、更衣室、浴室)につい
ては、その入口にカメラを設置し、その際、室内が映らないよう入退室のみを記録し、被害の疑いが生じた場合の
検証に活用できるようにすること
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(32ページ)
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・録画だけでなく、録音を行う場合には、より個人のプライバシーに配慮する必要があるため、同意取得等を含め
て、丁寧な対応が求められること
が考えられる。
⚫ 児童等への性暴力は、発覚するまでに一定の期間がかかることが多く、証拠保全の観点からは、管理に必要な
負担も踏まえた上で、可能な限り長期間保存することが望ましい。このため、記録した映像の保存期間について
は、データを保存するストレージ容量、予算等を踏まえ、各現場で可能な限り長期間保存できるよう適切に決定
することになる。
⚫ 第5章で記載しているとおり、性暴力加害の疑いが生じ、当事者双方の意見が食い違う場合、適切に事実の有
無の評価を行うことが非常に難しくなる。
防犯カメラ等の設置は、児童等への性暴力抑止につながるほか、万が一性暴力の疑いが生じた場合における適
切な事実確認にもつながるという点で、重要と考えられる。
⚫ なお、防犯カメラ等は、従事者をトラブルから守ることにもつながるという視点で導入している事例がある(取組事
例集 :認定 NPO 法人フローレンス「カメラの設置による不適切保育の予防と検知」参照)。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(33ページ)
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3.児童等や保護者への教育・啓発
(1)児童等への教育・啓発
児童等は、発達段階や特性等により、性暴力被害を受けたと認識することができない場合があるため、それに乗じて
加害が行われやすくなったり、被害の発見が遅れたり、見逃されたりしていると考えられる。
児童等が性暴力の被害者、傍観者にならないような教育・啓発を、児童等の発達段階等に応じて行うことが、未
然防止・早期発見において、重要と考えられる。
児童等が、次の事項を知ることは、被害の未然防止や、万が一被害を受けた時の早期発見等につながると考えら
れる。
➢ 自分自身が大切な存在であると知ること
➢ 自身の身体や性の決定権は自分にあると知ること
➢ 性暴力とはどのようなものかについて知ること
➢ 被害を大人に言っても怒られないと知ること
次に掲げるもののほか、児童等の発達状況に応じて、p17「【コラム】若年層が被害者となった性暴力の加害者像」
等、データに基づいた性暴力被害の実態を児童等に教えることも有効と考えられる。
① こどもの権利
性暴力の防止に向けた教育・啓発の基礎となるのは、こどもの権利に関する教育・啓発であると考えられる。すべて
のこどもは生まれながらに権利をもっており、その権利には、「あらゆる暴力から守られる権利」や「あらゆる性的搾取から
守られる権利」が含まれる。
こどもの権利とは、誰かに支配されるのではなく、児童等自身が自分自身の人生を自分らしく生きるということであり、
児童等に、自分のことは自分で決めていいこと、自分の意見を言っていいこと、自分が嫌な時は嫌だと言っていいことを
伝えることは重要である。
日常的に、「こどもが生意気なことを言うんじゃない」「こどもは知識・経験が足りないのだから、大人の言うことを聞いて
いれば良い」というような言葉を聞くことで、自分の意見は聞いてもらえない・尊重されないという意識が形成され、「嫌だ
と思っても/言っても、信頼されている大人から嫌なことをされるのは仕方ない」「相談しても、どうせ信じてもらえない」と
いうような考えが形成されるおそれがある。
こどもの権利を学び、児童等は自分自身が大切な存在であることを知ることで、危険な状況になったときに「嫌」という
感覚を持つことや、それを表明することができるようになりやすくなると考えられる。
② 性に関するルール
児童等に対しては、次に掲げること等を伝えることが重要と考えられる。
➢ 「プライベートゾーン(水着で隠れる身体部分と口。自分だけの大切な場所)」を他の人に見せたり触らせたり
しないこと
➢ 他の人のプライベートゾーンを見たり触ったりしてはいけないこと
➢ それぞれの性の違いを認識し、互いの考えや気持ちを尊重すること
➢ 性的な言動で他の人を不愉快にしてはいけないこと
➢ 相手を従わせたり、嫌がることをしたりしないこと
➢ 人と人との間には安心・安全な距離があり、その境目を「境界線」と呼ぶこと、
➢ 自分と人の境界線を大切にすることは、みんなが安心・安全に暮らすために必要なこと
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(34ページ)
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これらを教える際、「被害に遭う/遭ったことは悪いことである」と児童等が思いこまないように、「自己肯定感」を前提
とした教育・啓発を行っていくことが有効と考えられる。
児童等には、性暴力を受けたり、見かけたりしたら、大切な存在である自分や友人を守る行動(「NO」(イヤとい
う)、「GO」(その場から離れる)、「TELL」(誰かに話す))を選べることを教えることが有効と考えられる。自己主
張が苦手な児童等の場合、実際に児童等が「NO、GO、TELL」の行動をとれるようになるには、普段から練習すること
が有効と考えられる一方、性暴力の場面を想定して練習することは、様々な配慮が求められるため、専門知識や経験
を有する者が行うことが重要と考えられる。
専門知識や経験を有する者との連携が難しい場合は、日常的な場面において「イヤだ」と言えるようになる練習
(例▶ A さんからの「ラーメンを食べに行こう」との誘いを B さんが断る練習)を行うことも有効と考えられる。
このほか、児童等の発達段階に応じて、次の(ア)から(ウ)までに掲げる事項を伝えておくことも有効である。
(ア)身近な人からの性加害が多く、 誰でも性被害に遭うリスクがあること
(イ)性的なことについてうわさを立てることは、被害者の心を傷つけ、二次的な被害を与えることであり、うわさを立
てたり拡げたりしてはならないこと
(ウ)こうしたことは、被害者だけでなく、(もしかしたら将来被害に遭うかもしれない)自分や友人を守ることにもつ
ながること
性行動のルール
⚫ ほかの人のプライベート・パーツ(大切な場所)を触ってはいけない
⚫ ほかの人に自分のプライベート・パーツを触らせてはいけない
⚫ ほかの人のプライベート・パーツをのぞき見てはいけない
⚫ 自分のプライベート・パーツを見せてはいけない
⚫ 自分のプライベート・パーツを触ってもいいのは、ひとりでいるときだけ
⚫ 性的な言動でほかの人を不愉快にさせてはいけない
境界線のルール
境界線はみんなの安心・安全を守るもの。自分の境界線も人の境界線も大切にしよう。
⚫ 物理的境界線:自分のもの、自分のからだ
⚫ 心理的境界線:ふれてほしくない話題、言われたくないこと など
⚫ 社会的境界線:規範や監修、法律 など
(出典:藤森和美・野坂祐子編「子どもへの性暴力 第2版」、第3章「性暴力を受けた子どもの性問題行動」
(執筆:浅野恭子))
さらに近年では、インターネットや SNS が性暴力のきっかけやツールとなる事例が増えている。インターネットや SNS の
適切な利用方法や、インターネットや SNS の危険から児童等を守るためのルールづくり等を学ぶことも有効と考えられる。
文部科学省が学校教育において推進している「生命(いのち)の安全教育」の教材等も活用しながら、各事業者
においても、児童等への性暴力防止に向けて、児童等への教育・啓発を行うことが有効と考えられる。
その際、保護者の中には、こうした教育・啓発を十分受けていない場合があり、自らの児童等がこうした教育・啓発を
受けることについて、驚く場合があると想定される。このため、予め保護者には、こうした教育・啓発を児童等に対して行
うことの意義等を周知し、心の準備をしてもらうことが有効と考えられる。
なお、学校、保育施設等については、既に教員性暴力等防止指針及び保育士性暴力等防止基本指針に基づき、
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(35ページ)
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こうした教育・啓発を行うべきことが位置付けられており、また、通園・通学する児童等が多いことから、こうした教育・啓
発を行う中心的施設となると考えられる。その際、児童等への相談窓口の周知やアンケートの実施等にあわせて教育・
啓発を行うなど、日々の教育、保育活動の中で取り組むことが望ましい。
「生命(いのち)の安全教育」
⚫ 目標: 生命(いのち)の尊さや、性犯罪・性暴力の根底にある誤った認識や行動、また、性犯罪・性暴力
が及ぼす影響といった性犯罪・性暴力の防止・対処に関する知識やスキル、一人一人の人権を尊重する態
度等を身に付け、各段階等に応じて適切に対処できるようにする。
⚫ 各段階におけるねらい(概要)と指導内容:
発達段階 ねらい(概要) 指導内容
幼児期
➢ 幼児の発達の段階に応じて、自分の体は、自分だけのものであり
大切にすること、それは他者も同様であることを意識する。
➢ また、自分の体を見られたり、触られたりして嫌な気持ちになったと
きには、「いやだと言う」、「逃げる」、「安心できる大人に相談する」
というような対応方法を知る。
・ 自他の尊重
・ 水着で隠れる部分
小
学
校
低中
学年
➢ 自分と相手の体を大切にする態度を身に付けることができるように
する。
➢ また、体全部が大切であること、とりわけ水着で隠れる所は自分だ
けが見たり触ったりしてよい大切な所であり、他者も同様であること
を知る。
➢ さらに、嫌な気持ちになる場面について考え、自他の体を守るため
の同意の基本と、複数の対応方法を知る。
・ 自他の尊重
・ 水着で隠れる部分
小
学
校
高
学年
➢ 自分と相手の心と体を大切にするために、「自分だけの大切な所」
を守るルールとして距離感(境界線)を理解できるようにする。
➢ また、性暴力の基本的な事柄を理解するとともに、インターネットや
SNS 等の事例を踏まえ、被害に遭ったとき等に適切に対応する力
を身に付けることができるようにする。
・ 自他の尊重
・ 水着で隠れる部分
・ インターネット利用の
注意点
中学校
➢ 距離感(境界線)や性的同意等の理解を通して性暴力に関する
正しい知識を持ち、性暴力が起きないようにするための考え方・態
度を身に付けることができるようにする。
➢ また、本人や友人が被害に遭った際の対応方法や、具体的な相
談先や手順を知り、適切に対応する力を身に付けることができるよ
うにする。
・ 自他の尊重
・ インターネット利用の
注意点
・ 性暴力について
・ デート DV
高校
➢ 性暴力の現状や距離感(境界線)、性的同意等を理解すること
で、性暴力が起きないようにするために自ら考え行動しようとする態
度を養う。
➢ また、性暴力が起きないようにするために自ら考え行動しようとする
態度や関連法等を理解し、性暴力が起きたときに適切に対応す
る力を身に付けることができるようにする。
・ 自他の尊重
・ インターネット利用の
注意点
・ 性暴力について
・ デート DV
・ JK ビジネス
・ セクシャルハラスメン
ト
特 別 支 援
教育
➢ 障害の状態や特性及び心身の発達の段階等を踏まえた指導を
通して、児童生徒等が性暴力について正しく理解し、適切に対応
する力を身に付けることができるようにする。
・ 自他の尊重
・ 水着で隠れる部分
・ インターネット利用の
注意点
・ 性暴力について 等
⚫ 手引き・教材等:文部科学省「生命(いのち)の安全教育」のサイトにて、指導の手引き、教材(スライド
教材、動画教材)、指導例動画、実践事例集を掲載。
⚫ 参照:文部科学省「生命(いのち)の安全教育」サイト
https://www.mext.go.jp/a_menu/danjo/anzen/index2.html
⚫ 参照:文部科学省「性犯罪・性暴力対策の強化について」
https://www.mext.go.jp/a_menu/danjo/anzen/index.html
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(36ページ)
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変更後 · 36ページ第3章 未然防止
◆未就学児への対応における留意事項の例◆
⚫ 低年齢の児童にも分かりやすいように、絵本、紙芝居等の教材を用いて、プライベートゾーン等について、分か
りやすく伝えている事例がある。
⚫ フワフワ、ザラザラなどの「感覚・感触」を共有する素材を用いて、従事者からの接触の仕方について「心地よい
か/よくないか」「嫌ではないか/嫌か」等を確認しながら、児童自身の理解を促す事例がある。
◆知的障害、発達障害等のある児童等への対応における留意事項の例◆
⚫ 障害のない児童等と教育・啓発の内容を変える必要はないが、障害の内容に応じて、丁寧に伝える、伝え方
を工夫することが有効と考えられる。例えば、短文での説明、言葉だけでなくイラストや写真を用いた視覚的な
説明、否定的な話よりも肯定的な話を優先しての説明(例▶ 心地よく安心な状態を学んでから、嫌で不安
な状態を学ぶ)等が有効と考えられる。
⚫ 未就学児同様に、フワフワ、ザラザラなどの「感覚・感触」を共有する素材を用いて、従事者からの接触の仕方
について「心地よいか/よくないか」「嫌ではないか/嫌か」等を確認しながら、児童等自身の理解を促す事例
がある。
⚫ 障害のある児童等は、自己肯定感を持ちにくいこと、性暴力を拒否しにくい状況にあること(例▶ 支援がな
ければ生活に支障が出るため、支援者に逆らえない)など、性暴力に脆弱性を有することを念頭に置き、教
育・保育等を提供することが有効と考えられる。また、支援者などの担当従事者は変更できることを、児童等が
認識することも有効と考えられる。
⚫ 知的障害や発達障害がある児童等については、自己と他人との価値観等の違い(自他の境界)への理解
があいまいである場合が想定されることから、他人との関わり方について児童等に伝える際には、「〇〇しちゃダ
メ」ではなく、「〇〇すると、かっこよい」など、内発的動機付けを踏まえた伝え方で、工夫している事例がある。
⚫ 学んだことを記憶しておくことが難しい児童等もいるため、短い時間で、同じイラスト教材等を用いて、繰り返し
伝えることが有効と考えられる。
⚫ いざという時に性暴力を受けたことを表現できるようになるため、定期的に、ロールプレイング等の形態で、プライ
ベートゾーンに性被害を受けたと開示する練習(紙で作成した人形が性暴力を受けたとの設定で、その被害
を表現し、従事者に伝える練習)をしている事例がある。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(37ページ)
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変更後 · 37ページ第3章 未然防止
◆小規模住居型児童養育事業者、母子生活支援施設、児童養護施設、障害児入所施設、児童心理治療施
設、児童自立支援施設、指定発達支援医療機関、児童相談所(一時保護施設を含む。)等の場合◆
⚫ こどもの置かれた状況や子どもの権利などを記したいわゆる「子どもの権利ノート」等を活用し、こどもの発達に応
じて、被措置児童等が自らの権利や必要なルールについて理解できるよう学習を進めることなどが必要である
(年齢に応じた理解・周知の反復)。
(出典:こども家庭庁「被措置児童等虐待対応ガイドライン」より一部抜粋)
⚫ その中で、性暴力防止についても教育・啓発することが考えられる。
⚫ 従事者と児童等が生活をともにする施設の場合、施設・事業所環境整備(死角をなくす、巡回を実施・強
化する、監視システム等を活用する)には限界があることもあり、児童等への教育・啓発(及び従事者への研
修)が一層重要となる。
⚫ 虐待等を受けた児童等の場合には、大切にされたと実感できる養育が少なかった、自分の誕生・存在をマイナ
スに捉えがち、自他の境界が曖昧になりやすい等の背景から、自己肯定感を高める教育(あなたは大切な存
在である)、自己の誕生を肯定する教育(生まれてきてよかった)、境界線やプライベートゾーンの教育等が
重要となる。
(出典:小木曽宏編「児童福祉施設における性的問題対応ハンドブック」より抜粋・要約・一部編集)
⚫ 性暴力を受けた経験のある児童等においては、性暴力に関する教育・啓発を受けた際に、フラッシュバックが生じる
など、心身が不安定になることもあるため、児童等へ教育・啓発を行う際には、従事者による配慮・注意が求めら
れる。
(2)保護者への教育・啓発
保護者は、日頃から教育、保育等の現場と一体となって児童等の成長を見守る重要な役割を担っていることから、
性暴力の防止に向けた教育、保育等の現場の取組について理解を求めることが必要である。
また、児童等が性暴力被害を受けた場合に、その保護者は、違和感に気づいたり、児童等から被害の開示を受け
るとともに、児童等の回復を支える最も身近な存在として、適切な対応を取ることが期待される立場にある。
一方、児童等とともに保護者も大きな精神的ダメージを受けるため、対応が混乱してしまうことがある。例えば、
⚫ 児童等を責めて(例▶ 「なぜ逃げなかったの」「なぜ早く言わなかったの」と問う)、児童等の心理に悪影響を及
ぼし得る(このように責められる恐れがあると、児童等が保護者に被害を訴えにくい状況が生じ得る)
⚫ 保護者が捜査機関による代表者聴取(協同面接)の前に誘導を用いた詳細な事実確認を行ってしまい、児童
等の記憶が汚染され、その証言が、司法手続において証拠として採用されにくくなる(「代表者聴取(協同面
接)」については p63 のコラム参照)
⚫ 性被害に関する保護者の理解が十分ではなく(例▶ 「ちょっと触られたくらいで大袈裟だ」「かまってほしくて嘘を
ついている」と思いこむ)、被害を防ぐ手段が取れない
といったことが懸念される。
そのため、保護者に対しても、こども家庭庁が作成・公表している保護者向け周知用資料ひな型も活用しながら、こ
ども性暴力防止法に基づく取組をはじめとした教育、保育等の現場における取組(定期的なアンケート・面談の実施
など)を理解してもらうことが重要である。また、児童等のケアの観点から、児童等が学習した内容を周知するなどして、
性暴力とは何かを知ってもらうとともに、児童等が被害にあった場合の対応やこどもの権利等について、次のリーフレット
等を配布するなどして、予め情報提供することが重要と考えられる(いずれも参考資料編 に掲載)。
⚫ 内閣府・こども家庭庁「こどもたちのためにできること~性被害を受けたこどもの理解と支援~」
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(38ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 38ページ第3章 未然防止
https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/seibouryoku/pdf/pamphlet_2023_02.pdf
⚫ 子どもの性の健康研究会リーフレット「子どもをささえるためにできること~性暴力被害にあった子どもの回復のため
に~」 http://csh-lab.com/wp/wp-content/uploads/2017/02/sasaeru.pdf
⚫ こども家庭庁 こども基本法パンフレット「すべてのこども・おとなに知ってほしい こども基本法とは?」(こどもの権
利条約の概要を含む)
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/40f97dfb-
ff13-4434-9ffc-3f4af6ab31d5/2bdb80fa/20230401policies-kodomokihon-01.pdf
● こども家庭庁 こどもの権利リーフレット「ちかごろよく聞く こどもの権利って!?」
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/3d76a9a4-
6b2e-470b-b84c-c51547f467c7/95c1386c/20250609_policies_childrights_01.pdf
保護者に対する周知・啓発に当たっては、保護者説明会の際や日々の取組(相談窓口の周知の際など)の中で、
適切に周知・啓発を行うことが望ましい。
特に、「不適切な行為」については、事業内容等に応じてその範囲が異なり得るものであることから、児童等・保護
者・従事者が共通認識を持つことがトラブル防止の観点から非常に重要となる。このため、ルール作りの際に保護者に
も意見を照会したり、定期的に周知したりすることが望ましい。
また、被害の早期把握においては、保護者の気づきも重要なきっかけとなるものであり、本横断指針p42「性暴力
被害や不適切な行為を訴えやすい仕組み」も参照しながら、児童等の様子が気になる際や、児童等から気になる発
言を聞いた際の相談先を明確に設定して周知すること、相談を行うことへの保護者の心理的ハードルを下げるための工
夫を行うことも重要である。
こども性暴力防止法の対象事業者が保有する犯罪事実確認の結果に関する情報や、性暴力の疑い等に関する
情報については、個人の重要なプライバシーにかかわるものであり、これに関するうわさが生じた場合には、当該児童等
を大きく傷つけたり(二次被害)、当該従事者の利益を大きく損なったりするだけでなく、こども性暴力防止法への信
頼を失墜させ、制度そのものが有効に機能しないおそれが生じることとなる。このため、保護者に対して、うわさを立てた
り広めたりしないよう、丁寧に周知し、協力を呼び掛けることが重要である。
また、事業者が性暴力の疑いに関する調査を行っている際などに、その時点で被害を受けた疑いのある児童等の保
護者以外の保護者がうわさ等を根拠に事業者に過度に説明を求めるようなことは、事業者としての性暴力の防止のた
めの措置に、かえって遅れや混乱、児童等・保護者への二次被害等を生じさせること等にもつながり得る。このため、何
か事案が発生した場合の対応として、事後になったとしても可能な範囲で保護者への説明を行うことや、その時機につ
いては適切なタイミングとすることを、あらかじめ周知しておくことが考えられる。
※こども家庭庁「保護者向け周知用資料ひな型」参照。
https://www.cfa.go.jp/policies/child-safety/efforts/koseibouhou/hinagata
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(39ページ)
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変更後 · 39ページ第3章 未然防止
4.従事者への研修
児童等は、発達段階や特性等により、性暴力被害を受けたと認識できないことがあるため、従事者には、被害児童
等に生じ得る反応や被害の兆候を理解し、言動、体調、対人関係、生活状況等の変化を適切に把握することが求
められる。そして、対応にあたっては、被害児童等の二次被害を防止し、心身の負担を最小限にとどめるとともに、被害
児童等の安全、尊厳、意思及び最善の利益を踏まえた対応を行うことが重要である。このため、全ての従事者(パー
トタイム、アルバイト、ボランティア等を含む)が、こどもの権利を理解し、児童等への性暴力加害の抑止や、性暴力の疑
いが生じた場合の対応に関する理解を深め、未然防止・早期発見につなげることが重要である。特に、加害者の中には、
「少し触っただけで大したことではない」「実は児童も喜んでいる・嫌がっていなかった」「児童が好意を寄せてきており、そ
れに応えただけ」など、「認知の偏り」と呼ばれる一方的な思い込みに陥っている者もいることから、従事者が、「性暴力
はどこでも起こり得るものだ」との意識を持ち、こどもの権利や性暴力の要因についての理解を深めることにより、加害者
になることを未然に防ぐことも期待される。そのため、児童等に教育・保育等を提供する事業の経営者は、こどもの権利、
性暴力防止等に関する知識や認識の共有に向けて、自らが率先して研修を受講するとともに、従事者への研修機会
を確保することが求められる。
実効的な研修にするためには、いかに「自分ごと」と思えるか、性暴力の疑いが生じた際に取るべき行動をシミュレーショ
ンすることができるか等が重要と考えられる。支配性、閉鎖性等が強く、ストレスが大きい環境等においては誰もが加害を
行い得ることを伝え、教育・保育等の現場で実際に発生し得る事例を基にしたケーススタディ等を行うことが、未然防止・
早期発見に向けて重要と考えられる。「自分ごと」にして、実際に行動できるようにしていくには、1回限りではなく、繰り返
し行うことで意識等を定着させていくことが重要と考えられる。
こども性暴力防止法の施行後は、同法の対象事業者に対し、従事者に研修を受講させることが義務付けられること
を踏まえ、こども家庭庁では、令和8年4月、従事者向け研修教材として、標準動画、研修資料、演習資料、確認
テスト等を作成・公表した。対象事業者以外の事業者も含め、これらの教材を活用して従事者に対する研修を実施
することが重要である。事業者が実施すべき研修の概要、実施方法、体制整備、記録管理、評価と見直しなどについ
ては、教材とともに公表された「こども性暴力防止法に関する研修の手引き」において整理・解説されているので参照。
なお、前述の「生命(いのち)の安全教育」には、一般向けの啓発資料も用意されているため、従事者向け研修に
本資料を活用することも考えられる。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(40ページ)
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変更後 · 40ページ第3章 未然防止
❖ ワークショップで取り扱うテーマ例(ケーススタディ、ロールプレイングのテーマ例)
⚫ 同僚や児童等からの信頼が厚い同僚や信頼する上司が、児童等の肩や足をマッサージしている様子を見たと
きに、あなたはどうするか。
⚫ 女児が「先生/職員と恋愛関係にある」と言っていることが、児童等の間でうわさになっているのを聞いたときに、
あなたはどうするか。
⚫ 現場で悩む、児童等とのスキンシップの内容は何か。小学生以上の児童等から、「手をつなぐ」「ハグ」「抱っこ」
「肩車」してほしいと求められる、又は急にしてきた場合に、どう対応するか。
⚫ 児童等から、「〇〇先生に色々と相談をしていたら、キスされたり、触られたりした。すごく嫌だったわけじゃないけ
ど、気持ちがもやもやしている。絶対に誰にも言わないでほしい。」と相談された時に、どう対応するか。(児童
等役・相談を受けた者の役でロールプレイング)
⚫ 〇〇(従事者から児童等への性暴力又は不適切な行為)を目撃したため管理職に伝えたが、「まさかそん
なことはないだろう。疑ってかかるのはよくない」と言われたときに、あなたはどうするか。
※こども家庭庁が作成・公表している演習資料も参照。
※現場で体験し得ることや、意見が分かれそうなグレーな事例をテーマにすることで、議論がしやすくなると考えられる。
❖ 研修の実施に当たっての工夫の例
⚫ 同じ研修を複数の従事者が同時に受講することで、どのように職場に生かしていくことができるかについて具体
的な議論が行われやすく、実際の改善につながりやすいという事例がある。
⚫ 異なる施設・事業所、異なる役職・職種等から多様な受講者の参加を得ることで、複数の観点・価値観から
の意見が得られ、自分の常識にとらわれない研修の場になるよう工夫する事例がある(取組事例集 :一
般社団法人 S.C.P. Japan「スポーツにおけるセーフガーディング研修」参照)。
⚫ 一時的に教育・保育等に携わる従事者(アルバイト、ボランティア等)で、研修受講が困難な場合には、服
務規律等を定めた文書や、性暴力の疑いが生じた場合の対応等についての資料の確認、動画教材の視聴
等を行ってもらう事例がある。
⚫ 研修後に、研修に参加してどのように感じたか等を振り返ってもらうフォローアップも、従事者の性暴力に対する
意識を把握する上で、有効と考えられる。
⚫ なお、可能であれば、保護者や関係者との信頼関係を築き、地域ぐるみで性暴力防止に取り組んでいくことも
有効と考えられる。保護者を交えて従事者への研修を行う事例や、地域の関係者が連携して性暴力防止に
取り組む事例がある(地域との連携事例は、取組事例集 :菊池市教育委員会「性暴力防止に向け
た、学校と地域関係者間の顔の見えるネットワークの構築(対策連絡協議会)」参照)。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(41ページ)
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変更後 · 41ページ第3章 未然防止
◆未就学児への対応における留意事項の例◆
⚫ 保育従事者等に対する未就学児への対応についての研修では、言葉を発しない乳幼児の段階から児童を尊
重した接し方をすることが大切であるため、おむつ替え、抱っこ、ミルク等の行為の都度、きちんと言葉かけをする
ことを指導しており、このようなこどもの人権に対する意識づけは、性暴力の未然防止にもつながると考えられる。
⚫ 特に被害を認識することが難しい未就学児の性暴力被害を早期に発見するためには、日常観察による児童の
変化の察知が重要であるため、定期的に児童観察研修を実施し、保育従事者が、児童の異変を早期発見で
きるスキルや意識の向上に努めている事例がある。
◆障害のある児童等への対応における留意事項の例◆
⚫ 障害のある児童等に対応する教育・保育等の現場では、従事者と児童等が 1 対1になりやすい、身体接触
を伴う介助等が必要である、個人の連絡先を交換する必要がある等の特性から、性暴力が「起こるリスク」や
「潜在化するリスク」が比較的高いことを経営者・従事者ともに認識することが有効と考えられる。
⚫ 従事者間で、「性」について語り慣れておくことが、性に関する事象の早期発見につながるため、性に関する勉
強会や従事者からの相談会を高頻度で開催している事例がある。
⚫ 障害児通所支援事業等では、障害者虐待防止法及び事業所の指定基準に基づき、従事者に虐待防止に
関する研修を行うことが必要であるが、従事者が過去に障害者関係の施設に従事していた経歴を有していたと
しても、改めて必要な研修を行うことが重要と考えられる。
◆小規模住居型児童養育事業者、乳児院、母子生活支援施設、児童養護施設、障害児入所施設、児童心
理治療施設、児童自立支援施設、指定発達支援医療機関、一時保護施設等の対応の例◆
⚫ 都道府県や児童相談所、市町村、学校、医療関係者、児童家庭支援センター、里親支援センター、フォス
タリング機関、児童委員など被措置児童等と関わる機会が多い関係者が定期的に集まり、被措置児童等の
権利擁護や虐待への対応等に関する研修やケーススタディを実施すること、要保護児童対策地域協議会の
機会を利用して、被措置児童等虐待の防止や権利擁護に関しても協議する機会を設けることなども必要で
ある。
(出典:こども家庭庁「被措置児童等虐待対応ガイドライン」)
◆居場所支援における留意事項の例◆
⚫ 居場所支援を利用する小学生以上の児童等の中には、家庭の事情等から愛着に課題がある児童等が多く
みられ、抱きつきたがる、抱っこ・おんぶをしてほしがる、膝に乗りたがる等の言動が見られ、身体接触が生じや
すい。こうした中で、従事者が加害者になってしまうことを避けるため、ヒヤリハット等のケースを基に、丁寧に研
修・指導を提供する事例がある。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(42ページ)
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変更後 · 42ページ第4章 早期把握・相談
第 4 章
早期把握・相談
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(43ページ)
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変更後 · 43ページ第4章 早期把握・相談
性暴力は、児童等から被害を訴えることが非常に難しいケースが多く、早期発見のためには、児童等の発するサイン
を理解することや、日常生活の観察、児童等との会話等により変化を察知することが有効と考えられる。
また、相談体制の整備・周知や、定期的な面談・アンケート調査等により、児童等が被害を訴えやすい仕組みを整
えることや、性暴力や不適切な行為の情報を検知した場合に、事業者内外にいち早く報告するルールを設けて、従事
者に分かりやすく周知することも有効と考えられる。
1.児童等の日常の観察・会話
児童等の普段と異なる挙動に従事者が気づくことにより、性暴力の事実が判明することがある。従事者には、日頃か
らの児童等の見守りを通して、児童等の小さな変化や SOS 信号を見逃さない努力が望まれる。
被害児童等の行動には、性暴力被害を反映するような行動がみられることが知られており(下表の「日常的に気に
かけてほしい児童等の変化の例」参照)、研修等において、従事者が日常的に気にかけるべき児童等の変化に触れ
ることが重要である。また、多様な視点・観点から児童等の行動をみるために、かつ担任など児童等にとって最も身近な
者が性加害を行っている可能性があることを踏まえ、担任等だけでなく、複数人で性暴力被害の兆候の有無を観察す
ることが有効と考えられる。
事業者は、従事者に日常から児童等に変化がないか観察を行ってもらうとともに、些細なことでも気になる点があれ
ば上司に報告してもらい、当該児童等又はその保護者と会話を行う等により、早期発見につなげることが有効と考えら
れる。
また、従事者間で、気づきや意思、些細な違和感を共有しやすく、改善につなげやすい環境・雰囲気づくりを行うこと
や、従事者と児童等の間でも心理的に安全な環境・雰囲気づくりに努め、児童等から従事者に対し、気づきや意思、
些細な違和感を共有しやすくすることも重要である。
❖ 日常的に気にかけてほしい児童等の変化の例
⚫ 児童等に対する性暴力は、被害児童等の心身に重大な影響を及ぼし、その影響が、下表のような心身の不
調や問題行動として現れることがある。ただし、その影響は、被害の状況、それに対する児童等の認識、被害
後の周囲の対応等によって異なり、個人差がある。
⚫ なお、下表のような変化は、性暴力のみならず、他の出来事が原因で生じることもあるものである。該当する変
化がみられたからと言って、必ずしも性暴力被害が生じていることを示すものではないことに留意する。
気にかけてほしい児童等の変化(性暴力を受けた児童等によくみられる反応)
からだの変化 ・ 体調不良(頭痛、腹痛、吐き気、倦怠感など)
・ 過呼吸、動悸、過度な発汗
・ 不眠など(眠れない、怖い夢を見る、睡眠時に叫び声を上げるなど)
・ 食のトラブル(食欲不振、過食)
・ 排泄トラブル(頻尿、夜尿、下痢など)
こころの変化 ・ 元気がない、過度に元気
・ 情緒不安定
・ 集中力の低下、ぼんやりしている、学力不振
・ イライラしている
・ 自信をなくしている、自己卑下をする
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(44ページ)
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変更後 · 44ページ第4章 早期把握・相談
行動面の変化 ・ 人との距離の変化(人と接したがらない、過度に人との距離が近い)
・ からだを触られる、肌を見られるのを嫌がる
・ 性的な行動の変化(性的な話題を過度に避ける、性的な言動が増える)
・ 反抗的になる、乱暴になる、非行(飲酒、喫煙、家出など)
・ 自傷行為(リストカットなど)
・ 特定の人物との関係が不自然(過度に避ける、過度に接近する)
⚫ 従事者は、このような変化(症状・反応・行動等)に気づいたときは、背景に性暴力被害あるいは何らかので
きごとの可能性があることを念頭に入れ、児童等本人に声掛けをして対話につなげるとともに、同僚や上司に
報告・相談し、結果を記録することが有効と考えられる。
⚫ 声掛け(「最近どう?」「元気がないみたいだけど」等)しても、児童等はすぐには被害を開示しないことが多い
(p14「被害の相談・開示までのプロセス」を参照)。そのため、声掛けを 1 度して問題なかったからといって放
置せずに、継続的な対応(「何かあったら話してね」、定期的に声掛けする等)につなげることが有効と考えら
れる。一方、性暴力被害の話がなされた際には、p56「発覚時の初期対応」に沿って対応することになる。
◆未就学児への対応における留意事項の例◆
⚫ 幼少期においては、性暴力を受けていると認識できていない児童が多く、児童は明確に SOS を出せずとも、
日々の行動変化からシグナルを出している。
⚫ 児童の「変化」(陰部を擦るなど、ある行動の頻度が増える、隠れて行うようになる等)に気付くことができるよ
う、日常の様子を見ることが有効と考えられる。変化に気づいたら、保護者への聴き取りを併せて行い、自宅で
どのような行動をしているか把握し、必要に応じて対応につなげることが有効と考えられる。
※陰部いじりは、一般的な成長の過程でも見られる行為であることに留意する。
◆障害のある児童等への対応における留意事項の例◆
⚫ 特に、知的障害のある児童等、重症心身障害児等においては、年齢が上がっても意思疎通が円滑にできな
い児童等がいるため、児童等の様子に普段と変わりはないか、特に気を配り、小さな変化・言動を見落とさな
いことが早期発見のポイントになると考えられる。
⚫ 知的障害のある児童等に特徴的な性暴力被害の兆候について、例えば次のようなものが挙げられる。
・ 怒り・攻撃性が強くなる
・ 挑発的な行動が増える
・ 話さなくなる、考え込む、元気がなくなる、鬱っぽくなる、引きこもる
・ 以前習得した技能・コミュニケーションが失われる 等
⚫ 普段と様子が違うと感じた際には、児童等やその保護者とコミュニケーションを取ることが有効と考えられる。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(45ページ)
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変更後 · 45ページ第4章 早期把握・相談
2.性暴力被害や不適切な行為を訴えやすい仕組み
性暴力は、児童等から被害を訴えることが非常に難しいものであるが、児童等が性暴力被害や不適切な行為を訴
えやすい仕組みとして、複数の相談ルートがあることが重要であり、相談体制の整備・周知や、面談・アンケート調査の
実施が挙げられる。
(1)相談体制の整備・周知
ア.事業者内の相談体制の整備・周知
性暴力被害にあった児童等やその保護者の中には、相談窓口の見知らぬ人よりも、信頼する身近な従事者などに
相談するケースが少なくなく、まずはそのような相談を受けたときに、相談を受け得るあらゆる従事者が、適切な対応が
できるように、研修等を行うことが有効と考えられる(相談を受けた際の注意点等は、p56「発覚時の初期対応」を参
照)。
また、被害児童等やその保護者等ができるだけ早く相談できるよう、複数の相談ルートからなる相談体制(例▶
相談先となる人(相談員)や部署(相談窓口)の選定・設置)を整備し、それを周知することで、身近な従事者
には相談しづらい場合や、性暴力に該当しない「不適切な行為」の場合についても、事業者として早期に把握して対
応することが可能になると考えられる。
被害児童等が相談をしやすくなる工夫としては、まず、「希望する性別の相談員に相談できるよう、性別に配慮して
複数の相談員を置く」「事業者内の異なる部門(管理部門など)に窓口を設けたり、必要に応じて外部に委託して
相談窓口を設けたりするなど、相談窓口の第三者性を確保する」「面識がない相談相手の方がかえって話しやすい児
童等のために、外部の相談窓口を複数周知する」「相談を受ける体制(複数名、カウンセラー等の同席、一対一等)
について、可能な限り児童等の意向を踏まえて判断する」などにより、複数の相談先から選択できるようにすることが有
効である。
次に、「手紙やメール、SNS、相談フォームなど、文字で相談できる」「匿名で相談できる」「性暴力以外のことも相談
できる」、「相談は悪いことではなく、積極的に行ってよい」ことなどを周知などの際に明示することが考えられる。
また、相談したらどうなるか等、相談者が気になる事項を、児童等が理解しやすい表現で、あわせて周知することが
有効と考えられる。その際、児童等ができるだけ相談を躊躇することのないよう、情報の共有範囲や「相談者や相談内
容等の情報は厳格に取り扱われること」「加害を行った者への確認等は組織としての慎重な検討を経て適切になされる
こと」「相談を行った児童等が不利益な取扱いを受けないこと」等を伝えることが考えられる。
さらに、相談を受ける者は、「話をしっかりと受け止め、話を聞くことを主眼とする」「共感して寄り添う」「責めたり、否
定したり、言いたくないことを無理に聞いたりしない」等に留意することも重要である。
なお、性暴力に特化した相談体制とすると、児童等やその保護者にとっての相談の心理的ハードルが高まる場合も
考えられるため、性暴力以外の問題(例▶ いじめ、体罰、ハラスメント、悩みごと等)に関する既存の相談体制と連
携・統合し、複数の問題に対応する相談体制とする事例がある。
このように、相談先があること、何でも相談してよいこと(性の問題を相談することは恥ずかしいことではない)を伝え
ることで、児童等やその保護者は、性暴力や不適切な行為について相談しやすくなると考えられる。また、性暴力や不
適切な行為について相談できる体制があること等を周知し、事業者自身が、児童等の心身の安全を第一に考えてい
ることを利用者や世間に対して示すことは、社会的信用を高めるなど、事業者にとっても有益なことであると考えられる。
なお、児童等への性暴力については、次のイにある外部の相談窓口が整備されており、それを児童等やその保護者
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(46ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 46ページ第4章 早期把握・相談
等に分かりやすく周知することも、多様な相談ルートを確保して早期の被害開示と被害児童等への支援につなげるとと
もに、性暴力防止に関する事業者としての姿勢を示す観点から有効と考えられる。
※参考資料編 に「相談体制・窓口の導入ステップと検討事項の例」を掲載。
※参考資料編 に「相談窓口の周知広報資料」として活用できる様式例を掲載。自由に加工編集して利用可
能。
学校の場合
⚫ 文部科学省及び地方公共団体は、教育職員等による児童生徒性暴力等に関する通報及び相談を受け付
けるための体制の整備等に必要な措置を講ずる。
⚫ 相談体制の整備等に当たっては、被害児童生徒等やその保護者等が相談しやすくなるよう、複数の相談窓
口が確保され、また、同性の相談員に相談できるようにするなど相談者が安心して相談できる環境が整えられ
るとともに、被害児童生徒等に対する保護・支援や事案への対処など、必要な措置に迅速につなげることが重
要である。
⚫ 文部科学省においては、心理や福祉の専門家であるスクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー等を活用
し、教育相談体制を整備することを支援するとともに、電話や SNS 等を活用した相談体制の整備、養護教諭
等による健康相談の充実を図る。
⚫ 地方公共団体においては、スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーを配置し、また、電話や SNS 等に
より教育職員等による児童生徒性暴力等の通報・相談を受け付ける体制を整備するとともに、各都道府県
警察や性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターの相談窓口も含め、これらが児童生徒等や
保護者等から活用されるよう積極的に周知を行う。
(出典:文部科学省「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する基本的な指針」)
社会福祉事業の場合
⚫ 社会福祉法に基づく社会福祉事業の経営者は、「常に、その提供する福祉サービスについて、利用者等から
の苦情の適切な解決に努めなければならない。」とされている(社会福祉法第 82 条)
⚫ また、社会福祉事業の経営者による福祉サービスに関する苦情解決の仕組みの指針において、苦情解決の
体制や手順等が示されており、
・ 苦情解決体制として、①苦情解決責任者②苦情受付担当者③第三者委員を任命等すること
・ 第三者委員は、評議員、社会福祉士、民生委員・児童委員、大学教授、弁護士など、苦情解決を円
滑・円満に図ることができ、世間からの信頼性を有する者とすること
・ 施設内への掲示、パンフレットの配布等により、利用者に対して、苦情解決責任者、苦情受付担当者及
び第三者委員の氏名・連絡先や、苦情解決の仕組みについて周知すること
等が示されている。
⚫ こうした苦情解決の仕組みは、こどもの性暴力に関する相談窓口としての機能も有し得るものと考えられる。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(47ページ)
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変更後 · 47ページ第4章 早期把握・相談
イ.外部の相談窓口を含めた、複数の相談窓口の分かりやすい周知
児童等に対する性暴力については、公的機関等が様々な相談窓口を設置している。性暴力は、児童等から被害
を訴えることが非常に難しいものであるものの、多様かつ容易な相談ルートがあることは、児童等への性暴力被害の早
期の開示と被害児童等への支援につなげるために有効である。このため、事業者内の相談体制、外部相談窓口、そ
れぞれにおいて相談可能な内容等について、児童等やその保護者に、分かりやすく周知することが有効と考えられる。
児童等への周知の際、掲示板への掲示のみでは、第三者の目を気にして児童等が掲示を見づらくなり、相談につな
がりにくいケースがある。このため、被害児童等が相談しやすいよう、工夫して周知することが有効と考えられる。
❖ 周知の工夫例
⚫ 相談窓口の連絡先等を記載した資料やカードを、各児童等に定期的に配布する(低年齢の児童の場合は、
保護者にも渡るようにして、「お子さんと話してみましょう」等と伝え、家庭での会話のきっかけづくりをする)
⚫ トイレの個室に掲示する
⚫ URL にアクセスして相談事項を記入する場合は、リンクに QR コードを用いる
⚫ スマートフォンを持たない児童等がいる施設・事業所は、保護者や従事者に悟られずに、スマートフォンがなくと
も容易に外部へ相談できる方法を示す(例▶ 手紙)
❖ 児童等に対する性暴力に関する主な相談窓口
状況等 相談窓口 管轄 窓口概要・連絡先等
どこに相
談してい
いか分か
らない
が、困っ
ているこ
とがある
時
24 時間
子供 SOS
ダイヤル
文部
科 学
省
こども、その保護者を対象に、いじめやその他のこどもの SOS の相談を受け付
ける。原則として、電話をかけた所在地の教育委員会の相談機関につなが
る。
【相談時間】24 時間 365 日 【相談手段】電話
【連絡先】0120-0-78310(通話料無料)
【URL】
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1306988.htm
こどもの人権
110 番、法
務局 LINE
じ ん け ん 相
談等
法 務
省
こども、こどもに関する悩みをもつ大人を対象に、いじめ、体罰、不登校、虐
待等の相談を受け付ける。最寄りの法務局等において、法務局職員または
人権擁護委員が相談対応する。
【相談時間】平日 8:30~17:15 【相談手段】電話、メール、LINE
【連絡先】0120-007-110(通話料無料)、
法務省ホームページ、LINE
【URL】https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken112.html
こどもの人権
SOS ミニレタ
ー
法 務
省
こども(主に小学生、中学生)を対象に、毎年5月~7月の間に学校で
配布。相談したいことを記入し、投函すると、最寄りの法務局に届く。人権擁
護委員・法務局職員が希望する連絡方法(手紙・電話)で返信を行う。
【相談手段】郵送(切手不要)
【URL】https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken03_00013.html
親 子 の た め
の
相談 LINE
こども
家 庭
庁
子育てや親子関係について悩んだときに、こども(18 歳未満)とその保護
者の方などが相談できる窓口。児童相談所等において、専門の相談員が相
談対応する。
【相談時間】各自治体の相談受付時間による
【相談手段】LINE
【URL】https://kodomoshien.cfa.go.jp/no-gyakutai/oyako-line/
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(48ページ)
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変更後 · 48ページ第4章 早期把握・相談
こども家庭セ
ンター
こども
家 庭
庁
こどもや保護者・妊婦等からの子育てや妊娠・出産等に関する相談に応じ、
困り事に寄り添い、必要なサービスの紹介や利用の支援、適切な支援先に
つなぐなどの支援を行っている。
【相談手段】お住まいの市区町村のホームページ等参照
児童相談所
こども
家 庭
庁
こどもに関する家庭その他からの相談に対し、こどもが有する問題やこどもの置
かれた環境の状況等に応じて、必要な支援を実施。電話は最寄りの児童相
談所につながる。
【連絡手段】電話
【連絡先】児童相談所相談専用ダイヤル:0120-189-783(いちは やく・お
なやみを)(通話料無料)
性暴力
か分から
ないが、
相談し
たい
Cure time 内 閣
府
性暴力の悩みを専門相談員に相談できる。イヤだったこと、困っていること
等、何でも相談できる。
【相談時間】毎日 17 時~21 時
【相談手段】チャット(日本語、外国語(英語、タガログ語、
タイ語、スペイン語、中国語、韓国語、ポルトガル語、ネパール
語、ベトナム語、インドネシア語))、メール(日本語)
【連絡先】https://curetime.jp/
性暴力
の疑いが
ある/
性暴力
が
起きた
性 犯 罪 ・ 性
暴力被害者
のためのワン
ストップ支援
センター
内 閣
府
被害直後から医療的支援、法的支援、心理的支援等の総合的な支援を
可能な限り一か所で提供する相談窓口。電話は最寄りのワンストップ支援セ
ンターにつながる。
【相談手段】電話、(一部のみ)メール、SNS
【連絡先】#8891(はやくワンストップ)(通話料無料)
【URL】
https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/seibouryoku/consult.
html
犯罪被害者
等早期援助
団体
警 察
庁
犯罪被害等を早期に軽減するとともに、犯罪被害者等が再び平穏な生活を
営むことができるように支援することを目的として設置され、都道府県公安委
員会から指定を受けた民間被害者支援団体につながる。
【相談手段】電話(一部メール・問い合わせフォームあり)
【連絡先】
https://www.npa.go.jp/hanzaihigai/dantai/shien_top.html
性犯罪被害
相談電話
警 察
庁
各都道府県警察の性犯罪被害相談電話窓口。発信地域を管轄する都道
府県警察の性犯罪被害相談電話窓口につながる。
【連絡手段】電話
【連絡先】#8103(ハートさん)(通話料無料)※緊急時は 110 番通報
※障害のある児童等の場合には、自治体の障害福祉課等・基幹相談支援センター等も相談窓口となり得る。
※保育所等の場合、所管行政庁が設置する虐待に関する相談窓口も周知対象となり得る。
※自治体において、児童等を対象にした、悩みに関する相談窓口が設置されている場合には、それも周知対象とな
り得る。
※外部相談窓口によっては、児童等からの相談により得た情報を事業者に提供することを想定していない場合があ
る。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(49ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 49ページ第4章 早期把握・相談
次に掲げる Web サイトにおいて、これらの相談窓口について、児童等への周知に活用できるリーフレット等が掲載さ
れているため、こうしたものを活用することも有効と考えられる。
➢ 法務省のホームページ(小学生、中高生向け)
https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00200.html
https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken112.html
➢ 内閣府のホームページ
https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/seibouryoku/index.html
◆個人が 1 人のみで児童等に教育・保育等を提供する事業(個人塾、家庭教師等)における取組の例◆
⚫ 事業者は保護者や児童等に対し、性暴力に関する相談をできる外部の相談窓口を予め周知しておくことによ
り、そのような行為を行う意思が全くないことを示し、保護者や児童等の安心感を高めることにつながると考えら
れる。
(2)定期的な面談・アンケート
相談体制を整備・周知して、被害相談を待つだけではなく、児童等に面談・アンケートを行い、能動的に性暴力や
その予兆の早期発見につなげることも有効と考えられる。面談・アンケートを定期的に行うことで、性暴力に関する悩み
を打ち明ける機会が常にあることを児童等に認識してもらうことができるほか、潜在的な加害行為のリスクのある者に対
する抑制効果も期待される。
面談・アンケートの実施方法、調査項目、言葉づかい等については、児童等の発達段階や特性を踏まえて検討す
ることが有効と考えられる。例えば小学生など、児童等の発達段階によっては、面談・アンケートに先立って児童等に質
問項目の説明を行うことや、前述の「児童等や保護者への教育・啓発」や相談窓口の周知とあわせてアンケートを実
施することも有効と考えられる。
※保護者にも、性暴力防止に向けた定期的な取組であること等、面談・アンケートの趣旨や内容について予め連絡し、
理解を求めることも有効と考えられる。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(50ページ)
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変更後 · 50ページ第4章 早期把握・相談
❖ アンケート実施の際の検討事項の例
項目 検討事項
目的 ⚫ 既に発生しており、潜在化している性暴力被害の早期発見
⚫ 潜在的な加害者に対する抑制
実施方法
⚫ アンケートが複数あることの児童等への負担、回答のしやすさ等に配慮し、定期的に実施され
ている既存のアンケート(例▶ いじめ、体罰、ハラスメント、悩み事に関するアンケート等)に
性暴力関連の設問を数問程度追加する方法が、有効な一例であると考えられる。
調査項目
(例)
【設問例】
Q あなたは、●●(教育・保育の場。例▶ 本校、当塾、当クラブ等)での生活の中で、誰か
から(大人から、他のこどもから)次のようなことをされたことがありますか。回答したくないと感じた
時には、回答しなくてもかまいません。
できごと 該当するものに〇
はい いいえ
ア いやなのに、あるいは不安だなと思うのに体に触られた、触らせてき
た、見られた、見せられた、エッチな写真を送るようお願いされたこと
(例▶ プライベートゾーン(水着で隠れる部分と口。自分だけの大
切な体の一部)を触られた、見せられた、写真を撮られた等)
イ エッチなことを言われた、からだの特徴について嫌なことを言われた・か
らかわれたこと
ウ あなたのまわりに、ア・イのようなことで困っていたり、悩んでいたりする
友人はいますか。
<留意事項>
⚫ アの設問は「犯罪に該当し得る」行為を意識している。
⚫ イの設問は「必ずしも犯罪に該当するとは限らないが性暴力に該当し得る」行為を意識してい
る。
Q 以上のこと、あるいはそれ以外のことなど、誰かに相談したいことがあり
ますか。
該当するものに〇
はい いいえ
※アンケートの回答者となる児童等の発達段階に応じて、設問文の言葉遣いは修正することが望まし
い。
※児童等の記載の負担を下げる上で、詳細は記載させるのではなく、面談で聴き取りすることが考
えられる。
記名方法
⚫ 無記名式、記名式の双方があり得る。
➢ 無記名式のメリット:回答しやすい
➢ 記名式のメリット:被害児童等を特定しやすい
回答しやすく
するために求
められること
⚫ 被害を伝えやすい手段は児童等により様々であることに鑑み、ウェブアンケート、アプリ等のデジ
タル技術も活用して行うこと。
⚫ 記名・無記名にかかわらず、児童等が被害を訴えることで不利益を被らないように、回答者を
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(51ページ)
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変更後 · 51ページ第4章 早期把握・相談
守る方法の徹底を図り、回答者の心理的安全を確保することが重要である(例▶ 加害者と
なる可能性がある者(担任・管理職等)を回収者・閲覧者とせず、より上位の者や第三者に
直接提出する、回答を見ることができる者を制限する(封筒に厳封して提出、アクセス権限の
管理徹底)等)。
⚫ アンケートにたくさん書き込んでいる姿を見るだけで何かがあったと類推できるため、たくさん書き
込まないといけないような設問にしない(チェックのみで良い様式とする)。
⚫ アンケートに回答しているところを周囲から覗き見られる可能性があると考えて、児童等が申出
を躊躇するおそれがあるため、アンケートを持ち帰って後日提出する形式でもよいこととすること。
備考
⚫ アンケートは任意とすることが考えられる(児童等が望まない場合には、回答せずともよい)。
⚫ この一例は、性暴力事案が顕在化していない段階での早期発見を目的としたものであるため、
定期的に実施されているアンケートに性暴力関連設問を数問追加する方法をとっているが、性
暴力事案が顕在化した段階では、被害の範囲を見極めるためにも、性暴力に特化したアンケ
ートを実施することも考えられる。
⚫ アンケート対象者の中には、既に性暴力被害にあった児童等も存在する可能性があることを念
頭に、フラッシュバックなどが生じないような配慮を行うことが重要と考えられる(例▶ アンケート
項目について事前に知らせる、心身に負担を感じる場合には回答を中止してもらう、悩みを相
談できる窓口の情報を記載する等)。また、性暴力被害があった児童等を把握している場合
には、事前にアンケートがあることを知らせて、「保健室にいて大丈夫だよ」等と回避する方策を
提案することも考えられる。
⚫ また、フラッシュバックなどが生じた場合を想定して、実施するタイミングを検討することは有効と
考えられる(例▶ アンケート回答時に、過呼吸等の症状や体調不良が生じた場合に、複数
の従事者で対応できるような時間帯に行う)。
◆未就学児への対応における留意事項の例◆
⚫ 未就学児の場合は、児童にアンケート等を行うことは困難であることから、前述のp40「児童等の日常の観
察・会話」による早期発見が中心になると考えられる。
⚫ 可能な限り、担任教諭・保育士が日常観察を行うほかに、園長等の担任教諭・保育士以外の者が、定期的
に児童と日常会話を行い、異変がないか確認することが有効と考えられる。
◆障害のある児童等への対応における留意事項の例◆
⚫ 障害のある児童等においてもアンケートの実施は有効と考えられるが、障害のある児童等が理解し、回答できる
表現・方法を用いることが有効と考えられる(例▶ 視覚障害者の場合は点字、知的障害の場合はイラストの活
用等)。
⚫ 可能な限り、児童等本人がアンケートに回答することが望ましい。
⚫ 児童等一人での回答が難しい場合は、担当従事者ではない従事者等が手助けをすることが有効と考えられ
る。(担当従事者が加害を行っている可能性に備えて)
⚫ 知的障害のある児童等においては、定期的に面談する方法が有効と考えられる。また、周囲にいる児童等や
保護者に、違和感があった際には連絡してほしいと伝えることも有効と考えられる。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(52ページ)
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3.報告ルールの策定・周知
日常観察、面談・アンケート、相談等を通じて、従事者による児童等への性暴力の疑いや、不適切な行為などを認
識した際には、直ちに組織的な対応につなげることができるよう、性暴力等を認識した場合には、それが疑いの段階で
あっても重く受け止め、原則として即日かつ速やかに上司へ報告・対応する必要があること等もルールとして定め、現場
の従事者に理解してもらうことが有効と考えられる。そのため、事業者は性暴力や不適切な行為の疑い等を把握した
場合の報告ルール(報告方法(直ちに報告するなど)、報告先、報告内容等)を定め、従事者や児童等、保護
者に対し、あらかじめ周知することが重要である。
また、性暴力のおそれの端緒を把握した場合に、児童等の負担や記憶の汚染等に配慮すべきといった留意点につ
いては、定期的な研修等を通じて従事者の理解を深めることが重要である。
参照:こども家庭庁「報告ルールひな型」
https://www.cfa.go.jp/policies/child-safety/efforts/koseibouhou/hinagata
ア.報告ルート
全ての従事者(パートタイム、アルバイト、ボランティアを含む)は、児童等の様子について、いつもとは異なる、はっき
りと言語化できない違和感を覚えた場合に、管理職や施設・事業所・事業者の長等に相談・報告することが重要であ
る。
児童等の言動に異変を感じた場合(特に未就学児や知的障害のある児童等など被害申告が難しい児童等の場
合は要注意)、犯罪が疑われる場合、犯罪に該当するとは限らないが性暴力が疑われる場合、従事者による不適切
な行為が疑われる場合(p11「性暴力等の定義と具体的内容」を参照)ごとに、組織内でどのような報告ルートをとる
べきかを予め設定し、周知することが有効と考えられる。
また、管理職や施設・事業所・事業者の長等による性暴力加害の疑いが生じた場合の報告ルートも用意しておくこ
とが有効と考えられる。
特に、組織内の権限が大きい従事者による性暴力の疑いがあった場合、事業者内の通報窓口があったとしても、報
復的な配置転換や人事評価等を恐れ、適切に内部通報されない恐れがあることから、組織内部の通報・報告方法
において、匿名で通報・報告できる仕組みもあることが重要と考えられる。さらに、事業者内の通報窓口と合わせて、従
事者向けの事業者外の通報窓口(行政機関、自社や業界団体に第三者の窓口がある場合には当該窓口)につ
いても周知することが重要と考えられる(取組事例集 :認定特定非営利活動法人 Learning for All「内部通報、
外部通報を可能とする窓口の設置」参照)。
※児童等への性暴力や不適切な行為の疑いを把握した職員は、報告ルールに基づく事業者内での報告のほか、警
察への通報・相談、所管行政庁等の行政機関への通告、公益通報者保護法に基づき事業者外部に設置した窓口
への通報などを行う。
イ.報告内容
従事者は、児童等への性暴力の疑いや、不適切な行為などを認識した際には、「いつ」「どこで」「何をしているときに」
「何を見聞きしたか」「それに対して自身はどのような言動をとったか」等について、できるだけ速やかに報告ルートの然るべ
き先へ報告する必要があることを、内規・行動基準等で定めつつ、従事者に周知することが有効と考えられる。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(53ページ)
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変更後 · 53ページ第4章 早期把握・相談
ウ.報告者の保護
責任者への報告等は、従事者による児童等への性暴力を防止するために重要な措置である。このため、報告等を
行った従事者に対して、当該行動を理由に、不利益な処分や取扱いを行ってはならない。また、報告者が望まない場
合、当該報告を行ったことを、他の従事者に悟られ、又は知られないよう情報管理に注意することも重要と考えられる。
報告プロセスの中で、性暴力・不適切な行為を受けたと思われる児童等や、それらの行為を行ったと疑われる者に
関する情報が、必要以上の範囲に拡散しうわさなどで広まることは、適切な事実確認や保護・支援の妨げになるため、
報告を受けた者等は、これらの情報の取扱いに十分留意する。
このような対応は、報告者や関係者のプライバシーや権利を保護するだけでなく、適切な相談、報告等がなされるこ
とにもつながる。
※なお、犯罪が疑われる事案や、犯罪に該当するとは限らないが性暴力が疑われる事案については、保護者への報告
をルール化することや、既存の法令・ガイドライン等で関係機関(警察、自治体、教育委員会等)への通報等が
求められていることを改めて周知することも有効と考えられる。なお、保護者からの性暴力の疑いがあった場合は、速
やかに児童相談所へ通告する必要がある(「第5章 相談・報告等を踏まえた対応」参照)。
❖ 既存のガイドライン等における、現場の従事者が性暴力を認識した場合の対応の記載内容(抜粋)
学校の場合
⚫ 教育職員等、地方公共団体の職員その他の児童生徒等からの相談に応じる者及び児童生徒等の保護者
は、教育職員等による児童生徒性暴力等の事実があると思われるときは、学校又は学校の設置者への通報
その他適切な措置をとらなければならない。
(出典:文部科学省「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する基本的な指針」)
保育所等の場合
⚫ 任命権者等以外の者であっても、保育士、市町村の職員その他の児童又はその保護者からの相談に応じる
者等についても、上記に準じて、保育士による児童生徒性暴力等の事実があると思われるときは、任命権者
等、都道府県又は所轄警察署への通報その他適切な措置をとることが求められる。その際、通報等を行った
者に対して当該通報等を行ったことを理由として、懲戒等の不利益処分や平等取扱いの原則に反する処分
等の不利益な取扱いをしてはならないことに留意が必要である。
(出典:こども家庭庁「保育士による児童生徒性暴力等の防止等に関する基本的な指針」)
⚫ 児童生徒性暴力等に関する疑いを抱いた職員、相談・通報を受けた職員、事実を把握した職員は、自身が
いつ、どこで、何をしているときに、何を見た(聞いた)か、自身はどのような行動をとったか(言葉も含む)をで
きるだけ早い時期に、できるだけ正確に記録し、速やかに施設長等又は雇用主に相談する。
(出典:東京都福祉局「都内の保育所等で保育士による児童生徒性暴力等が発生した場合の対応」)
小規模住居型児童養育事業者、乳児院、母子生活支援施設、児童養護施設、障害児入所施設、児童心理
治療施設、児童自立支援施設、指定発達支援医療機関、一時保護施設等の場合
⚫ 被措置児童等虐待を受けたと思われるこどもを発見した者については、通告義務が課せられており、発見した
者は速やかに、通告受理機関(都道府県の設置する福祉事務所、児童相談所、都道府県(担当部
署)、都道府県児童福祉審議会等、市町村)へ通告しなければならない。
(出典:こども家庭庁「被措置児童等虐待対応ガイドライン」)
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(54ページ)
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変更後 · 54ページ第4章 早期把握・相談
障害福祉サービス事業所等の場合
⚫ 障害者福祉施設従事者等による障害者虐待を受けたと思われる障害者を発見した者は、速やかに、市町
村に通報する義務がある。(障害者虐待防止法第 16 条)
⚫ 「障害者虐待を受けたと思われる障害者を発見した」場合とは、障害者福祉施設従事者等から明らかに虐
待を受けた場面を目撃した場合だけでなく、虐待を受けたのではないかと疑いを持った場合は、事実が確認で
きなくても通報する義務があることを意味している。
⚫ 通報義務は、障害者虐待を受けたと思われる障害者を発見した者に対して、速やかな市町村への通報を義
務付けているため、利用者の家族等施設の中で障害者虐待を発見した者や、同じ障害者福祉施設等の職
員が、市町村に直接通報することも想定されている。
⚫ 市町村に通報することなく、施設の中だけで事実確認を進め、事態を収束させてしまうと通報義務に反するこ
ととなるため、必ず市町村に通報した上で行政と連携して対応を進める。また、内部的には法人の理事長に
報告し、必要に応じて臨時理事会の開催について検討する。
⚫ 管理者は、虐待を受けた障害者のためにも、障害者福祉施設等の支援の改善のためにも、行政が実施する
訪問調査等に協力し、潜在化していた虐待や不適切な対応を洗い出し、事実を明らかにすることが求められ
る。
(出典:厚生労働省・こども家庭庁「障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き」)
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(55ページ)
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変更後 · 55ページ第4章 早期把握・相談
4.対応ルールの策定・周知
児童等や保護者、従事者からの相談や報告により、児童等への性暴力や不適切な行為があったと疑われるときの
対応ルールを、予め定めておくことは、速やかに初期対応、調査、保護・支援等を行う上で有効と考えられる。
参照:こども家庭庁「対応ルールひな型」
https://www.cfa.go.jp/policies/child-safety/efforts/koseibouhou/hinagata
性暴力の疑いの段階から重く受け止めることが重要であり、様子見などをすることなく、組織内外のサポートを得て、
チームで対応することが有効と考えられる。
なお、以下の内容は一定規模以上の事業者を想定しており、小規模事業者の場合には、可能な範囲での体制整
備や、児童等への性暴力防止の取組を推進・支援する専門家、業界団体等の外部機関との連携等が有効と考えら
れる(小規模事業者における外部専門家との連携事例は、取組事例集 :一般社団法人 S.C.P. Japan「報告
対応フローチャートの作成(事業者内報告と外部連携のフローの見える化)」参照)。
対応ルールを作成するにあたっては、次の内容を含めることが考えられる。
・ 対応者
・ 対応事項
・ 対応手順 等
また、対応ルールを定めた場合、報告ルール(p49 参照)とあわせて、従事者や児童等、保護者に対し、あらかじ
め周知することが重要である。適切なルールが周知されることで、児童等や保護者にとって、相談後にどのように相談事
項を取り扱うかが明確化されることとなり、その積極的な相談が促され、性暴力のおそれの早期把握につながることが期
待される。
なお、実際に事案が生じた場合には、対応ルールに基づく対応を進めつつも、原則として、児童等・保護者と十分に
コミュニケーションを取り、納得を得た上で対応を進めていくことが重要である。
ア.対応チーム
児童等、保護者、従事者からの相談や報告により、性暴力が行われた疑いがあるときに対応する責任者をあらかじ
め定めておくことが有効である。
また、対応者については、一人で抱え込むことや偏った対応になることを避ける必要があることや、対応者本人が性
暴力の加害者である可能性があること等を踏まえ、複数名の者によるチーム(以下「対応チーム」という。)で対応す
ることが考えられる一方、対応者が多すぎると、意思疎通・意思決定、迅速対応、情報統制・秘密保持等が難しくな
る側面もあることから、組織の状況等に応じた規模(例▶ 2~5 名程度)とすることが有効と考えられる。
対応チームのメンバーを決めるにあたっては、施設・事業所・組織の長や副長、管理職等の、重大事案に対応でき
る役職者を長とすることが考えられる。また、性暴力事案への対応に関する経験・知見を有する外部機関・専門家
(例▶ 弁護士、心理職、研修実施機関、性暴力被害者支援機関等)に、相談・助言を求めることができる関係
性を構築しておくことは有効と考えられる。
また、チーム長など対応チームの構成員に性暴力加害の疑いがかかった場合も、組織として対応が適切に機能する
対応フローをあらかじめ準備しておくことも速やかな対応には有効と考えられる。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(56ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 56ページ第4章 早期把握・相談
本社・本部と施設がそれぞれある場合は、施設で性暴力の疑いがあったときに、本社・本部が現場任せにせず、対
応に当たることが有効と考えられる。
イ.役割分担
以下のような役割分担を検討することが有効と考えられる。
⚫ 施設・事業所・組織の長等が対応チームの代表責任を負い、役割分担の設定、進行管理、情報管理等を担う。
⚫ メンバー内で担当(被害児童等担当、保護者担当、対外調整担当、加害が疑われる者担当等)を決める。
⚫ 可能であれば、同じメンバーが被害者・加害者の双方を担当することがないようにする(同じメンバーが被害・加
害双方から話を聴くと、自分が話したことが相手に伝わってしまうと感じ、信頼関係を築くことが難しい場合があるた
め)。
⚫ 被害児童等と保護者の思いが一致しない場合は、可能であれば、被害児童等担当と保護者担当を別のメンバ
ーとする。
ウ.秘密保持
性暴力への対応においては、必要な関係機関への情報提供を除き、原則として対応チーム内のメンバーのみで情
報を共有する。被害児童等の個人情報、疑われる被害の内容、加害が疑われる者の個人情報等が対応チーム外に
漏れることで、二次被害につながることはあってはならない。例えば、対応チーム長が認めた例外(例▶ 公益通報、
関係行政機関への連絡)を除き、本業務に係る情報は対応チーム外に漏らしてはならないこと、漏らした場合の処分
について記載した誓約書を、メンバーに提出してもらうことが考えられる。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(57ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 57ページ第4章 早期把握・相談
◆小規模住居型児童養育事業者、乳児院、母子生活支援施設、児童養護施設、障害児入所施設、児童心
理治療施設、児童自立支援施設、指定発達支援医療機関、一時保護施設等の場合◆
⚫ 施設等においては、被措置児童等の支援には、必ずチームを組んで複数の体制で臨むこととし、担当職員一
人で抱え込むことがないようにする。様々な職種がチームとなって1人の子どもに対応するシステムとするととも
に、被措置児童等の自立支援計画等の見直しや対応方法の検討が必要な場合には、チームで意思疎通を
図りながら行うことが必要である。
⚫ 分園型小規模グループケアや地域小規模児童養護施設については、その構造や限られた人員配置の問題
から、第三者的な他者の視点が入りにくく、こどもに対する不適切な対応や独善的な処遇が常態化してしまう
おそれがあるといったことに留意する必要がある。そのため、地域小規模児童養護施設等については、応援職
員の派遣や管理職員らの巡回、地域小規模児童養護施設等バックアップ職員の配置等により本体施設との
連携・連絡を密にするといった配慮に加え、地域小規模児童養護施設等職員の資質向上を目指したこども
の権利擁護や被措置児童等虐待に関する研修の機会を確保したりすることやスーパービジョンの体制を整え
たりすることも重要である。
(出典:こども家庭庁「被措置児童等虐待対応ガイドライン」)
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(58ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 58ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
第5章
相談・報告等を踏まえた対応
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(59ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 59ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
性暴力に対しては、被害児童等を徹底して守り通すことを第一とし、加害行為を絶対に許さないという姿勢で挑む
ことが重要である。仲間意識や組織防衛心理から、必要な対応を行わなかったリ、躊躇したりするようなことがあっては
ならない。
また、不適切な行為に対しても、未然防止の観点で真摯に対応する。当初は「不適切な行為」のみと思われていた
ものの、調査をしていく中で、性暴力が発覚する場合があることに留意する。
1.発覚時の初期対応
現場にいる従事者(パートタイム、アルバイト、ボランティア等も含む)は日常的に児童等と接するため、児童等から
性暴力被害の相談を最初に受けたり、性暴力の情報を見聞きしたりする可能性が高い。児童等と関わる従事者は、
いつでも児童等から性暴力の被害を相談されるかもしれない、性暴力の情報をキャッチするかもしれない、との認識を持
つとともに、発覚時の対応・留意点について、定期的な研修等を通じて理解を深めておくことが有効と考えられる。
性暴力の疑いが生じた場合には、被害を受けた児童等の心身の安全を第一に優先することを基本とする。その上で、
事業者は、あらかじめ策定・周知している報告・対応ルールに基づき、迅速に対応することが重要である。
性暴力の疑いが生じた場合には、いかに些細な情報であったとしても、真摯に受け止め、迅速に事実確認に移ること
が重要である。実際に性暴力の疑いが発覚すると、従事者は大変な衝撃を受けることになるが、被害児童等や保護
者の心情(不安、不信、動揺、自責等)を踏まえ、加害が疑われた者の人権にも配慮しつつ、落ち着いて対応する
ことが求められる。
被害児童等に治療が必要な外傷がある場合、妊娠又は性感染症の可能性がある場合や薬物を使用されたおそ
れがある場合等には、警察、支援機関等から紹介を受けた適切な医療機関に速やかに受診させる必要があることに
留意する。特に、被害を受けてから 72 時間以内の場合には、被害児童等の妊娠の可能性を踏まえ、緊急避妊薬の
服用が必要になる場合があることには留意が必要である。
また、犯罪が疑われる事案や、犯罪に該当するとは限らないが性暴力が疑われる事案については、保護者への報告
の在り方をルール化することや、既存の法令・ガイドライン等で事案に応じた対応をする関係機関(警察、児童相談
所、自治体、教育委員会等)への通報等が求められていることを改めて周知することも有効と考えられる。なお、保護
者からの性暴力の疑いがあった場合は、速やかに児童相談所へ通告する必要がある(再掲)。
❖ 性暴力被害の疑いが発覚した際の対応として、従事者が理解しておくべき内容の例
性暴力被害発覚
のパターン 発覚時の対応の例
被害児童等から打
ち明けられた場合
⚫ 可能な範囲で、児童等が安心して話せる場所に移動する(例▶ 周囲に聞き取られな
い環境)。
⚫ はじめに被害を打ち明けられたときの聴き取りでは、被害児童等が打ち明ける内容につ
いて傾聴する(初期の聴き取り)。
➢ 聴き取る内容は最小限とすることに留意する必要がある(「誰が」「何をした」か
が分かれば十分)。そのため、最初の段階では被害児童等が自発的に打ち明け
た内容の聴き取りに留め、それ以上は積極的に聴き取ろうとしないことが求められ
る。被害児童等が打ち明けた内容が不明確な場合であっても、何があったのか概
要が分かる程度の聴き取りに留めること。
➢ なお、同じ話を他の者から繰り返し聞かれるようなことは、被害児童等の心身に
無用な負担をかけることなるため、最大限避けることが望ましい。最初の聴き取
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(60ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 60ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
性暴力被害発覚
のパターン 発覚時の対応の例
りは最小限にして、その後、警察や検察など、児童等への聴き取りを適切に行うこ
とができる専門家が、必要な対応を取ることができるようにする。
➢ その際の聴き取り方法として、「~~先生がやったの?」等の誘導的な聴き取りで
はなく、「誰にされたか教えてもらえる?」等の問いかけも有効であると考えられる。
➢ 何度も話を聴いたり、誘導的な聴き取りを行うなど、聴き取り方法を誤ることで、
「記憶の汚染」等につながり、司法手続において児童等の証言が信用性のある証
拠として採用されなくなる可能性がある。
➢ 聴き取った人が、怒りや緊張をあらわにすると、児童等は不安が増したり、緊張し
たりする可能性があるため、よく児童等の様子を観察しながら穏やかに話を聴き、
驚きやショック、怒りなどを顔に出さず傾聴に徹する。
➢ 被害児童等はどのように表現して良いか分からず、口ごもることがあるが、話し始め
るまで辛抱強く待つことが重要であり、話を遮らず、丁寧に聴き取る。
➢ 理由(why)を尋ねることは避ける。「なぜそんな行動をしたのか」「嫌だったと言っ
たか?なぜ言わなかったのか」など、被害児童等の言動を責めるように聞こえるよう
なことは決して聞いてはならない。そもそも、「なぜ?」という質問自体が、児童等に
とっては回答の難易度が高い質問である。
➢ 「いつ?」という時点に関する質問も、児童等にとっては回答の難易度が高い質問
であるため、直接的に質問することは避け、被害児童等の語りに任せる姿勢が重
要である。
➢ その他にも、配慮が必要な発言があることに注意すること。
⇒p62【児童等から打ち明けられた際に配慮が必要な言葉の例】参照
➢ どのような場合であっても、被害者には非がないと伝えること。もし、児童等が自
分を責めている様子が見られたときには、「あなたは悪くない」「あなたに落ち度も責
任もない」と伝える(性暴力には、被害者側にも落ち度があるという偏見が根強く
あり、被害児童等自身もそのような意識を持ってしまう可能性がある)。
➢ 最後に「話してくれてありがとう」と伝える。
⚫ 家族や他の従事者、関係機関に情報提供することについて、本人に伝える(乳児等や
重度の知的障害がある児童等の場合を除く)。「誰にも言わないで」と言われたら、何が
不安なのかについて聴き取るとともに、いのちに関わることや法に触れ得ることについては、
秘密にはしておけないことを丁寧に説明する。必要な情報の共有は、これ以上の被害を
防ぐ等の観点からも、被害児童等の意思に反してでもすることが求められるため、できな
い約束をすることは、結果的に被害児童等を裏切ることとなる。
⇒p59【被害児童等本人に「誰にも言わないで」と言われた場合の対応の例】参照
⚫ 可能であれば、本人の同意のもと、本人に負担感がないか十分に確認した上で、録音
をすることで、正確に記録を残すことが有効と考えられる。録音が難しい場合、児童等や
従事者自らが何と言ったかをそのまま記録し(児童等・従事者の使った表現や言葉をそ
のまま記録に残す)、管理職や施設・事業所の長等に報告する。
被 害 児 童 等 以 外
の児童等から情報
提供を受けた場合
⚫ 可能な範囲で、児童等が安心して話せる場所に移動する。
⚫ 児童等の相談内容について傾聴する(初期の聴き取り)。
➢ 「誰のことについて、どのような形で知ったか」を聴き取る。
➢ 児童等が話す以上のことを無理に聴き出そうとしない。
➢ 被害を知ったときに、どのように感じたかを聴き取る(不安、恐怖、心身の不調等
の確認)。
➢ 他に知っている人がいるかどうかを確認する。
➢ 被害児童等は、自分(従事者)に対してこのことを伝えていることを知っているか
どうか確認する。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(61ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 61ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
性暴力被害発覚
のパターン 発覚時の対応の例
➢ 最後に「話してくれてありがとう」と伝える。
⚫ 情報提供してくれた児童等には、この話を SNS 上を含めて他の人に言わないこと、その
ようなことをすると、名前を言わずとも被害児童等が類推され、誹謗中傷などが起こるリ
スクがあることを伝える(情報提供をしてくれた児童等が自らの保護者に話している場合
には、保護者にも同様のことを伝える)。
⚫ 児童等に不安や心身の不調等が生じたとき等のために、連絡先とともに、また相談する
ように伝える。
⚫ 可能であれば、本人の同意のもと、本人に負担感がないか十分に確認した上で、録音
をする。録音が難しい場合、児童等や従事者自らが何と言ったかを記録し(児童等・
従事者の使った表現や言葉をそのまま記録に残す)、管理職や施設・事業所の長等に
報告する。
⚫ 被害児童等が開示に同意していない場合は、情報提供した児童等の立場が悪くなるこ
とがあるため、被害児童等にアプローチする際は、慎重に進める。
⇒p61【被害児童等以外の児童等に相談を受けたが、その児童等が被害児童等から
「誰にも言わないで」と言われている場合の対応の例】参照
同僚の性暴力や、不
適切な行動の情報
を、見聞きした場合
⚫ 見聞きした情報について、解釈を加えず、正確に記録する(基本は 4W1H*)。
⚫ 被害児童等の心身の安全を第一にしつつ、可能な範囲で、録音や撮影などにより、客
観的な証拠の保存に努めることが望ましい。
⚫ 性暴力の疑いの段階で重く受け止め、原則即日で、管理職や施設・事業所の長等に
報告する。
*4W1H:だれが(Who)、いつ(When)、どこで(Where)、なにを(What)、どのように(How)したか(5W
1Hから、なぜ(Why)を除いたもの)。
◆未就学児、知的障害のある児童等への対応における留意事項の例◆
⚫ 個人差があるものの、特に未就学児や低年齢の児童の場合は、「時」や「場所」の概念がまだ十分に育ってい
ないため、被害にあった日を間違えて伝えてしまい、事実誤認につながることがある。
⚫ また、児童等は大人から聴かれたら何か答えなければならないと思い、不明確であっても、想像で答えてしまうこ
ともある。そのため、「発覚時の初期対応」や後述の「聴き取り」においては、時や場所を聞かないことが重要で
ある。
⚫ 例えば「お祭りがあった日に被害を受けた」という情報に基づき、この日に間違いないと保護者等が断定してしま
い、加害が疑われる者にアリバイがあったということも少なくないため、「時」や「場所」について誤解しないよう、慎
重になることも重要である。
⚫ 障害のある児童等に対しては、性暴力の疑いが発覚した際には、各障害や個人の特性を理解して、代弁でき
る者が担当すること等が有効と考えられる。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(62ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 62ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
❖ 被害児童等本人に「誰にも言わないで」と言われた場合の対応の例
⚫ まずは、被害児童等は悪くないこと、被害児童等の安全が最も大切であることを伝え、安心感を与えることが重
要。
⚫ 性暴力は重大な事案なので、被害児童等と話し合いながらも、速やかにチームに共有して、専門機関につなぐ。
⚫ 誰にも言わないことはできないため、できない約束はしない。「誰かに知られると、どうなると思うか、何が不安か」を
聴き取り、不安の背景を探る(親に怒られる、加害が疑われる者に口止めされている、報復される恐れがある
等)とともに、不安をどのようにしたら解決できるか、できるだけ具体的に児童等と一緒に考えることが重要。
⚫ 被害の開示を受けた従事者一人では被害児童等の安全を守ることができない、一緒に児童等を守ってくれる
人(保護者を含む)と相談したいという旨を伝え、説得することとなる。
⚫ 被害児童等は、どこまで情報が広がっているかを気にしていることがあるため、誰にどのような理由で伝えるのか、
予め被害児童等と認識を共有することが、被害児童等の心理的負担を減らす上で有効と考えられる。
⚫ 被害児童等が不安になったら、いつでも相談できる従事者の存在を伝え、不安の軽減に努める。
⚫ 外部機関(特に警察)と連携する場合、早期にそれを伝えると、児童等が「悪いことをした」と感じて話さなく
なるケースがある。このため、タイミングを見て、伝えることが求められる。
伝える/聴き取る
項目 具体的な受け答え/声掛け(例) 配慮すべき事項
話してくれたことへの
感謝を伝える
話してくれてありがとう。
よく話してくれたね。
話すのは勇気が必要だったかもしれないね。 等
・ まず、話してくれたこと
をねぎらう。
あなたは悪くないこ
とを伝える
あなたは全然悪くないからね。
あなたには落ち度も責任もないからね。 等
・ 安心感を与えることが
重要。
あなたの安全が最も
大切なことを伝える
あなたの安全が何よりも大事だよ。
誰かに知られること
について、何が不安
かを聴き取る
誰かに言うと、どんなことが不安だったり、怖かったりする?
(「怒られると思っている」「口止めされている」等の話が出た
ら)そのような心配があるんだね。でも、あなたは悪くないよ。
不安の背景に、虐待
等が潜む可能性にも
留意する。
児童等に責任はない
ことを明確にする。
あ なたを守 る手 立
てを考えたいことを
伝える
・ あなたの安全を守りたいなって思うのだけれど、どうだろう。
・ あなたを守ることが大人の責任だよ。 等
他の人と情報を共
有することを伝え、
説得する
・ 一緒にあなたを守ってくれる人と相談させてね。
・ あなたの命と安全に関わることだから、秘密にしてはおけない
の。
・ お母さんやお父さんとも相談させてね。お母さんやお父さんに
怒られるのが心配だったら、私が助けになるから言ってね。
等
他者への情報共有に
ついては、児童等の気
持ちに寄り添いつつ
も、説得する。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(63ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 63ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
いつでも相談できる
ことを伝える
・ 心配なことがあればいつでも相談してね。
・ このことは〇〇先生と●●先生と相談しているから、何かあ
ったら言ってね。 等
事業所内で知ってい
る人は誰かを伝え、キ
ーパーソンを作る。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(64ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 64ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
❖ 被害児童等以外の児童等に相談を受けたが、その児童等が被害児童等から「誰にも言わないで」と言われ
ている場合の対応の例
⚫ 被害児童等から打ち明けられた児童等は、大人に話をしたことに罪悪感を持っていることがあるため、まずは話
してくれたことをねぎらうとともに、大人に話してくれたことは正しいことだと伝える。
⚫ 他に話した相手がいるかどうかを確認し、今後、その児童等が周囲に話を広めないようお願いするとともに、不安
に感じた場合等の相談先を示す。
⚫ 話してくれたその児童等の安全も、被害児童等の安全も、大人は守りたいと思っていることを伝え、「ここから先
は大人がしっかりと考える」ことを伝える。
⚫ 被害児童等に声掛けする際には、その児童等から聞いたことが、分からないように工夫することを伝える。
(例)
・「最近、ぼんやりしていることがあるけど、何かあった?」等とやんわり話しかけるパターン
・「こういったことを見たっていう人がいるんだけど、あなたを守りたいので、直接話を聞かせて」と聴き取りを試みる
パターン
※被害児童等とその児童等との信頼関係や、大人に対する信頼感を維持することに、最大限努力することが
重要であるが、どうしてもその児童等から聞いたことを言わざるを得ないケースもあり得る。その際には、その
児童等に「○○ちゃんを守るために大事なことだから、××ちゃんに聞いたってことを○○ちゃんに伝えていい
かな」等と確認した上で、その児童等から聞いたことを被害児童等に言うことが考えられる。
被害児童等には、「××ちゃんがあなたを守ろうと一生懸命話してくれたんだよ」「××ちゃんも迷っていたけ
ど、何とかしたいと思って、話してくれたんだよ」等と説明することが考えられる。
伝える/聴き取る
項目
具体的な受け答え/声掛け(例) 配慮すべき事項
話してくれたことへの
感謝を伝える
話してくれてありがとう。
よく話してくれたね。 等
・ まず、話してくれたことを
ねぎらう。
話したことが適切だ
ったと伝える
大人に話してくれたあなたの判断は大切なこと。
あなた一人で、〇〇ちゃんの安全を守ることは難しいから、
あなたがこうして伝えてくれたことは正しい。
等
・ 児童等が罪悪感を持っ
ていることもあるため、大
人に話したことは正しい
と伝える。
他に話した相手が
いるかを確認し、今
後の相談先を伝え
る
私に話すのが初めてかな?このことで不安になったりした
ら、色々な人に話すのではなく、これからは私に話をして
ね。そうしないと、〇〇ちゃんの安全を守れなくなることもあ
るので、そうしてね。
被害児童等から聴いた
不安を周囲に広めない
ことも含め、今後の相談
先を伝える。
被害児童等を守る
手立てを大人が考
えることを伝える
これから、〇〇ちゃんにもお話を聴こうと思うし、どうしたら〇
〇ちゃんが安全でいられるか、大人が一生懸命考えようと
思う。
ここから先は大人が考え
ることを伝える。
今後の見通しを伝
える
〇〇ちゃんに声をかけてみるね。
あなたが話したことは伝わらないように気を付けるね。
今後の対応の見通しに
つき、その場で伝えられ
るようであれば伝える。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(65ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 65ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
❖ 児童等から打ち明けられた際に配慮が必要な言葉の例
下表の言葉や質問は、児童等から性暴力被害の相談を受けた際、困惑や動揺、性暴力を防げなかったという自
責感などから、よく起こる言葉かけや質問の一例である。これらの言葉は、無意識に出たものであっても、被害児童
等を傷つけることがあり、注意することが重要である。
同じ言葉を伝えるにしても、言葉の選び方、声色、声のトーン、表情等も重要になるため、従事者が、児童等か
ら性暴力について打ち明けられたときに、何の準備もなくこれらの対応を適切にとることは至難の業である。このため、
研修でロールプレイングを行う等、事前の練習を定期的に行うことが重要と考えられる。
言葉や質問 配慮が必要な言葉の例
児童等を責めて
いる(と受け取ら
れかねない)言
葉
⚫ 「あなたが誘ったのでは?」と聞かない。
⚫ 「泣いてばかりでいないで、ちゃんと説明して」と言わない。
⚫ 「さっきと話が違いますけど、どっちが本当なんですか?」と聞かない。
⇒「私(聞き手)が分からなくなってしまったから、もう一度教えてください」と言い換え
る。
⚫ 「話してくれないと助けられない」と言わない。
「なぜ?」と非難し
ているように聞こえ
る質問
⚫ 「どうして逃げなかったの?」と聞かない。
⚫ 「どうして付いて行ったの?」と聞かない。
被害を矮小化す
るなど、被害児童
等・生徒の心理を
理解しない言葉
⚫ 「先生はこういう相談よく聞いて慣れているから、恥ずかしがらずに話して」と伝えない。
⇒被害児童等にとっては初めて受ける性暴力で、重大な出来事であるにもかかわら
ず、「従事者がこれまで対応したことがある事案と比べて大したことはないと思っているか
もしれない」等と児童等の誤解を招くおそれがある。
⚫ 「早く元気になりましょう」「つらいことは忘れましょう」と言わない。
⚫ 「辛いのはよく分かるよ」「時間が解決してくれる」と言わない。
⇒性暴力のことを忘れることができて早く元気になれるのであれば、それを最も願ってい
るのは被害児童等本人である。従事者自身が安心を得るための安易な励ましは、更
に傷を深める可能性がある。
⚫ もっとも、被害児童等の方から「辛かった」などと心境を打ち明けてきた場合には、「辛か
ったんだね」と繰り返すことが被害児童等の気持ちに寄り添う適切な応答となる。
驚愕を示す言葉 ⚫ 「本当なの?」と聴かない。
⚫ 「嘘でしょう?」と言わない。
相談を拒絶する
言葉・話を遮る言
葉(態度)
⚫ 「○○先生に相談してください」「保護者に伝えてください」と言わない。
⚫ 「私では手に負えません」と言わない。
⇒適切な対応に自信がなくとも、自らを信頼して打ち明けてくれたことに対して感謝を述
べつつ、「しっかり対応できるように、~~と相談して、どうするか考えてみるね」と一旦受
け止めることが重要。
感情的な言葉
(態度)・評価
をする言葉
⚫ 「××先生のやったことは、絶対に許せない!!」と言わない。
⚫ 「(児童等に対して)かわいそうだね」と言わない。
⇒聴き取り者が感情的になることで、これ以上話さない方が良いのではないかと児童等
が不安を感じる場合もある。児童等の発言や感情に共感を示すことは重要だが、児童
等の気持ちを勝手に決めつけず、落ち着いた態度で、穏やかな声で、ゆっくりと話を聴
く。
無責任な言葉
(できない約束は
しない)
⚫ 「○○先生は明日からきっと学校に来ないよ」と言わない。
⚫ 「誰にも言わないよ」「先生だけの秘密にしておくから大丈夫だよ」と言わない。
⚫ 「もうお話を聞くことはないよ」と言わない。
⇒このような言葉は児童等を安心させたいという思いから発していることも多いが、曖昧
な情報の提供はその後の不安や反応を強める。そのため、正確に伝えることができない
情報を安易に伝えないよう心がける。
(出典:東京都教育委員会「教職員等による児童生徒性暴力等が発生した場合の初動対応」(令和5年 4 月)
より抜粋・一部追記・修正)
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(66ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 66ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
コラム 被害児童等の二次被害防止及び適切な司法手続の
実現に向けて、事業者・従事者等が行うべきこと
⚫ 被害児童等対応に当たる事業者、従事者等においては、被害児童等に「記憶の汚染」のリスクを防ぎ、トラウマ
等の二次被害を生じさせず、かつ代表者聴取(協同面接)※により適切な司法手続が実現できるように努める
ことが求められる。具体的には、事案が犯罪に該当する可能性が少しでもある場合又は判断ができない場合は、
事業者や従事者から被害児童等への聴き取りは、原則として被害児童等が自発的に話す内容に留めるとともに、
保護者にもこのことを予め資料の配布等を通じて啓発し、必要以上の聴き取りを行わないように説明すること等が
重要と考えられる。このような取組の意義については、保護者に対して、児童等への性暴力防止策等について情
報提供する際や、実際に事案が発生した際に、丁寧に説明することが有効と考えられる。
⚫ 一方で、代表者聴取(協同面接)が行われるまでの期間等において、何の聴き取りも行われないことに、被害
児童等が放置されていると誤解する可能性がある。このため、被害児童等に対し、「今詳しい話を聞かないことは、
あなたを守ることにつながる」「後できちんと話を聞く機会がある」ことを丁寧に伝えるとともに、対応・支援ニーズはな
いか等を確認しつつ寄り添い、被害児童等が話したいことがあれば、真摯に耳を傾けることが重要と考えられる。
※代表者聴取(協同面接)とは
⚫ 代表者聴取(協同面接)とは、警察、児童相談所の担当者及び検察官が合同で、児童等からの聴き取り方
法などについて協議を行った上で、その代表者が聴き取りをする取組である。
具体的には、
① 聴取場所や回数に配慮するなど、児童等の不安・緊張を緩和する
② 誘導を避けるなど児童等の供述に 不当な影響を与えないようにする
などにより、児童等の負担軽減を図りつつ 十分な供述を得る、いわゆる司法面接的な手法を用いた聴き取りを
行い、その聴き取りの状況を録音・録画して記録化するものである 。
刑事訴訟法第 321 条の 3 においては、児童等が被害者又は参考人である事件等において、一定の要件3を
満たせば、司法面接的手法を用いた聴取により得られた供述を、児童等が法廷でいちから証言する代わりの証
拠として、裁判で用いることを認めている。この要件を満たすか否かを裁判所が判断する際に、代表者聴取前に
事業者等が行った被害児童等からの聴き取り方法が適切か否か、被害児童等に「記憶の汚染」が生じていない
か否かが、裁判で争点になり得る。
⚫ 性暴力被害を受けた児童等にとって、何度も同様の話を聴かれてそれを思い出させられることはトラウマ体験によ
る心理的影響をより深めることにつながる。また、誘導的な質問が繰り返しなされることで、児童等の記憶そのもの
が変化してしまう「記憶の汚染」のリスクもある。性暴力被害においては、医学的な診察では異常所見が見つから
ず、児童等の話が唯一の証拠になることも少なくなく、代表者聴取(協同面接)前の、大人側の不用意な聴き
取り対応によって、大切な証拠の信用性が失われてしまうことは避けることが重要である。
⚫ 代表者聴取(協同面接)は、被害児童等の二次被害を防ぎつつ、児童等の証言を正確かつ信頼性のある形
で記録するものである。そこでは、専門的な訓練を受けた面接者が、安全で落ち着いた環境において、児童等が
自らのペースで、自らの言葉で話せるように接する。
3 刑事訴訟法第 321 条の 3 は、被害児童等からの聴取状況を録音・録画した記録媒体を、裁判で用いるための要件とし
て、「供述者の年齢、心身の状態その他の特性に応じ、供述者の不安又は緊張を緩和することその他の供述者が十分な
供述をするために必要な措置」及び「供述者の年齢、心身の状態その他の特性に応じ、誘導をできる限り避けることその他
の供述の内容に不当な影響を与えないようにするために必要な措置」を定めている。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(67ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 67ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
2.保護者への連絡・説明
性暴力の疑いについて、保護者が最初に把握し、その訴えにより、事業者が被害の疑いを把握することがある。一方、
事業者が、保護者以外の経路から性暴力の疑いを把握した場合、特段の事情(例▶ 保護者に性暴力の疑いがあ
るといった事情)がなければ、被害児童等の保護者に速やかにその情報を連絡することが望ましいと考えられる。たとえ
事実確認を十分に行うことができておらず、対応方針が決まっていない時点であっても、その時点で把握している事項に
ついて、丁寧に説明をすることが重要と考えられる(説明が遅れると、事業者が隠ぺいしていた、放置していたと疑われ
るリスクが生じ得る)。なお、児童等から被害の申告があった場合は、その情報を保護者に共有する必要性を児童等
に説明し、可能な限り同意を得た上で、保護者に共有する。
その際に、保護者がショックを受けたり、怒りを表出させたりすることも考えられるが、事業者には、保護者の話を傾聴
し、ショックや怒りを受け止め、誠実に対応することが求められる。
その後の被害児童等の保護・支援、事実確認や、対応方針決定において、事業者が保護者と連携することは非
常に重要となる。このため、第一報の時点から、事業者が児童等を守ることを最優先に行動する姿勢を真摯に、強く
表明することが重要である。事業者は、併せて、第一報において、保護者に対し、下表の事項等について、説明やお
願いを行うことが重要と考えられる。事業者の真摯な姿勢が保護者に伝われば、保護者が児童等に接する際の配慮
事項等は伝わりやすくなると考えられる(参考資料編 に「保護者への連絡文面に係る参考例」を掲載)。
さらに、被害児童等の保護者への連絡について、性暴力発覚時のみならず、対応の進捗に応じて随時連絡し、そ
の時点で判明している情報について共有することは、被害児童等の保護者との信頼関係を築き、適切な対応につなげ
る上で有効と考えられる。
❖ 保護者への第一報の際に、事業者が説明・お願いすべき事項の例
項目 説明・お願い事項の例
事 業 者 の 対 応
姿勢・方針
⚫ 疑いの段階ではあるものの、本件を重く受け止め、児童等を守るためにきちんと対応すること
を伝える。
⚫ 児童等の利益を最優先に協力し合うことが重要であることについて、保護者と相互に理解す
る。
⚫ 保護者の意向を尊重しつつ、事業者として対処すべきことは対処することを伝える。加害が
事実と認められるならば厳正に対処することを伝える。
⚫ 第一報で被害を軽視していると疑われる言動をした場合、その後の対応は困難になり得る
ことに留意する。
被害の状況等 ⚫ 事業者が知る範囲で性暴力が疑われる被害内容を説明する。
⚫ その情報がいつ、どのような形で事業所にもたらされたか等について説明する。
⚫ 施設・事業所内で、性暴力被害について知っている従事者の氏名を伝える。
警察等との連携 ⚫ (犯罪の疑いがある場合)事実究明のためには、速やかに警察と連携することが適切な
対応であると考えていることを伝える。
⚫ (通報するか悩んでいる場合)保護者が警察と連携するか悩んでいる場合は、次のような
対応が考えられる。
➢ なぜ望まないのかを丁寧に聴き取り、不安に寄り添いつつも(安心させるためであって
も、できないことをできるとは言わない)、犯罪の疑いがある場合は、再被害や他の児
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(68ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 68ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
項目 説明・お願い事項の例
童等への被害拡大等を防止するため、警察への通報や相談が適切な対応であるこ
とを、丁寧に説明する。
➢ 被害の拡大防止や被害児童等の心身の回復につなげる窓口として、性暴力被害者
支援機関等への相談が有効であることを伝える(p101 参照)。
⚫ 被害児童等に治療が必要な外傷がある場合、妊娠又は性感染症の可能性がある場合
や薬物を使用されたおそれがある場合等には、速やかに医療機関へ受診させる必要性が
高いことを伝える(p87「被害児童等とその保護者への支援」を参照)。
児童等への接し
方
⚫ 児童等を責めず、「あなたは何も悪くない」と伝えてほしいことを伝える(以下に掲げるリーフ
レットの再配布や、p62 の「児童等から打ち明けられた際に配慮が必要な言葉の例」を情
報提供することも考えられる)。
⚫ 児童等の記憶は汚染*されやすいため、非専門家が聴き取りを行ってしまうことで、司法手
続で児童等の証言の信用性が認められなくなるリスクがある(p63「【コラム】被害児童等
の二次被害防止及び適切な司法手続の実現に向けて、事業者・従事者等が行うべきこ
と」を参照)。
また、親の不安や怒りが児童等にさらなる負担をかけることがある。そのため、児童等から話
してこない限り、出来事には触れないようにすることが重要であることを伝える。
⚫ 児童等が放置されていると誤解しないよう、「今詳しい話を聞かないことは、あなたを守ること
につながる」「後できちんと話を聞く機会がある」ことを児童等に伝えることも考えられることを
伝える。
⚫ 児童等から出来事について話しかけてきたときは、「話してくれてどうもありがとう。大丈夫だ
よ。」と受け止めるのに留め、それ以上の質問やコメントはしないこと、児童等が話した言葉
は、そのままの言葉でメモし、その会話があった日時、場所とともに正確に記録することを伝え
る。
❖ パンフレット例(再掲)
➢ 内閣府・こども家庭庁「こどもたちのためにできること~性被害を受けたこどもの理解と支援~」
https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/seibouryoku/pdf/pamphlet_2023_02.pdf
➢ 子どもの性の健康研究会リーフレット「子どもをささえるためにできること~性暴力被害にあ
った子どもの回復のために~」
http://csh-lab.com/wp/wp-content/uploads/2017/02/sasaeru.pdf
連絡窓口 ⚫ 連絡窓口となる人及び連絡先を明らかにして伝える。
⚫ 事業者における保護者連絡窓口は一系統にまとめることが望ましい(現場と本社等、複
数の従事者が異なる対応や回答をすることを避けるため)。
*「記憶の汚染」の意味は、p6「用語の定義」に記載。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(69ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 69ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
3.被害児童等の安全確保
在籍する児童等本人又はその保護者から、特定の従事者による性暴力の被害の申告があった場合には、被害が
引き続き発生している可能性があり、また、被害がすぐに他の児童等も含めて拡大する可能性があるため、事実確認と
並行して、被害児童等と、加害が疑われる者とを分離することや、加害が疑われる者が児童等と1対1にならないよう
にすることは、児童等の安全確保のために最重要となる措置である。なお、加害が疑われる者が刑事事件で在宅起訴
された場合には、いわゆる起訴休職とすることも考えられる(就業規則に定めがある場合に限る。)。犯罪が疑われる
場合(犯罪に該当し得るか不明瞭な場合を含む。以下同様。)かつ性暴力を行った客観的証拠が見つかっていな
い段階では、警察による事情聴取が行われる前に、加害が疑われる者が、その疑いをかけられていることを察知すると、
証拠隠滅(例▶ スマートフォン等のデータ削除や破壊)を行ったり、行方をくらましたりして、事実の究明が難しくなる
可能性がある。
このため、警察による事情聴取の前には、「性暴力の疑いが生じている」ことを理由にして、児童等と加害が疑われる
者との分離を行うことが難しいことが想定される。このため、被害の疑いの発覚後から、警察による事情聴取までの間に
おける、被害児童等の安全確保として、事業者がどのような措置をとるかは、警察に相談することが望ましい。
なお、性暴力には至らない、不適切な行為の疑いの場合も、事案に応じた適切な対応を検討する。
分離する方針として、被害児童等をこれまであった環境から遠ざけるのではなく、加害が疑われる従事者を当該環
境から遠ざけることが望ましい(例▶ 事実の調査の間も、児童等と接触しない事務作業に従事させ、児童等との接
触を禁止する/自宅勤務とする)。加害が疑われる者側を分離する理由としては、被害を訴えた児童等以外にも被
害者が存在する可能性があり、被害児童等やその他児童等への再加害や証拠隠滅が懸念されることも挙げられる。
具体的な安全確保・保護の方法は、施設・事業所に居ること/来ることに不安・心配はないかなど、被害児童等の
心身の状況や、被害児童等及びその保護者等の意思を確認した上で決定し(例▶ 加害が疑われる者との分離方
法、施設・事業所へ通う道中の見守り、性暴力が行われた疑いのある場所とは別室での教育・保育等、周囲の児童
等への説明など)、被害児童等が落ち着いて教育・保育等を受けられる環境の確保を行う。
一方で、この段階ではまだ加害の事実があると評価されたものではないため、あくまでも公正・中立な態度で対応を
行う。
❖ 被害児童等と加害が疑われる者との分離について
~学校の場合~
⚫ 学校は、学校の設置者への報告をするまでの間、教育職員等による児童生徒性暴力等を受けたと思われる児
童生徒等と当該教育職員等との接触を避ける等、当該児童生徒等の保護に必要な措置を講ずるものとする。
⚫ 例えば、各学校において、当該教育職員等を担任から外したり、別の教育職員等が授業を実施したりするよう
にすることや、児童生徒等と接触しない事務作業に従事させることなどにより、児童生徒等への影響が生じない
ようにすることが考えられる。(出典:文部科学省「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する
基本的な指針」より抜粋)
⚫ なお、事実確認により児童生徒性暴力等を行ったことが明らかとなった教育職員等に対する懲戒処分の決定
がなされるまでの間の扱いについても、同様の接触回避等の措置を行うことが当然に求められる。
⚫ さらに、児童生徒性暴力等を行った教職員が起訴された場合には、公立学校においては、分限処分としての
起訴休職とすることも考えられる。(出典:文部科学省「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に
関する基本的な指針」より抜粋)
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(70ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 70ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
~保育所等の場合~
⚫ 雇用主又は施設長等は、保育士による児童生徒性暴力等を受けたと思われる児童を当該保育士から保護
するため、当該保育士について保育所等以外の場所での研修や自宅勤務等を検討する。
(出典:東京都福祉局「都内の保育所等で保育士による児童生徒性暴力等が発生した場合の対応」)
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(71ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 71ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
4.調査
調査に際しては、児童等の人権・特性に配慮するとともに、名誉・尊厳を害しないよう注意しなければならない。その
ため、被害児童等やその保護者の意見を踏まえながら、調査を進めることが有効と考えられる。 ただし、被害児童等
への配慮やプライバシーの保護等を理由に、必要な対応を怠るようなことがあってはならない。また、事実の有無の評価
が行われる前の段階では、加害が疑われる者に対しても、その人権に配慮した公正・中立な対応が求められる。
性暴力は、多くの事業者にとっては初めて対応することとなるため、対応に不慣れであることが一般的である一方、加
害の事実の確認や評価には、高い専門性が求められ、適切な対応を十分にとることができない事業者が多いと想定さ
れる。特に、児童等の特性や調査の状況等によっては、聴き取りや事実の有無の評価の難易度が高いケースも想定さ
れる。
児童等への聴き取りは、繰り返し聴き取りを行うことで児童等の心身の負担(二次被害)を生じさせたり、何度も
話を聴いたり誘導的な質問を行うことで児童等の記憶の汚染を生じさせ司法手続における証言の有効性を失わせたり
する可能性がある。また、当事者への適切な聴き取りが実施・録音できていなかったり、加害者が調査の兆候を察知し、
客観的証拠を隠滅等してしまったりすることで、加害の事実を認定できないことにもつながり得る。このような場合には、
被害を継続させてしまうおそれがある。
児童等への配慮を欠いた聴き取りや、誤った事実の有無の評価は、被害児童等及び加害が疑われる者の権利を
含め、重大な影響を生じさせ得る。このため、事業者は、教員性暴力等防止法において警察への通報が法定されて
いることや、児童福祉法等において所管行政庁等の行政機関への通告等が法定されていることも踏まえて、関係機関
と適切に連携することが求められる。また、適切な聴き取り、トラブル防止、証拠の保全等の観点から、弁護士等の専
門家に相談して対応することも有効である。
(1)調査の進め方(総論)
調査については、原則、客観証拠(客観証拠の例は p73「情報及び客観証拠の保全」を参照)を保全すること
及び両当事者(被害児童等及び加害が疑われる者)に対する聴き取りを適切なタイミングで行うことが、有効と考え
られる。被害の発生を把握した後、可能な限り速やかに、事実確認を開始することが求められる。
犯罪であることが明らかである、またはその疑いがある場合は、警察に通報又は相談する必要がある(事業者による
聴き取りは、警察の助言を踏まえて実施する)。また、特に保育所・児童養護施設等に入所する児童等に対する性
的虐待の疑いがある場合には、所管行政庁等の行政機関と連携する必要がある。
他方、例えば次のようなケースの場合は、被害児童等への聴き取りを最低限にとどめ、関係機関や専門家と連携し
て対応することが望ましい場合があると考えられる。
❖ 被害児童等への聴き取りを最低限にとどめ、関係機関や専門家と連携して対応することが望ましいケースの例
児童等本人が乳児である、心身衰弱しているなどにより、聴き取りに特に専門性が求められる場合(このような場
合、必要に応じて保護者への聴き取りも実施)
加害者の本人特定や加害の内容に明らかな客観証拠があり、児童等への聴き取りの要否を警察等と相談するべ
き場合
被害児童等及びその保護者が、聴き取りを拒否している場合
また、次のケースでは、必要に応じて被害児童等及びその保護者に予め伝えた上で、第三者に聴き取りを行うことが
有効と考えられる。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(72ページ)
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他方、被害を把握していない第三者に聴き取りを行う際には、性暴力被害/加害の疑惑があること及びこれらの者
が疑われているということが察知されないように工夫して行うことが求められる。
❖ 第三者への聴き取りを検討するケースの例
被害児童等及びその保護者と、加害が疑われる者の主張が異なる場合
当事者から第三者の存在が明らかになった場合(例▶ 第三者が性暴力の状況を目撃した可能性がある場合、
性暴力発生日時に近接したタイミングで、被害児童等又は加害が疑われる者と第三者が関わっている場合、被害
児童等から被害の開示を第三者が受けている場合)
当事者と何らかの事情で接触できない場合 等
聴き取りを行う順は、事案に応じ、次の3つのパターンが考えられ、個別に行うことが求められる。
⚫ 被害児童等⇒加害が疑われる者
⚫ 被害児童等⇒第三者⇒加害が疑われる者
⚫ 被害児童等⇒加害が疑われる者⇒第三者
聴き取り内容については、ありのままの事実を、聴取者の意見を交えず、可能な限り本人の語った言葉そのままに記
録することが重要である。児童等は誘導や暗示の影響を受けやすいとの指摘があることや、被害児童等の心身に負担
があることを考慮し、誘導的に聴いたり、何度も同じことを聴いたりしないように留意するとともに、捜査機関等において
行っている代表者聴取(協同面接)の取組にも留意する(詳細は p63「【コラム】被害児童等の二次被害防止及
び適切な司法手続の実現に向けて、事業者・従事者等が行うべきこと」を参照)。
特に、被害児童等や加害が疑われる者への聴き取りは難易度が高いため、関係機関や外部専門家の知見や協力
を得ることも有効と考えられる。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(73ページ)
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(2)調査を行う体制
調査は、次の①~③等の事案の区分(内容)によって、警察や対応チーム(p52「対応ルールの策定・周知」を
参照)等が実施することが考えられる。
❖ 事案区分ごとの調査に関する対応例
※各事案区分の具体例は、p11~12 を参照。
※既存の法令・ガイドライン等で、事案に応じた対応する関係機関(警察、自治体、教育委員会等)への通報等が
求められている場合があることに留意。(p49「報告のルールの策定・周知」及びp98「(参考)既存のガイドライ
ン等における通報等の記載」を参照)
① 犯罪が疑われる場合
犯罪であることが明らかである、またはその疑いがある場合には、二次被害、記憶の汚染の防止等の観点から、児童
等への聴き取りは最低限にとどめ、速やかに警察に通報又は相談することを徹底する。また、警察に通報するか判断に
迷う場合にも、そうした状況にあることを含めて、今後の対応について警察に相談することを第一に検討する。このような
対応に当たっては、教員性暴力等防止法において、犯罪の疑いがあると思われるときは速やかに所轄警察署に通報す
るとされていることや、公務員は刑事訴訟法に基づく告発義務があることなど、各種法令の規定にも留意する。
保護者による加害が疑われる場合を除き、事業者から警察に通報や相談を行う前には、被害児童等及びその保
護者等に警察への通報や相談を行うことを伝えることが望ましい。仮に被害児童等及びその保護者が警察への通報や
相談を望まない場合でも、なぜ望まないのかを丁寧に聴き取り、不安に寄り添いつつも(例▶ 「不安に思うことを含め
て、一緒に警察に相談してみましょう」と提案する。安心させる目的であっても、できないことをできるとは言わない)、犯
罪の疑いがある場合は、再被害や他の児童等への被害拡大等を防止するため、警察への通報や相談が適切な対応
であることを、丁寧に説明することが重要である。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(74ページ)
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また、警察の捜査が開始された場合には、事業者においては、当該捜査に当たる警察の助言を踏まえて調査等の
対応を行う。特に、加害が疑われる従事者への聴き取りや、当該従事者と被害が疑われる児童等の接触回避に当た
っては、当該従事者が、これらを端緒に証拠を隠滅する等の行動を行う可能性があるため、児童等の安全を確保する
ための方策を含め、どのような手段が取り得るかについて、警察とも相談して決定する。
事業者は、p56「発覚時の初期対応」にて得られた情報の保全や、客観証拠の保全に努め、警察に協力することが
重要となる。
また、警察への相談等と並行し、性暴力の疑いを把握した際には、早期から所管行政庁等の行政機関に相談する。
調査に当たっては、警察の助言を踏まえて、所管行政庁等の行政機関とも可能な限り一体的に調査を行う。
特に、児童福祉法等においては、保育所・児童養護施設等に入所する児童等に対する性的虐待(の疑い)を発
見した者は、速やかに都道府県又は市町村に通報しなければならないこととされていることにも留意する。
さらに、警察等に相談する前の初期対応(警察への通報・相談をするべきかどうかの相談等)、児童等への適切
な聴き取り、事業者としての事実確認、雇用管理上の措置、トラブル防止等の観点から、弁護士等の専門家にも、
適切な対応に関する相談・依頼を積極的に行う。
❖ 留意点
⚫ 性暴力の疑いが発覚した場合における必要最低限の確認(p56「発覚時の初期対応」を参照)を除き、被
害児童等への聴き取りは、まずは捜査機関に任せることが望ましい。事業者が被害児童等の聴き取りを行い、
その後警察に通報することになると、警察・検察からも同じ話を被害児童等に求めることになるなど、被害児童
等に無用な負担を増やすことになりかねず、また、事業者による誤った聴き取りを行うことで、司法手続において
信用性のある証拠として採用されないリスクがある(詳細は p63「【コラム】被害児童等の二次被害防止及び
適切な司法手続の実現に向けて、事業者・従事者等が行うべきこと」を参照)。
② 犯罪に該当するとは限らないが、性暴力が疑われる場合
犯罪に該当するか否かは一般の者において判断することは困難を伴うため、判断に迷う場合は、性暴力の疑いを把
握した段階で、警察に相談することが適切な対応と考えられる(相談する場合の留意事項は①を参照)。
犯罪に該当するか分からない場合や、緊急の対応を必要としない場合に、警察に電話で相談できる窓口がある。
【相談時間】平日 8:30~17:15
【連絡先】#9110
【URL】 https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201309/3.html
犯罪には該当しない性暴力が疑われる場合又は警察によるその後の捜査が行われない場合には、対応チームのメ
ンバーを中心に、事実確認を行うことが考えられる。
また、警察への相談等と並行し、性暴力の疑いを把握した際には、早期から所管行政庁等の行政機関に相談する。
調査に当たっては、警察の助言を踏まえて、所管行政庁等の行政機関とも可能な限り一体的に調査を行う。
特に、児童福祉法等においては、保育所・児童養護施設等に入所する児童等に対する性的虐待(の疑い)を発
見した者は、速やかに都道府県又は市町村に通報しなければならないこととされていることにも留意する。
③ 不適切な行為が疑われる場合
施設・事業所・組織の長や副長、管理職等、あるいは対応チームが、事実確認を行うことが考えられる。
なお、事業者においては、事案区分の判断に迷う/判断が困難な場合が想定されるが、その場合には、より重大な
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事案区分に該当することを想定して早期に警察に通報や相談するなどの対応が適切と考えられる。当初は「不適切な
行為」のみと思われていたものの、調査をしていく中で、性暴力が発覚する場合があることに留意し、そのような場合には、
①又は②のケースとして対応する。
◆障害のある児童等への対応における留意事項の例◆
⚫ ①犯罪が疑われる場合、②犯罪に該当するとは限らないが、性暴力が疑われる場合のいずれの場合も、障害
者虐待防止法に基づき、市区町村が事実確認を行う。事業者としては、警察のほか、自治体の障害者福祉
担当課や障害者虐待防止センターへの通報をすることが適切と考えられる。特に犯罪が疑われる場合には、事
業者側で詳細な事実確認はしないことが求められる。
◆ベビーシッター事業者の場合◆
⚫ ベビーシッター事業者が児童に直接事実確認を行うケースは少なく、保護者を通じた聴き取りがなされているこ
とが多いが、対応チーム(p.52「対応ルールの策定・周知」を参照)により、適切な事実確認等の対応ができ
ることが望ましい。
⚫ この場合も、ベビーシッター事業者が保護者と連絡を密にし、聴き取りの際の留意事項等を伝達し、犯罪が疑
われる場合には、警察への通報や相談を推奨する等の対応が望ましい。
❖ 専門家との連携の考え方の例
⚫ 事実確認等に際して、事業者が単独で実施するか、専門家(例▶ RIFCR™研修※を受けた聴き取りの経験
者、事実確認に慣れた弁護士)と連携するか否かは、個別のケースの状況に応じて総合的に判断する。専門
家の助言のもと、事業者において聴き取り等を行うケースや、専門家が直接聴き取りを行うケースが考えられる。
なお、考慮要素として一般的に考えられる例は、次のとおりであるが、これ以外にも個別のケースに応じて、
様々な考慮要素があると考えられる。判断に迷う場合や、「自分たちで実施するのは難しい」と感じた場合に
は、専門家に相談・依頼することが有効と考えられる。
①被害児童等への聴き取りにおける考慮要素例
➢ 被害児童等の特性(例▶ 知的障害・発達障害等の有無)
➢ 事業者による聴き取りに慣れているか否か(例▶ トラウマ反応への対応、発達段階を踏まえた聴き取
り、被害児童等の心理への配慮)
⇒考慮した結果、困難を感じた場合には、例えば、RIFCR™研修を受けた聴き取りの経験者等と連携して
実施することが考えられる。
②加害が疑われる者等への聴き取り、事実の有無の評価における考慮要素例
➢ 行為の悪質性、犯罪の疑いがあるか否か
➢ 加害が疑われる者が、児童等への加害を認めているか否か
➢ 加害行為を客観的に証明する証拠(例▶ 録音データ、SNS のやりとり)があるか否か
➢ 加害が疑われる者が上位者や、大きな権限を有する者であるか否か
⇒犯罪が疑われる場合には速やかに警察に通報や相談をする。また、考慮した結果、困難を感じた場合
には、例えば、事実確認に慣れた弁護士と連携して実施することが考えられる。
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⚫ 一方で、被害児童等への聴き取りは、専門家の協力を得るまでに時間がかかると、せっかく被害を吐露し始め
た児童等が口を閉ざしてしまったり、記憶が薄れてしまったりすることもある。特に低年齢の場合は、知らない人
には、被害を話さず、信頼できる従事者であれば吐露する場合がある。
このため、こうした事態が生じる前から、事業者自身が、従事者に対して、被害児童等への聴き取りに関する
研修(例▶ RIFCR™研修)を受講させるなどして、対応できるようにすることが重要と考えられる。
⚫ いざという時に相談できる専門家を、日頃から探しておくことも有効と考えられる(例▶ 児童等への性暴力防
止に詳しい専門家に、講演/研修をしてもらう等により関係性を築いておく)。
⚫ 小規模な事業者では、内部での対応が難しい場合も想定されるが、業界団体において、こうした専門家と日頃
から連携し、事案が生じた場合に、加盟事業者に速やかにアドバイスできるような仕組みの構築が期待される。
※RIFCR™(リフカー):RIFCR™とは、アメリカ・ミネソタ州の「子ども虐待評価・研修センター」によって開発さ
れた面接プロトコル。具体的には、こどもの周囲にいる大人が、性虐待等、人には話しづらい経験をしたことが疑
われるこどもに対してどのように面接し、何を聞くべきで、何を聞くべきでないかということを半構造化した面接プロ
トコル等のこと。日本では、認定 NPO 法人チャイルドファーストジャパンが、RIFCR™研修を提供している。
(3)情報及び客観証拠の保全
事業者は、p56「発覚時の初期対応」において、被害児童等から開示された情報に関する記録を適切に保存する
ことが重要と考えられる。
また、客観証拠として、例えば次に掲げるものを適切に保全することが有効と考えられる。その際、これらの証拠に接
する者は可能な限り限定し、誰がいつ証拠の管理・閲覧等を行ったか記録しておくことが重要である。また、警察等から
事実確認に関する要請があった場合には、必要な協力を行う。
⚫ 施設・事業所内の防犯カメラ、写真・録音等の直接的な証拠
⚫ SNS の投稿やメッセージアプリ、メールのやり取り
⚫ 服務上の記録等(従事者の出退勤履歴、被害が生じた教室・部屋等の解錠・施錠の記録、鍵の管理状況等)
⚫ 児童等への行動・行為の直接目撃情報の記録
⚫ 性暴力に使用されたものや被害児童等の衣服等(警察が指紋や体液等の必要な客観証拠を採取できるよう、
施設・事業所内に性暴力と何らかの関係があると考えられるものがあれば、洗浄等することなく保全しておく) 等
※性暴力の事実を示す客観証拠があって、聴き取りを行う必要性が低い場合には、被害児童等への聴き取りを実施
しなかったり、時間や回数を減らしたりすることも考えられる。
※こどもの持ち物等の保管方法については、保護者やこどもと相談をして決定する。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(77ページ)
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変更後 · 77ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
ココラム
コラムラム
適切な措置を講ずることなく、
客観証拠を削除させた場合の判例
⚫ 性暴力を受けた証拠となり得る娘の画像・動画を公立中学校の教頭が加害男子生徒に削除させたため、事実
確認ができなくなり、法的措置をとる機会を奪われたとして、娘の保護者が同校を所管する自治体に慰謝料など
約 110 万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が 2024 年 9 月に地裁であり、裁判長は、画像・動画の保全措
置を講じる義務に違反したとして、44 万円の支払いを命じている。
⚫ このケースでは、中学在籍時に女子生徒は、同じ学校の男子生徒の求めに応じて性的な画像と動画を SNS で
送信。また、スマートフォンで動画撮影しながらの性行為を行った。後日、娘から「半ば無理やりだった」と聞いた両
親が、学校側に男子生徒のスマートフォンのデータの保全を求めた。しかし、教頭は男子生徒とその両親と面談し
た際、スマートフォンに保存されていた画像・動画を両親の目の前で削除させていた。
⚫ 地裁の判決では、都道府県教育委員会の手引きに、性的な画像が発見された場合に、「安易に削除するような
指導はせず、被害生徒や保護者の意向を確認するまで学校に一時預けるよう指導する」と記載されており、学校
側には動画の保全義務があったと認定し、両親が動画を確認して法的措置を検討する機会を奪ったとしている。
(4)聴き取り
聴き取りにおいては、何を目的としているか否かで、聴き取り対象や聴き取り事項が異なる。
事業者は、まず事実確認を行うことを目的に、適切なタイミングで、関係者に聴き取りを行うことが想定される。また、
警察の捜査により、事実確認が行われる場合でも、警察の捜査情報は原則秘匿であり、捜査により得られた事実を
事業者は把握できないため、事業者として、被害児童等の保護や支援、再発防止策、加害が疑われる者への処分
等を検討することを目的に、警察の捜査とは別に、事実確認を含む聴き取りを行う場合がある。もっとも、この場合には、
捜査の支障とならないように、事業者が、被害児童等や加害が疑われる者へ聴き取りを行う場合には、事前に捜査機
関に相談することが求められる。
聴き取り事項の例は、次表に記載した対象ごとに、ア~ウにおいて記載している。
なお、児童等は、発達段階や特性、受けた被害の重さや相手が信頼できるかどうか、質問のされ方等によって、証
言内容が変わることもあり得るが、それによって責められたり、不利益な取扱いを受けたりすることがないことを伝え、安心
して聴き取りが行われるよう配慮することが重要である。
❖ 聴き取りの目的と主な対象のイメージ
目的 聴き取り対象
被害児童等及び保護者 加害が疑われる者 第三者
①事実確認 ● ● ●※1
②被害児童等の保護・支援の検討 ●
③再発防止策の検討 ●※2 ● ●※3
④処分内容の検討 ●※2 ●
※1 p68「調査の進め方(総論)」の「第三者への聴き取りを検討するケースの例」を参照すること。
※2 事実確認や、児童等の保護・支援のための聴き取りにより、結果として再発防止・処分内容の検討につながり得る。
※3 早期発見に向けては、周囲の第三者がどのように認識していたかが重要なポイントになり得る。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(78ページ)
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変更後 · 78ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
ア.被害児童等及び/又は保護者への聴き取り
事業者は、主に次の場合に、「事実確認」を目的として、被害児童等とその保護者への聴き取りを行うことが考えら
れる(発覚時の初期の聴き取りは、本項で記載している内容と異なるため、p56「発覚時の初期対応」を参照するこ
と)。
・「犯罪に該当するとは限らないが、性暴力が疑われる場合」及び「不適切な行為が疑われる場合」
・警察や行政機関による捜査・調査が行われない場合(警察に通報や相談をしたものの、警察の捜査が行われな
いことが確定した場合も含む。)
被害児童等への聴き取りは難易度が高いため、可能な限り、適切な聴き取り方法を学び身に付けた従事者を担当
にして実施することが有効と考えられる。また、外部専門家の知見や協力を得ることも有効と考えられる。
被害児童等への聴き取りは、児童等の安全確保のため、加害が疑われる者とは分離した上で行うことが重要である。
また、聴き取りは事実確認の場であり、その場で指導を行わないこと(指導を行うと、児童等が指導につながり得るよう
な行動を説明しなくなるなど事実確認に支障をきたすため)、被害児童等の言い分に対して疑いを持った態度で聴か
ないこと等に留意する。
被害児童等への聴き取りを最低限にとどめ、関係機関や専門家と連携して対応すべきケースについては、p68「被
害児童等への聴き取りを最低限にとどめ、関係機関や専門家と連携して対応することが望ましいケースの例」に記載し
ている。
ただし、前述のケースにより、被害児童等に対する、「事実確認」を目的とした聴き取りを控える場合であっても、「被
害児童等の保護・支援」の検討の観点で、被害児童等や保護者が、事業者に望む対応について、聴き取りを行うこと
はなお重要と考えられる。また、聴き取りを拒絶される場合にも、他にも被害児童等がいる可能性や、加害が疑われる
者がその後も加害を繰り返す可能性があることを伝えた上で、少しでも協力してもらえないか依頼してみる(それが結
果として、再発防止や処分内容の検討に資することになる)ことが考えられる。
なお、警察の捜査が行われる場合には、被害児童等は既に事実確認の聴取を受けている場合があるため、被害児
童等の心身に負担をかけないためにも、事業者が再度、「事実確認」を目的とした聴き取りを被害児童等に行うことは
避け、「被害児童等の保護・支援」を目的とした聴き取りを中心に行うことが望ましい。
警察の捜査が行われる場合に、事業者が、再発防止策や加害が疑われる者への処分を検討するために、被害児
童等側に事実確認を行う際は、警察から情報提供を受けている保護者やその弁護士に、情報提供を依頼することが
考えられる。
区分 実施例・留意点の例
聴き取り
担当者
⚫ 被害児童等への聴き取りは、適切な聴き取り方法を学び身に付けた従事者1名が実施すること
が望ましい(複数人から行うと児童等が混乱するため)。また、被害児童等の話を客観的に聴
くことができる者を立会(記録)者とする。
⚫ 被害児童等によっては、初対面の者には心を開かず、信頼関係のある従事者であれば回答して
くれるケースも見られるため、信頼関係のある従事者が、聴き取り方法のレクチャーを受けて、被
害児童等への聴き取りを行うことが有効な場合もある。
このため、児童等の状態や周囲との関係性、発生した事案の特性に応じて、児童等をよく知る
人が同席することが適切な場合もあれば、逆に信頼できる第三者のみで行う方がよい場合もあ
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(79ページ)
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変更後 · 79ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
区分 実施例・留意点の例
る。「児童等が真実を話しやすい相手は誰か」との観点から、誰がどのように聴き取るか、適切に
決定することが重要と考えられる。
⚫ 面接者と立会者が、児童等がいる場で話し合うことは、児童等の不安の高まりや記憶の汚染に
つながり得るため、控えることが望ましい。
⚫ 施設・事業所・組織内の人員で、児童等への聴き取りを行うことに課題があるときは、性暴力被
害者への聴き取りについて、知見を有する外部専門家の協力を得ることも考えられる(例▶
RIFCR™研修を履修済みの者、性暴力被害児童等への聴き取りに知見・経験がある公認心理
師や臨床心理士)。
聴き取り
場所
⚫ 他の人に話の内容を聞かれず、話が中断されることのない、静かな落ち着いた場所で行う。
⚫ 聴き取り担当者による圧力やプレッシャーを軽減するために、面接者と児童等は向かい合うので
はなく斜めに並ぶ、立会(記録)者は児童等の視界に極力入らない場所に座る等の配慮も有
効と考えられる。
(出典:東京都教育委員会「教職員等による児童生徒性暴力等が発生した場合の初動対応」より作成)
聴き取り
事項
⚫ 最初に、児童等に答えたくない質問には答えなくても良いし、曖昧なことや分からないことは分から
ないと答えて良いことを伝える。基本は、「何があったか、誰がしたか」について聴き取る。「何があっ
たか、誰がしたか」がわかれば十分。その過程で、場所、時間、事物に関わる情報もある程度得
られることもある。
※参考:【何があったか、誰がしたか】以上の事柄の聴き取りについて
⚫ 「何があったか」、「誰がしたか」以上の事柄(出来事の要素や周辺情報)についても、聴き取り
が必要なこともあるが、誘導の危険性やこどもへの負担が特に高まる。そのため、そのような聴き
取りは、どうしても必要な場合に、こどもへの聴き取り方法を十分に身に付けた方が聴き取り担当
者となって、実施する必要がある。基本的に、警察等により協同面接・代表者聴取といった形で
実施されることが望まれる。適切な聴き取り方法を身に付けた者でなければ、それ以上のことを聞
き取ることはリスクが大きいことに留意が必要。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(80ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 80ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
区分 実施例・留意点の例
⚫ 児童等によっては、日時の記憶等が正確に残っていない可能性があるが、それを無理にかつ誘
導的に聞き取ろうとはせず、「何か当時の状況で覚えていることはありますか?」と広く聞き、「その
日は雨が降っていた」等の周辺情報を拾うことによって、推測することが有効な場合がある。
⚫ 「周囲に他に人がいたか」「被害の前後で、関わりがあった人がいるか」を聴くことで、第三者への聴
き取りにつながる場合がある。
被害児童等とその保護者への聴き取り事項の例
※次の表の内容はあくまで例であり、「事実確認」の例示を全て被害児童等に聞く必要はない。被害
児童等の傷つきの状況も踏まえ、無用な負担がかからないよう、必要最小限の範囲で聴き取りを
行うことに留意する。
目的 聴き取り事項(例)
事
実
確
認
被害の内容(誰が、何を)
※参考:【何があったか、誰がしたか】以上の事柄の聴き取りが必要な場合
⚫ 被害の要素(場所、時間、事物、どのようになどが語られておらず、かつ必要な場
合)
・ 被害の期間・回数(どのくらいの期間、何回くらい、被害を受けたか、前にもいやだと
感じることがあったか 等)
・ 客観的証拠(送られたメール、SNS、手紙、物品等はあるか、被害児童等本人記
載の日記・メモ、被害を開示された大人が残した書面等はあるか 等)
⚫ 周辺情報(常習性、目撃者/被害者/加害者、補助証人等の情報が必要な
場合、最後に確認する)
・ 関係する第三者の存在(被害の前後に見たり関わりがあったりした他の人がいた
か、いたとすれば誰か 等)
・ 被害を開示した第三者の存在(誰かにこの話をしたか、したとすれば誰にか 等)
・ 他の被害児童等の存在(他に同じようなことをされた人はいるか、いたとすれば誰
か)
・ (被害を受けた日から開示日までに時間が経過している場合)開示に至った理由
(今、被害について話そうとしたのは、何か理由があるか)
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(81ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 81ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
区分 実施例・留意点の例
目的 聴き取り事項(例)
保
護
・
支
援
被害児童等の変化(からだ、こころ、行動の変化の有無)
現在の生活状況(保育園に行けなくなり、保護者が働けなくなっている 等)
被害児童等の考え方(加害者に対する処罰感情、どのような対応を望むか 等)
保護者の考え方(加害者に対する処罰感情、どのような対応を望むか 等)
事業者に対して求めること
聴き取り
時間
⚫ 聴き取り時間が長くなり、児童等に負担をかけないよう配慮する。
聴き取り
時の
留意点
留意点 内容
感情的な対応に
ならない
⚫ 児童は最初からすべてを開示することはなく、事実を一部だけ話して相
手の様子を見て、この人にそれ以上話をしても大丈夫か感じ取ろうとす
る。
⚫ それに対して、大人が怒りや動揺を見せたり、児童を非難したりすると、
児童はそれ以上話ができなくなる。
無理に
聴きすぎない
⚫ 児童が積極的に話をする場合には遮る必要はなく、あれこれ質問しす
ぎないように留意する。
誘導や圧力に
ならないようにする
⚫ 「○○さんから~~と聞いた」は誘導につながる表現なので避ける。
⚫ 「WHY」は児童にとっては「非難されている」との圧力になる。「HOW」に
言い換える(「なぜそこに行ったの?」ではなく、「どういうことがあって、そ
こに行くことになったの?」等)。
開 示 をほ め 過 ぎ な
い
⚫ 開示を褒めるのは、聴き取りの最後にする。
⚫ 開示直後にそれを伝えると、児童は「ほめられた」「もっとほめてもらおう」
と思い、話を作ってしまうこともある。
他の人が同じ話を
聞くことは避ける
⚫ 被害体験を忘れたいと思っている児童にとって、何度も話を聞かれてそ
れを思い出させられることはトラウマ体験をより深めることになる。
⚫ 児童の話の内容や記憶そのものが変化してしまうリスク(記憶の汚
染)もある。
分からないことは言わ
ない、できない約束は
しない
⚫ 「誰にも言わないからお話して」等、児童に嘘をついて裏切ることになる
と、その後の信頼を失うことになる。
次に相談できる
機会を提供する
⚫ 最初の聴き取りでは、児童は開示への心の準備ができていないかもし
れない。話をする時間を取ってくれたことをねぎらうとともに、「話したくなっ
たらまた聴かせてね」と次の開示の機会もあることを伝える。
被害者の権利を
伝える
⚫ 被害児童に、質問する権利(「知りたいことがあれば何でも質問し
て」)、知る権利(「分かる範囲できちんと答える」)があることを伝え
る。
(出典:NPO 法人性暴力被害者支援センター・ひょうご「学校で性暴力被害がおこったら 危機対応手引
き」)
記録上の
留意点
⚫ 聴き取りの日時、場所、聴取者・立会者、聴き取り内容等を記録する。
⚫ 本人に負担感がないか十分に確認した上で、録音・録画をすることが、正確な記録を残す上で
有効と考えられる(本人に抵抗感がある場合は、無理をさせない)。
録音・録画が難しい場合には、聴取者と被害児童等の発言を、用いられた表現や言葉をそのま
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(82ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 82ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
区分 実施例・留意点の例
ま記録に残すよう努める(不適切な行為が疑われる場合であっても、被害児童等が低年齢で
あったり、被害を隠そうとしていたりする場合、後々、犯罪も行われていたことが判明すると、聴取
者の質問内容に、誘導的な質問がなかったかの証拠となるため)。
⚫ できれば、その時のこどもの服装、表情、話す様子なども記録しておくとよい。ただし、聴き取り者
がどう感じたかという「所感」については、事実とは区別して、それとわかるように記録する。
⚫ 管理者は「いつ」、「どこで」、「何回」などと詳細に確認することを求めないこと。管理者の求めによ
り、職員が聴きすぎてしまうことがある。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(83ページ)
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変更後 · 83ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
コラム 性暴力被害によるトラウマ反応
⚫ トラウマ(心的外傷)とは、大きな精神的ショックや恐怖が原因でできる心の傷のことである。
⚫ どのような暴力も児童等にとっての影響は大きいが、性暴力は他の暴力と比べても、トラウマ(心
的外傷)につながりやすいと言われている。
⚫ 傷ついた出来事の後には、眠れない、食べられない等の身体状況や、そのときのことを急に思い
出す等、様々な症状が生じる。
⚫ また、性暴力により、本来持っていた力が削がれることで、消極的、悲観的になり、生活に支障が出ることがある。
⚫ このようなトラウマ反応について周囲が理解することで、性暴力に気付き、適切な対応を行うことができる可能性が
高まる。
❖ 性暴力被害の一般的なトラウマ反応
分類 症状例
身体反応 言葉にすることが難しい子どもたちは、事件後の自身の変化を周囲にうまく伝えられず、身体反
応(腹痛、下痢、便秘、生理不順、頭痛、食欲不振、不眠等)が出現しやすい
情緒的反応 不安・恐怖、ゆううつ、呆然としている、気分がコロコロ変わる 等
行動での反応 赤ちゃん返り(退行現象:親にくっつきたがる、一緒に寝たがる)、行動が消極的、自暴自棄
的な行動(自傷行為、性問題行動)をとる 等
思考の反応 マイナス思考、被害時のことを覚えていない 等
PTSD 症状
再体験症状:出来事に関連するようなことがきっかけとなり、被害時のことを急に生々しく思い出
す(フラッシュバック)、夢に出来事の内容が出てくる(「嫌な夢を見る」と表現
することもある)
過覚醒症状:物音に敏感になる、落ち着かず集中力が低下する、警戒心が強くなる、眠れな
い
回 避 症 状:出来事を思い出すようなことを避ける(性暴力被害があった場所、加害児童生
徒に関すること、性暴力被害のニュースやドラマでの同様なシーン等)
認知と気分の陰性変化:持続的・過剰に否定的な信念を持つようになる、様々なことに関心
を持てなくなる、以前は楽しめていたことが楽しめなくなる、他者から孤立している
と感じる、幸福感や優しさなどの感情が持てなくなる等
(出典:NPO 法人性暴力被害者支援センター・ひょうご「学校で性暴力被害がおこったら 危機対応手引き」(2020 年6月)に
加筆・一部修正)
⚫ 被害児童等から被害の状況を聞いたときに、心身の不調を訴える可能性がある。そのときは、本人や保護者に対
し、このような反応が出るのは当たり前であることを説明するとともに、症状の改善に向け、早期に専門家(医師、
公認心理師等)に相談することを勧めることが有効と考えられる。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(84ページ)
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変更後 · 84ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
イ.加害が疑われる者への聴き取り
「犯罪が疑われる場合」や「犯罪に該当するとは限らないが性暴力の疑いがある場合」に、警察により加害が疑われ
る者に対して事実確認を行う場合においても、警察から事業者へ捜査情報を伝えることは難しい。このため、事業者と
して、その後の対応や処分等のために聴き取りをすることが必要な場合があると考えられるが、聴き取りを行う時期等に
ついては、警察と相談の上で決定することが求められる。
事業者が聴き取りを行う場合には、対応チーム(p.52「対応ルールの策定・周知」を参照)のメンバーのうち、施
設・事業所の長や管理職等の責任者に該当する者が、加害が疑われる従事者に聴き取りを行う。ただし、加害が疑
われる者への聴き取りは難易度が高いため、経験のある弁護士の知見や協力を得ることも有効と考えられる。
事業者による加害が疑われる者への聴き取りは、主に「事実確認」「処分の検討」「再発防止の検討」を目的に、被
害児童等の安全が確保されたことを確認してから実施する。
聴き取りに際しては、人権に十分配慮し、無理に話す必要はないこと、休憩を取ってもよいこと等の配慮を行う。また、
静かで落ち着いた環境で聴き取りを行うこと、参加者は聴取者、立会者程度にとどめ、圧力をかけないようにすることも
重要と考えられる。さらに、加害が疑われる者が、弁護士などの立ち会いや録音・録画を求めた場合は認めるべきと考
えられる。いずれにしても、事実の有無の評価が行われる前の段階では、公正・中立な対応が求められる。
「あなたにとって大事なことだと思うので、いくつか聞かせてください」「あなたを否定しているわけではないが、とても大事
なことなのです」等と相手に寄り添う姿勢を伝えることや、聞く側が根拠をもって聞いていることを伝えながら聞くことも有
効と考えられる(単に、行為をしたか、していないかだけを聞くと、反射的に否定する場合がある)。
聴き取りでは、児童等への性暴力又は不適切な行為の事実の有無を、冷静に確認する。その際、客観証拠や、
被害児童等・第三者への聴き取りで得られた情報を、最初からすべて開示することはしない。仮に聴き取りの最中に、
客観証拠や被害児童等及び第三者の説明と相違する点があったとしても、まずは本人の言い分(事実経過に関する
認識)を一通り聞くことが重要である。聴取対象となる従事者が、疑われる行為を否定した場合に、これまでに得られ
た情報と矛盾するところがあれば初めてそれを示し、それに対する見解を述べさせ、客観的に記録することに努める(加
害が疑われる者の同意があれば録音することも正確な記録を残す上で有効)。聴き取りは事実確認の場であり、その
場で指導を行うと、本人が指導を恐れてそれ以上の情報を開示しなくなる可能性が高まるため、指導は行わないように
留意する。
加害行為を認めているような場合には、再発防止につなげるために、加害が疑われる行為に至った動機やプロセス
(ターゲットとなる児童等を選定した理由、どのように児童等と二人きりになる状況を作ったか等)を確認できるとよい。
なお、最終的に児童等への性暴力や不適切な行為の事実の有無が評価できるか否かに関わらず、当該従事者が、
被害を訴えた児童等に証拠隠滅や報復を目的とした働きかけ(例▶ 口止めや証拠隠滅を強要する、教育・保育の
場における取扱いの差別(入試における推薦、大会等に向けたレギュラー選抜における差別等)をちらつかせて強迫
する)を行うことはあってはならず、このような働きかけを行った場合には、就業規則、服務規程、事業者の行動指針
等に照らし、処分の対象となり得ることを、一般論として説明しておくことが重要と考えられる。
❖ 加害が疑われる者への聴き取り事項の例
目的 聴き取り事項(例) 留意事項
事
実
確
認
①話しやすい雰囲気の形成
最近、仕事の状況はどうか。ストレスや悩み事はあるか。
②行為の有無の確認
<行為があった日時、場所等に関する情報が得られていない場合>
最近、〇〇(例▶ 部活、課外活動、施設からの送迎等、被害に関連す
基本的に、聴き取り者が
事実を決めつけず、本人
に語ってもらうことが重要。
客観証拠がない場合は、
ま ず は 話し や す い 内容
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(85ページ)
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変更後 · 85ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
目的 聴き取り事項(例) 留意事項
る事柄)のことで、何かおかしなことや気づいたことはないか(被害児童等
の名前は出さない)。
△△(行為の内容やその行為が行われた状況 例▶ 送迎時に車内で児
童等と二人きりになる、児童等と押し入れの中に入る)というようなことはあ
ったか。
このような情報があるが、どのように思うか。
〇〇(被害の申告があった行為。例▶ 抱きしめる)を行ったことはない
か。
<行為があった日時、場所等に関する信頼できる情報が得られている場合
>
〇月〇日はどこで何をしていたか(時系列に)。
・(記憶が曖昧で分からない場合)手帳や SNS などを見ても良いので、
覚えていることを教えてほしい。 等
(周辺事項)からオープ
ンに聴いていき、次第に核
心に迫ることが有効。
「いつもどおりだった」等の
回答の場合、被害供述に
応じて具体的に質問して
いく。
被害日時が特定されてい
れば、当日の行動を時系
列で聴いていく。
加害行為が確認できな
い場合には、終了する。
<行為を認めた場合>
具体的にどのようなことをしたか(いつ頃、どこで、誰に、何を、どのようにした
か)
いつ頃からその行為をしていたか、何回くらいしたか、以前もしたことがある
か。
(記憶が曖昧な場合)メール、SNS、写真等を持っていないか、自身の日
記、手帳等に記録を残していないか。あるならば見せてもらえないか。
その行為をした相手は何人いるか、誰に対してか。 等
まずは抽象的に聴き、自ら
話し始めれば傾聴し、次
第に具体的に聴いていく。
「触り方」「児童等との距
離」など、言葉での表現が
難しい場合には、図に書く
/行為を再現する等。
メール等があれば内容を
確認。ただし、任意提出と
なる点に注意。
再
発
防
止
その行為を思い立ったのはいつか。何が原因・きっかけだったか。
被害児童等を対象とした理由は何か。
その行為に至るまでにどのような経緯・行動をとったか(時系列で)。
前科・前歴はないか。性的な問題で注意されたり、問題となった
りしたことはないか。
被害児童等に対して行ったことについて、どう考えているか。
再犯しないためには何が必要と思うか。加害をやめるためにはどうすればいいと
思うか。 等
動機がどの場面で生じた
か、なぜ被害児童等が狙
われたかは再発防止の参
考となる。
計画性の有無は処分の
重さを考える上で重要。
反省を踏まえた具体的な
行動がない、再犯性があ
る場合、処分の重さに影
響。
ウ.第三者への聴き取り
第三者への聴き取り事項としては、被害の疑いがあることが察知されないよう、「この時期のここで何か見聞きしました
か」「それ以外にも何か気になることはありましたか」等とオープンな質問形式をとることが考えられる。さらに、「○○先生
の言動で気になったことはありますか」と聞くことも考えられる。その上で、被害児童等やその保護者、加害が疑われる者
からの聴き取り内容との整合・相違を確認する。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(86ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 86ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
なお、被害児童等に関する情報(被害児童等の個人情報や疑われる被害の内容、加害が疑われている者の個
人情報等)がみだりに対応チーム外に漏れることで、二次被害につながることはあってはならないことから、聴き取り対
象となった第三者にも、秘密保持が求められる。
❖ 第三者への聴き取り事項の例
目的 聴き取り事項(例) 留意事項
事
実
確
認
・最近、△△(例▶ 部活、課外活動、教室、施設からの送迎等、
被害に関連する事柄)のことで、何かおかしなことや気づいたことはあ
るか
・最近、●●さん(加害が疑われる者)のことで気になることはあるか
・最近、□□さん、◇◇さん、☆☆さん(被害児童等を含む人物名。特
定の者ではなく、複数名の名前を挙げることが望ましい)のことで気に
なることはあるか
・他に、最近何か気になったことはないか
<被害前後で関わりがある者への聴き取り>
・□□さんが、~~室から出てくるところを見たことがあるか
・□□さんが、泣いているところを見たことがあるか、いつ頃か覚えているか
等
第三者の聴き取りは、誘導に
ならないように自発的な発言
を得るべく(オープンに)、慎
重に聴き取る。
いつ頃かについては、記憶が
曖昧なことが多いので、曖昧
な情報を事実と仮定しないよ
うに注意する。
<目撃ありと確認できた場合>
・何を見たか(いつ、どこで、誰が、誰に、何を、どのようにしていたか)
・他にも気づいた人はいたか
・他にも気になることがあるか 等
目撃が確認できた場合は、
具体的に内容を聞いていく。
目 撃 し た 場 合 は 、 こ の 話 を
SNS 上を含めて他の人に言
わないこと、そのようなことをす
ると、名前を言わずとも被害
児童等が類推され、誹謗中
傷などが起こるリスクがあること
を伝える(目撃した児童等
が他の人に話している場合に
は、その者にも同様のことを伝
える)
【被害児童等から被害後に話を聞いた人への聴き取り】
・どのような内容を聞いたか
・被害児童等から話を聞いたのはいつ頃、どのような状況においてだった
か
・その時の被害児童等の様子はどうだったか
・あなたは誰かにその話を伝えたか、伝えた場合、誰に対してか 等
同上
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(87ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 87ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
(5)事実の有無の評価
客観証拠及び聴き取りにより可能な限り情報を収集し、性暴力の事実の有無について合理的に判断するために十
分な情報が集まった場合や、これ以上の情報収集が困難となった段階で、収集した情報に基づき、性暴力が行われた
と合理的に認められるか否かの判断を行うこととなる。
性暴力が行われたと合理的に認められるとは、次のような、加害の事実があると評価できる場合をいうものと考えられ
る。
ア 加害が疑われる者の供述内容及びその内容と整合的な客観的な証拠や第三者の証言があった場合
イ 加害が疑われる者の供述内容と児童等の相談・申告内容が整合的である場合
ウ 児童等や保護者の相談・申告内容と整合的な客観的な証拠や第三者の証言があり、児童等や保護者の相
談・申告内容の信用性が認められる場合
エ 客観的な証拠や信用性が認められる第三者の証言から直接、事実と判断できる場合
なお、イは児童等からの相談・申告があるのに対し、アについては、例えば、発達段階や特性により、被害が疑われる
児童等から明確な被害の申告は得られていないものの、加害が疑われる者本人からの加害事実の自己申告等がある
ことに加え、その信用性を担保できる事実及びその証拠(例:防犯カメラの映像に、従事者が、業務上の必要なく、
死角となる場所に児童等を誘導している様子が映っていたこと)があった場合などが考えられる。
また、加害が疑われる者本人が性暴力に当たる事実を認めている場合であっても、周囲からの圧力等により、実際
には当該事実が無いにもかかわらず、逆らえずに認めてしまった可能性はないか、検証できるようにすることに留意する。
一方で、被害児童等と加害が疑われる者の間の証言が相反する場合や、当事者から聴き取りができない場合、音
声・録画等の客観証拠がない場合等に、事実の有無を評価するには高い専門性が求められる。誤った事実確認及び
それに基づく事実の有無の評価は、児童等、加害が疑われる者の権利を含め、重大な影響を及ぼすことを考慮し、警
察、所管行政庁等と連携して対応した事実確認を踏まえて整合的に判断することや、弁護士と連携して行うこと等が
望ましい。
その上で、例えば、被害供述やその他の供述・証拠等から、次のような条件・事情があると言える場合や、加害が疑
われる者の供述が、複数の供述・現場の状況・他の証拠等と矛盾する、主張が一貫しておらず変遷がある等があれ
ば、被害供述を事実と評価し得る場合も考えられる。
❖ 弁護士と連携して合理的に事実の有無を評価する場合の条件・事情の例
① 他の証拠・事実との整合性
② 供述態度・供述過程(供述経過、供述の一貫性、供述変遷の有無・状況、記憶の保持状況)
③ 供述内容(詳細さ、具体性、迫真性、臨場感、真実の吐露、事実認識時の意識状態、重要事項の欠
落の有無等)
一方、被害児童等と加害が疑われる者の間の証言が相反している場合や、当事者から聴き取りができない場合
(接見等も含めてできない場合)であって、他の供述・証拠等も、事実と評価するに十分ではないときは(裁判にお
いて有罪が確定するなどの事情がない限り)、事実の有無を評価することは困難と考えられる。
このような場合、行為が行われた事実があると評価することができない以上は、うわさなどによって、特定の従事者や
児童等が不利益を被らないよう、関係者の人権や尊厳、メンタルヘルスに十分配慮した対応が求められる。また、事実
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(88ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 88ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
と評価されなかった行為等を理由として、懲罰的な対応を行うことはできない。
一方で、行為が行われた事実がないと評価することもできない以上は、事業者として、性暴力や不適切な行為の疑
いが生じたことは重く受け止め、従事者の人権への配慮の必要性を考慮しつつも、クラス決め、指導や介助の担当決
め等の際に考慮するなどにより、両者の接触を極力避けるなど、被害を申告した児童等の心身に十分配慮し、教育・
保育等の場がその児童等にとって安全・安心な居場所となるように事業運営を行うことが望ましい。また、そのような疑
いが再度生じないよう、後述のp99「再発防止策の検討・実行」に記載の内容も参考にしながら、適切な対応を検
討及び実施することが望ましい。
5.対応方針決定
対応チーム(p52「対応ルールの策定・周知」を参照)は、性暴力は重大な人権侵害行為であるとの認識の下、
事実確認等の結果を踏まえ、事案に関する対応及び支援の方針を協議・決定する。
方針は被害を受けた児童等を中心に決定することが重要であり、被害児童等を置き去りにすることなく、安全確保
と身体的・精神的苦痛へのケアに努めるとともに、二次被害(例▶ 被害児童等が周囲に責められる状況、被害児童
等に係るうわさ・誹謗中傷の発生)を防ぐために、人権やプライバシーを守ることが重要と考えられる。
事実確認において、必ずしも事実があると確証できるものがない場合においても、事実がないと断定する必要はなく、
被害を感じている児童等へのケアを行うことが重要であると考えられる。外部専門家等の第三者の意見を参考にするこ
とも有効と考えられる。
また、被害児童等がそれまでの日常を取り戻すことを目標に、支援方針を検討することが望まれる。
ア.方針決定事項の例
① 事実があると評価できる場合、どのような指導・処分を行うか
※従事者に対して、不当な処分を行ったと評価されないよう、就業規則等に基づく適切な対応が求められる。
② 被害児童等への支援の具体的目標、対応策
③ 再発防止策
④ スケジュール
⑤ 関係機関との連携
イ.被害児童等とその保護者への方針の説明
方針は、可能な限り、被害児童等の意思、保護者の意向を確認しながら、検討・決定する。性暴力被害の状況
や決定した対応方針の説明のため、被害児童等やその保護者に連絡する。
特に、被害児童等に対しては、可能な限り、分かりやすく説明し、安心感を与えることが重要である。また、被害児
童等の保護者に対しては、事実確認の内容や、今後の再発防止策等を、適切なタイミングで説明することで、事業者
との間で信頼関係を構築することが有効と考えられる。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(89ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 89ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
◆小規模住居型児童養育事業者、乳児院、母子生活支援施設、児童養護施設、障害児入所施設、児童心
理治療施設、児童自立支援施設、指定発達支援医療機関、児童相談所(一時保護施設を含む。)等の
場合◆
⚫ 所管行政庁等(担当部署)は、被措置児童等(虐待を受けた被措置児童等及び必要な場合は当該施
設等を利用に入所する他の被措置児童等)への対応方針を検討し、児童相談所、施設等とよく連携した上
で、被措置児童等の保護者に対して対応方針の説明を行い、了解を得る。
(出典:こども家庭庁「被措置児童等虐待対応ガイドライン」)
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(90ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 90ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
6.保護・支援及びその他の関係者への対応・支援
事業者は、「被害児童等とその保護者」「被害児童等以外の児童等」「事案が生じた現場で働く従事者」「不適切
な行為又は性暴力を行った者」等に、適切に対応・支援していくことが重要と考えられる。
(1)被害児童等とその保護者への支援
性暴力被害にあった児童等には落ち度も責任もなく、人権を侵害された被害児童等は、それまでの日常を守られる
べき存在である。そのため、性暴力被害への対応・支援は被害を受けた児童等を中心とした方針とすることが重要であ
る。傷ついた児童等の気持ちに寄り添うこと、心と身体のケアをすることによって、被害児童等が日常を取り戻し、教育・
保育等の場が安全・安心な居場所となることが支援の目標となると考えられる。
児童等が性暴力被害に遭うと、その保護者も傷つくことになる一方で、児童等の回復に向けては、保護者の児童等
への関わりが大きく影響する。事業者及びその従事者は、保護者の怒りや不安を受け止め、気持ちに寄り添い、信頼
関係を築きながら、保護者が児童等の気持ちや状況を理解していくことを支援することが有効と考えられる。
被害児童等とその保護者へ保護・支援を行うにあたっては、次のような対応を行うことが考えられる。
ア 被害児童等と性暴力を行ったと認められる従事者との接触の回避
イ 事案の内容その他の事情に応じた支援機関等の一覧及び支援内容の被害児童等への情報提供
ウ 被害児童等及びその保護者からの相談への真摯な対応
ア.被害児童等と性暴力を行ったと認められる従事者との接触の回避
従事者が性暴力を行ったと合理的に認められる場合には、被害児童等への更なる加害の防止のため、当該児童等
との接触を回避するための方策をとることが必要である。
イ.事案の内容その他の事情に応じた支援機関等の一覧及び支援内容の被害児童等への情報
提供
事業者においては、事案発生時に備えて、心身のケアや法的対応に関する支援機関等の一覧を準備しておくことが
必要である。児童等が性暴力を受けたと認められる場合には、被害児童等やその保護者に対して当該一覧を提供し
たり、相談・支援にワンストップで対応してくれる、地域の性暴力被害者支援機関等の連絡先を伝えたりするなど、適
切に情報提供を行うことが重要である。
支援機関等の一覧は、地域の実情に応じて、各事業者において作成するべきものであるが、考えられる支援機関
等の例及び各機関等の支援内容は次に掲げる表を参照。
支援機関の例 支援内容
地 域 の 性 暴 力 被 害 者 支 援 機 関
(ワンストップ支援センター、犯罪被
害者等早期援助団体等)
被害者の心身の負担を軽減し、その回復を図るため、被害直後からの
必要な支援を提供する(例:医療機関への同行支援・紹介や警察への
同行支援等)。
※ワンストップ支援センターの支援内容の詳細については、各都道府県に
設置されている各センターのホームページを参照
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(91ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 91ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
医療機関 治療が必要な外傷がある場合、妊娠又は性感染症の可能性がある場
合や薬物を使用されたおそれがある場合等には、医療機関受診が必要。
警察 被害届を出すか決まっていなくても、警察への相談は可能。警察では被
害児童等の心情に十分配慮して対応。
弁護士 被害児童等の権利を守るため、早期に弁護士のサポートを求めることも
有効。
地方公共団体 犯罪被害者等(性暴力を含む)に係る「総合的対応窓口」において、
相談・問い合わせを受け付け、必要に応じ、地方公共団体内の関係部局
や関係機関・団体に情報提供・橋渡しなどを行っている。
ポイント
・ 都道府県によって支援内容等は異なるが、警察や性暴力被害者支援機関による医療機関受診(緊急避妊
等に関する経費)やカウンセリング等の公費負担制度があることも伝える。
・ p64「保護者への連絡・説明」の「児童等への接し方」を参照し、第一報時に伝えられていない場合は、情報提
供を行う。
・ 被害児童等側からすれば加害側である事業者から、「児童等への接し方」について、保護者へ説明することが困
難な場合には、次の被害児童等の保護者向けリーフレット等を保護者に渡し、情報提供することが有効と考えら
れる。
子どもの性の健康研究会リーフレット「子どもをささえるためにできること~性暴力被害にあった子どもの回復のた
めに~」
http://csh-lab.com/wp/wp-content/uploads/2017/02/sasaeru.pdf
ウ.被害児童等及びその保護者からの相談への真摯な対応
性暴力被害にあった児童等には落ち度も責任もなく、その日常生活は守られるべきものである。事業者においては、
性暴力を受けて傷ついた児童等の気持ちに寄り添い、心と身体のケアをする必要がある。
また、児童等が被害に遭うと、その保護者も傷つくことになる一方で、児童等の回復に向けては、保護者の児童等
への関わりが大きく影響する。事業者は、保護者の怒りや不安を受け止め、気持ちに寄り添い、信頼関係を築きなが
ら、保護者が児童等の気持ちや状況を理解していくことを支援することが必要である。
このため、事業者においては、被害児童等及びその保護者からの相談に真摯に対応するため、次に掲げるような措
置を講じることが重要である。
・ 被害児童等の担当者を定め、当該担当者が被害児童等と定期的に話し、(保護者担当がいる場合はその担当
を通じて)保護者等に連絡して家庭等での様子を聴くこと等により、被害児童等の状況を把握すること
・ 性暴力被害が児童等にもたらす影響(心身への影響、トラウマ症状等)について理解した上で、被害児童等に変
化がないかどうか、様子を見守ること
・ 気になる点や状況の悪化が懸念される点がみられた場合、速やかに組織的に共有し、迅速な対応につなげること
・ 支援のニーズはないか等を定期的に確認しつつ寄り添い、被害児童等が話したいことがあれば、真摯に耳を傾けるこ
と。その中で支援のニーズが確認できれば、具体的な支援につなげること
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(92ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 92ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
◆保育所・学校等、児童等と持続的に関わることが想定される事業の場合◆
⚫ 被害児童等の中には、長期にわたって心的外傷やその他の心身に対する悪影響が継続する場合がある。
被害当時には認識できなかったが、その後成長してから被害にあったことを認識し、心身に対する悪影響が発
生・継続する場合もある。
適切なケアが行われ、被害から回復していく場合にも、時間がかかることが多い。
そのため、被害児童等の希望を踏まえ、中長期的に見守っていくことが有効と考えられる。
⚫ 支援が中長期に及ぶ場合、被害児童等の教育・保育環境が変化する状況(例▶ 進級・進学する、卒業・
卒園する、転校・転園など)も予想される。そのような場合、事業者は被害児童等の同意を得た上で、支援
の継続に向けて対応を引き継ぐ(例▶ 転校、卒業等の後にも、児童等の同意を得て次の所属先に支援内
容・必要性等の情報を引き継ぐ)ことが重要と考えられる。
(2)被害児童等以外の児童等への対応
被害児童等以外の児童等及びその保護者への対応においては、被害児童等のプライバシーを保護するために、う
わさが発生しないことや、うわさが拡がらないようにする(二次被害の防止)ための情報管理を行うことが重要となる。
具体的には、被害児童等から被害の開示等を受けた児童等から発覚した場合や、第三者の児童等に聴き取った
際に、当該児童等が被害を把握していた場合など、情報管理を行うべき対象が、対応チーム外にいることを把握した
場合に、注意喚起等の適切な対応を行うことが重要となる。
また、何か被害が生じる前に、予め、①誰でも性被害に遭うリスクがあること、②性的なことについてうわさを立てること
は、被害者の心を傷つけ、二次的な被害を与えることであり、うわさを立てたり、拡げたりしてはならないこと、③こうしたこ
とは、被害者だけでなく、(もしかしたら将来被害に遭うかもしれない)友人や自分を守ることにもつながることを、一般
論として伝えておくことも有効だと考えられる。
被害児童等の情報を、他の児童等やその保護者に知られれば、被害児童等及びその家族は、その地域に住み続
けることが難しいと感じる可能性がある。このため、施設・事業所で被害があったことを、関係する保護者に説明する必
要が生じた場合に、保護者会による一斉の説明ではなく、個別の保護者に説明していく方が、被害児童等の保護者
等への負担が少なく、かつ保護者の理解を得やすいという事例がある(p95「【コラム】性暴力が発生した場合の事業
者の対応例<事例紹介>」を参照)。
また、最初に被害が発覚した児童等以外にも、被害を受けた児童等がいるかもしれないことを念頭に置き、深刻な
ストレスを抱えている児童等に対する心理的ケアを行うことが重要である。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(93ページ)
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変更後 · 93ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
区分 対応内容の例
うわさ が拡がら な
いようにする(二
次被害の防止)
⚫ 被害があったことを知った児童等や保護者に不安や動揺が拡がったり、万が一うわさが流
れたりする場合には、被害児童等のプライバシー保護を徹底するとともに、児童等や保護
者の間で、SNS での拡散や、うわさが拡がることがないように、厳しく注意喚起する(うわさ
が生じることは二次加害にあたる)。
⚫ うわさを意図的に広げるなどの悪質な状況がみられれば、それを知らせてほしいことを伝え
るとともに、被害児童等やその保護者の了承の下、毅然とした態度で、うわさを拡げないよ
うに個別に注意する。
深刻なストレスを
抱 え て い る 児 童
等 へ の 心理的 ケ
ア
⚫ 被害児童等から被害の相談をされ、被害を受けている状況を見聞きした児童等は、被害
児童等と同じような傷つきを体験している場合がある(自責感、恐怖・不安感)。また、
日頃から精神的に不安定な児童等は、事態を受けて更に不安定になる場合もある。
⚫ 深刻なストレスを抱えている児童等がいる場合、児童等の思いに寄り添う。児童等の気
持ちに耳を傾け、気持ちを落ち着かせる手助けをし、不安を感じた時の相談先を伝える。
◆小規模住居型児童養育事業者、乳児院、母子生活支援施設、児童養護施設、障害児入所施設、児童心
理治療施設、児童自立支援施設、指定発達支援医療機関、一時保護施設等の場合◆
⚫ 特に、施設等の複数のこどもが生活を送る場で被措置児童等虐待が発見された場合には、被害を受けた被
措置児童等のほかにも、当該施設等で生活を送っている他の被措置児童等に対しても、適切で分かりやすい
経過説明ときめ細かなケアを実施することが必要である。
(出典:こども家庭庁「被措置児童等虐待対応ガイドライン」より抜粋)
⚫ 複数の児童等が目撃者、被害者となっている可能性もあるため、情報統制が重要となる。お互いの情報で記憶
の汚染が生じないように留意する。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(94ページ)
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変更後 · 94ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
❖ 保護者会の開催について
⚫ 性暴力事案の発生について、被害児童等以外の保護者に報告・説明するために、保護者会を開催するか否
かが検討事項となる。
⚫ 被害児童等及びその保護者は、被害があったことを誰にも知られたくないと考えているケースが多い。このため、
保護者会の開催により、加害・被害の詳細を説明することで、被害児童等を特定する動きが生じる恐れがない
かを懸念し、保護者会の開催を望まない場合があると考えられる。
事業者としては、こうした被害児童等及びその保護者の意向を尊重して、保護者会の開催有無を判断するこ
とになると考えられる。
⚫ なお、被害が明らかになった児童等及びその保護者が、誰にも知られたくないからといって、加害が疑われる者と
児童等を分離せず、再被害や被害拡大が発生し得る状況を放置することは決してあってはならない。他にも性
暴力被害を受けている児童等がいるかもしれないということを前提に、保護者会を開催しない場合であっても、
隠ぺいしていると疑われることがないよう、事業者として、適切な措置をとることが求められる。
また、予め、全ての保護者に対して、性暴力事案については、被害児童等及びその保護者の意向を踏まえ、
保護者会を開催しない場合があること、その場合にも、①警察等と連携して、他に被害児童等がいないか調
査することや、②加害が疑われる者と児童等を分離する等により安全を確保することについて、伝えておくという
方策も考えられる。
⚫ マスメディア等を通じて、加害者の氏名が公にされたり、うわさになったりすることで、被害児童等以外の保護者
から、保護者会開催を求める声が生じる場合がある。その場合も、クラス単位、部活単位、全校単位に保護
者会を開催する事例や、保護者会を開催せずに、個々の保護者に対し個別に報告・説明をする事例もみら
れ、被害児童等のプライバシー保護及び二次被害防止を第一にして、適切な対応方法を選択することが重要
と考えられる。
⚫ 被害が明らかになっている児童等以外の保護者からは、加害が疑われる者の現在の状況、警察等の対応状
況、自分たちのこどもも被害にあっていないか、こどもにどのように説明すべきか等、様々な質問がなされ得る。質
問に対し事業者は、回答できることはしっかりと回答し、回答できないことについてはその状況や今後の見通し
(「確認中」「捜査中」「いつ頃までに判明する予定」等)を答えることが重要と考えられる。
(3)従事者への対応
対応チームのメンバーである従事者が、事案対応を行うに当たって、二次的外傷性ストレスを受けることがある(例
▶ 不眠やイライラ等の身体の不調、周囲からの孤立)。また、被害児童等をこれ以上傷つけないようにケアをしていく
という状況に、プレッシャーを感じながら過ごすことになる。
直接的な事案対応を行うメンバーでなくとも、現場にいる従事者は、保護者等からの批判を受けたり、「あなたも性
暴力に加担していたのでは?」等の第三者から心ない言葉により精神的苦痛を受けたりすることで、教育・保育等の場
で生じた性暴力を防げなかったという自責感や、被害児童等の苦しみを取り除いてあげられない無力感等が生じ、バー
ンアウト(燃え尽き症候群)してしまい、離職するという事例がある。
このように、関係する従事者が大きな衝撃を受けていることを、経営者やチーム長は認識した上で、従事者への心理
的ケアを行うことが有効と考えられる。
例えば、被害児童等やその保護者等の支援を担当する従事者は、守秘義務の中で情報共有できるメンバー(対
応チームのメンバー等)と気持ちを分かち合いながら、セルフケアを行うことが有効と考えられる。特に、被害児童等から
最初に性暴力被害を打ち明けられた従事者には、大きなストレスがかかることがある(例▶ 自分に信頼を寄せてくれ
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(95ページ)
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変更後 · 95ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
コラムコラム
ている児童等が被害を受けていること、「他の人には言わないで」と相談されたがその要望には応えられないこと等)。
経営者やチーム長は、こうしたメンバーや、現場の従事者の心身に問題がないかを頻繁に確認し、セルフケアの重要
性を伝えることや、心のケアを行う専門職等の心理ケアを受けさせることなどにより、サポートすることで、事案対応の持
続可能性を高めていくことが有効と考えられる(経営者やチーム長自身の心身のケアも同様)。
セルフケア
⚫ 一人で抱え込まず、業務の時間とプライベートの時間の切り替えを行う。
⚫ また、自らの感情を表出することも大切。笑うことが効果的だと言われているので、少しでもリラックスし
ながら楽しい瞬間を見つけて笑うようにする。いかなるときでもユーモアは大切。
セルフケアの行動例
分類 行動例
生活ペースを維持する 十分な睡眠、食事、水分をとる。カフェイン、お酒、たばこのとりすぎには注意する。
自分自身の反応に気づ
く
心身の反応が出ている場合は、休憩や気分転換に心がける。「自分だけ休んでいら
れない」と罪悪感が生じる場合は、同僚とともに休息をとるのも一つの方法である。
気分転換方法を工夫す
る
深呼吸、目を閉じる、瞑想、ストレッチ、散歩、体操、運動、音楽を聴く、食事、入
浴など、自分に合った気分転換をする。
一人でため込まない 家族や友人などに積極的に連絡して、生活感や現実感を取り戻すことも大切。ま
た、従事者同士でお互いのことを気遣うことも忘れないようにする。
(出典:三重県「学校における児童生徒間の性暴力 対応支援ハンドブック」)
(4)不適切な行為を行った者への対応
不適切な行為を行った従事者(パートタイム、アルバイト、ボランティア等を含む)に対しては、不適切行為が繰り
返されないよう、指導と経過観察を行う。指導は、書面で行い、記録として残すことが、当該従事者への再発防止の
意識づけにつながり、またその後の処分の際に指導を行った証拠としても示し得ることから、重要である。
なお、単に「このような行為を行ってはいけない」という趣旨のみの注意指導を行い、その場で従事者が「注意します」
と回答しても、心の中では「自分は悪くない、ルールがおかしい」と考えて、不適切な行為を繰り返すこともある。このため、
なぜこのような行為を避けるべきなのかを問いかけ、本人の考えを確認しつつ、納得できるように説明する(従事者を、
あらぬ疑いから守ることにもつながること)ほか、こどもの権利や思考の誤り等に関する研修の再受講をさせることで、再
発防止につなげることが有効と考えられる。
指導したにも関わらず、同様の行為を繰り返すような場合には、(5)に準じてより厳格な対応を行うことが考えら
れる。
(5)性暴力を行った者への対応
性暴力を行った者に対しては、厳正に対応することが重要である。
適正な手続・プロセスを経て事実確認を行った上で、性暴力や犯罪の事実が確認された場合には、就業規則等に
基づき、厳正な対応を行う。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(96ページ)
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変更後 · 96ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
❖ 不適切な行為を行った者、性暴力を行った者への対応内容の例
区分 対応内容の例
指導 ⚫ 不適切な行為がみられる従事者に対しては、従事者本人に事実確認の上、当該行為が繰り
返されないよう書面による指導や研修受講命令も含めて、実効的に指導するとともに、注意深
くその後の経過観察を行う。
処分 ⚫ 服務規律等と照らし合わせ、厳正な処分を行う。
➢ 従事者の不適切な行為については、一定回数以上繰り返された場合、就業規則等に
基づき、処分を行う。
➢ 従事者による性暴力や犯罪の事実が確認された場合、就業規則等に基づき、厳正な
処分を行う。
⚫ 処分等の検討に当たっては、事案に応じて、弁護士の協力を得ながら進めることも考えられる。
対応時の
留意事項等
⚫ こども性暴力防止法の対象事業者は、同法に基づく防止措置としてこれらの対応を行う(詳
細はこども性暴力防止法施行ガイドラインⅦ. 安全確保措置(防止措置)参照)。
⚫ たとえ逮捕されても、当該従事者が児童等への性暴力の事実を否認している場合、刑事裁判
上は推定無罪の状態にあるため、事業者として、「加害者」と断定するような表現は控える。
⚫ なお、前述の処分等を含む雇用管理上の措置を講じる場合には、労働関係法令に従うことが
求められる。
❖ 児童等へ性暴力を行った者の処分について
~学校の場合~
⚫ 実際に教育職員等による児童生徒性暴力等があった場合には、懲戒免職とするなど、「教育職員等による児
童生徒性暴力等の防止等に関する法律」の基本理念等も踏まえ、厳正な懲戒処分を行う必要がある。他校
の児童生徒等に対する場合についても同様に厳正に対処する必要がある。
⚫ 同法は、公立学校の教育職員等の任命権者の責務として、児童生徒性暴力等をした教育職員等に対する
適正かつ厳格な懲戒処分の実施の徹底を図ること、公立学校以外の学校の教育職員等を雇用する者の責
務として、児童生徒性暴力等をした教育職員等に対し、懲戒の実施その他の児童生徒性暴力等の再発の
防止のために必要な措置を講ずるものとすることを規定している。
⚫ 教育職員等による児童への性暴力があったにも関わらず、懲戒処分を行わず、依願退職等により水面下で穏
便に済ませてしまうようなことは決してあってはならない。
(出典:文部科学省「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する基本的な指針」)
~保育所等の場合~
⚫ 児童生徒性暴力等を行った保育士の登録取消等については、保育士の従事先施設の種別や児童の年齢に
関わらず適用される。
(出典:東京都福祉局「都内の保育所等で保育士による児童生徒性暴力等が発生した場合の対応」)
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(97ページ)
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変更後 · 97ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
コラムコラム 懲戒処分の有効性と弁明の機会の付与
⚫ 使用者は、懲戒処分(制裁)の内容を就業規則に定め、労働者に周知することが義務付けられている。(労
働基準法第 89 条及び第 106 条)
➢ 使用者が制裁の定めをする場合には、その種類及び程度に関する事項を就業規則に定めなければならない。
➢ 使用者は、就業規則を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を労働者に交
付すること等の方法により、労働者に周知しなければならない。
⚫ 就業規則に定めのない事由による懲戒処分はできない。
➢ 最高裁判決(国鉄札幌運転区事件 最高裁第3小法廷判決昭和 54 年 10 月 30 日)において、使用
者は規則や指示・命令に違反する労働者に対しては、「規則の定めるところ」により懲戒処分をなし得ると述
べられている。
⚫ 懲戒事由に合理性がない場合、当該事由に基づいた懲戒処分は懲戒権の濫用と判断される場合がある。
➢ 労働契約法第 15 条:使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係
る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相
当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。
⚫ 懲戒処分の対象者に対しては、規律違反の程度に応じ、過去の同種事例における処分内容等を考慮して公正
な処分を行う必要がある。
➢ 裁判においては、使用者の行った懲戒処分が公正とは認められない場合には、当該懲戒処分について懲戒
権の濫用として無効であると判断したものもある。
⚫ 就業規則に懲戒規定を設ける前にした労働者の行為に対して、さかのぼって懲戒処分をすることや、1回の懲戒
事由に該当する行為に対し複数回の懲戒処分を行うことはできない。
⚫ 懲戒は、手続的な相当性を欠く場合にも、社会通念上相当なものと認められず懲戒権の濫用となる場合がある。
➢ 必要な手続は就業規則において、事前に明確化しておくことが望ましい。就業規則や労働協約上、組合との
協議や懲戒委員会の討議を経ることなどが必要とされる場合にはその手続を遵守することが必要と考えられる。
➢ また、そのような規定が何もない場合にも、特段の支障がない限り、本人に弁明の機会を与えることが必要と
考えられる。
<懲戒処分の検討等に当たって、労働関係法令との関係が問題になる場合等の相談先>
都道府県労働局、労働基準監督署、総合労働相談コーナー
<懲戒処分等に関する労使トラブルが生じた場合に活用可能な制度>
⚫ 総合労働相談コーナーでの相談対応
⚫ 都道府県労働局長による助言・指導
⚫ 紛争調整委員会によるあっせん
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(98ページ)
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変更後 · 98ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
コラム
(6)性暴力や不適切な行為の事実の有無を評価することが難しい場合の対応
行為が行われた事実があると評価することができない以上は、うわさなどによって、特定の従事者や児童等が不利益
を被らないよう、関係者の人権や尊厳、メンタルヘルスに十分配慮した対応が求められる。また、事実があると評価され
なかった行為等を理由として、懲罰的な対応を行うことはできない。
一方で、行為が行われた事実がないと評価することもできない以上は、事業者として、性暴力や不適切な行為の疑
いが生じたことは重く受け止め、従事者の人権への配慮の必要性を考慮しつつも、クラス決め、指導や介助の担当決
め等の際に考慮するなどにより、両者の接触を極力避けるなど、被害を申告した児童等の心身に十分配慮し、教育・
保育等の場がその児童等にとって安全・安心な居場所となるように事業運営を行うことが望ましい。また、そのような疑
いが再度生じないよう、後述のp99「再発防止策の検討・実行」に記載の内容も参考にしながら、適切な対応を検
討及び実施することが望ましい。
性暴力が発生した場合の事業者の対応例<事例紹介>
実際に、保育士による園児への性暴力が発生した保育所において、行われた対応や、有効と考えられる取組の
事例を紹介する。
本件はあくまで一例であり、事業者、加害者、被害園児、保護者の状況等により、有効な対応は異なり得ること
に留意することが重要である。
性暴力事案の概要
⚫ 被害園児の保護者からの連絡により、性暴力(不同意わいせつ)の疑いが発覚(複数児童に対する事
案)。
⚫ 加害者である保育士は、加害事実を認める。
⚫ 警察による取り調べが行われ、逮捕。その後、現場確認等が行われる。
⚫ 被害園児の特定を恐れる保護者と、保護者会を強硬に求める保護者とに二分される。
⚫ 本社責任者が全保護者を個別に面談、保護者全員を説得して保護者会を不開催にし、またそれぞれ考
える懸念について説明。
⚫ 性暴力事案は限られた範囲で知られるところとなったが、大きく報道されることなく、被害園児の特定につな
がるような状況は避けられた。
被害園児の保護者及び監督機関への迅速かつ継続的な連絡・報告
⚫ 性暴力の疑いについて保護者から連絡をもらったその日のうちに、本社責任者が、被害園児及びその保護者宅を
訪問し、保護者に詳細等を聴き取った。
⚫ 本社責任者が同日に監督機関である自治体の担当課に連絡・報告を行った。
⚫ 同日に顧問弁護士を本社に呼び、社長以下役員を中心に対策について議論を行った。
⚫ その後数日間連続して会議を開催し、自治体と警察に状況確認と対応策について相談、保護者へは説明と謝
罪を行った。
⚫ その後も、園児の保護者、自治体とは、状況の経過や対応方針について、頻繁に連絡を取り合った。
被害園児の保護者の不安・懸念の理解と、それに応じた対応
⚫ 初回の訪問時に、保護者の不安や懸念を聴き取り、理解した(被害園児の心のケア、他の保護者に被害が知
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(99ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 99ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
られた場合の二次被害、他の園児にも被害があった場合の対応、加害者による逆恨みへの懸念、今後の登園に
ついて等)。被害園児の保護者は、性暴力事案を誰にも知られたくないことを望み、その結果として保護者会不
開催を希望する方が多かった。
⚫ 加害者が加害事実を認めた後、そのまま責任者が加害者を警察まで帯同した(帯同のタイミングで保護者に警
察に連れて行く旨連絡し、同意を得た)。その際に重視したのは、新たな被害を防ぐことであるとともに、加害者が
目を離した隙に手元の証拠を削除するのではないかとの点、被害園児に接触して被害を秘密にするよう指示する
のではないかとの点である。仮に加害者が加害事実を認めなかった場合は、そのまま警察に通報することにより、証
拠隠滅の機会を防ぐことが重要となる。
⚫ 園児の保護者(被害園児の保護者に限らない)の不安・懸念に応じて、事業者による対応の方針を決定した。
特に被害園児のプライバシーの保護が大きな懸念点であったため、被害園児が特定された場合の当該園児の成
長に与える不利益を伝え、保護者会を開かず個別に保護者に説明を行ったこと、本事案がマスコミ等で報道され
ないように捜査機関、行政機関、相手方弁護士(被害園児の保護者弁護士)へ依頼すること等により尽力し
た。関係者との密なコミュニケーションと関係構築が重要となる。
被害範囲の確認・認定は警察が実施
⚫ 加害者のスマートフォンや PC は警察が押収。警察による現場検証と被害認定が行われた(保育所は、防犯カメ
ラ映像を警察に提出)。
⚫ 加害者のスマートフォン等にあった画像により、被害申告があった園児以外にも、被害園児がいたことが明らかにな
った。証拠がない限り、事業者が他に被害園児がいないかを確認することは非常に難しいと感じた。スマートフォン
等の画像により、被害が新たに発見された場合は、事業者を通じて被害園児の保護者に連絡した。その後の被
害園児の保護者とのやりとりは、事業者から連絡する場合、警察から連絡する場合のいずれもあった。そのタイミン
グ、論点での保護者の信頼が事業者に依拠するのか、警察に依拠するのかを見ながら、事態の進捗に応じてどち
らが保護者に話をするのか、事業者顧問弁護士と常に相談体制をとり対応した。
⚫ 被害園児の特定を警察が行ったことで、その後の全保護者への説明に大きく寄与した。
保護者への個別対応と、二次被害の抑止
⚫ 性暴力被害のうわさが拡散されれば、被害園児とその家庭が現住居に住み続けることができなくなる懸念があるた
め、この懸念を防止するために、被害園児が特定されることは絶対に避ける必要があった。
⚫ 警察には、被害園児の特定につながらないよう、加害者の名前が出ないよう依頼していたが、加害者の逮捕から
約一年後の裁判の判決後、新聞報道で加害者の名前だけ出てしまい、保育園が特定される動きが出てしまった。
この報道を踏まえ、被害園児以外の保護者からも保護者会の開催を求める声が出たが、開催した場合は被害
園児の保護者に心理的負担がかかってしまうほか、保護者会が紛糾し、マスコミへの通報など意図しない行動を
招きかねないと判断した。そのため、当該加害者の保育士が担任として受け持ったクラスの園児(過去の担当クラ
スも含む)の家庭 1 軒 1 軒に対して、本社責任者が被害や対応の状況(被害にあった園児や保護者の二次
被害を防ぐために情報を拡散しなかったこと、事件発覚当時、被害にあった園児の保護者には速やかに連絡をい
れており隠蔽をしているのではないこと等)を説明するとともに、被害園児を詮索しないこと(WEB 検索、SNS 投
稿を含む)、うわさを拡散しないこと等への協力を依頼した。
また、被害園児の特定を警察が行ったことで、「自分のこどもも被害にあっているのでは」という保護者の心配に
対して、少なくとも警察の捜査の中からはそのような証拠はなかったと断言できたことが、保護者による懸念が収束
に向かった大きな要因であった。さらに、性暴力事案に対する各家庭の課題認識は様々であり、それぞれに応じた
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(100ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 100ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
説明と対応を行うことで、結果的にこのような方法をとって良かったと感じている。
⚫ 仮に、警察による被害範囲の確認を行う前に、被害申告があった園児以外の保護者への説明又は保護者会を
実施した場合、「自分のこどもも被害にあっているのではないか」という不安が保護者に生じ、その問い合わせへの
対応に苦慮することが想定される。
⚫ 保育現場に負担をかけないため、また、複数の対応者による異なる情報の伝達を避けるため、保護者には、本事
案の対応担当者の直通携帯電話を伝え、連絡ルートを一本化し、本件についての問い合わせは園長ほか現場
の保育士には行わないよう依頼した。数十家庭の保護者に対応したが、複数の人で分担すると、異なる情報を
伝えてしまうリスクがあり、本社責任者が1人で対応した。
答えられることはすべて答えるので、気になることがあれば連絡してほしいと伝えた。
保護者への対応における留意点
⚫ 一部の保護者から何時間も罵倒されるようなことがあったが、保護者の怒りや悲しみの感情に寄り添いつつも、伝
えていいこと・伝えてはいけないことを予め整理し、感情移入せず、冷静に対応することが求められる。これは非常に
難しいことであり、顧問弁護士と緊密に相談しコンセンサスをとったうえで進めていた。
⚫ 被害を受けた保護者の考えは、揺れ動くことがある。当初、被害があったことは誰にも言わないでほしいと言ってい
たが、途中から会社が隠ぺいしている、マスコミに言うべきと言い始めることがあった。こどもを守ることが最優先である
ことを伝えるなど、怒りや悲しみにより揺れ動く保護者と、共通認識に立ち返りながら、話し合いを行うことが重要で
あった。
⚫ 裁判が進み、事実が明らかになる中で、保護者の精神状態が悪化し、1つ1つのコミュニケーションを円滑に行う
ことが難しくなる場面も生じた。
被害園児・保護者への対応・ケアは、専門家に依頼
⚫ 被害園児やその保護者に対してどのような心のケアを行うべきか、事業者には知見がなかった。また、そのような情
報がどこに掲載されているかも分からなかった。
⚫ 知己があった臨床心理士が、過去に性被害の対応経験が有していることが分かり、被害園児と保護者の対応や
ケアへの支援を依頼することができた。
具体的には、まず、被害園児の保護者に対し、心配なことに関する相談に乗ってもらった。被害が起きた後の1
年間は、定期的に臨床心理士に保育所へ来訪してもらい、現象面として被害園児がどういう行動があったら、どう
対応するか等について、被害園児に日常的に接している保育士達に指導してもらい、日ごろの様子や長期的に
見て状態の変化がないか確認してもらったほか、保護者からの心配なことがあれば、都度相談にのってもらった。
リスクマネジメント対応経験のある少数メンバーにより事案に対応
⚫ 園児への性暴力事案については、保護者への対応を含め、精神的な負担が非常に大きく、適切な対応を取るこ
とができる人材が担うことが望ましい。被害家庭やそれ以外の保護者に対して約束できること/できないこと、対応
できること/できないことの線引き等について、答えがない中で判断していく必要があった。
⚫ 本事案への対応においては、リスクマネジメント対応経験のある本社の責任者が、顧問弁護士と相談しながら、
被害が生じた保育所の園長と連携して、事案対応を行った。性暴力事案の対応は非常に過酷であり、園長をは
じめ、現場で日々保育に携わる者が中心となって対応するのは困難だと思われ、窓口を分けるべきと考える。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(101ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 101ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
(参考)既存のガイドライン等における通報等の記載
既存のガイドライン等において、自治体や警察への通報等が以下の通り記載されている。
学校の場合
⚫ 学校の設置者及びその設置する学校は、児童生徒等からの相談などにより、教育職員等による児童生徒性
暴力等の事実があると思われるときは、被害児童生徒等の負担に十分に配慮しつつ、学校、学校の設置者
等及び所轄警察署との間で情報共有を図り、迅速に事案に対処するとともに、被害児童生徒等やその保護
者に対して、必要な保護・支援を行う必要がある。
⚫ 所轄警察署に対する通報は、学校による児童生徒性暴力等の有無の確認の結果を待たずして行うことができ
ることに留意する必要がある。
(出典:文部科学省「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する基本的な指針」より抜粋)
保育所・幼稚園等の場合
⚫ 児童生徒性暴力等の中には、犯罪行為として取り扱われるべきと認められ、早期に警察に相談することが重
要なものや、児童の生命身体に重大な被害が生じるような、直ちに警察に通報することが必要なものが含まれ
ており、被害児童を徹底して守り通すという観点や被害児童に対してさらに重ねて累次の聴き取りを行うことを
避ける観点からも、任命権者等はためらうことなく所轄警察署と連携して対処することが必要である。なお、任
命権者等は、都道府県による児童生徒性暴力等の事実確認の結果を待たずに所轄警察署に通報すること
ができることに留意する必要がある。
(出典:こども家庭庁「保育士による児童生徒性暴力等の防止等に関する基本的な指針」)
⚫ 虐待等と疑われる事案を保育所等で発見した場合には、保育所等は状況を正確に把握するとともに市町村
や都道府県に設置されている相談窓口や担当部署に対して、把握した状況等を速やかに情報提供・相談
し、今後の対応について協議する必要がある。
(出典:こども家庭庁・文部科学省「保育所や幼稚園等における虐待の防止及び発生時の対応等に関す
るガイドライン」)
小規模住居型児童養育事業者、乳児院、母子生活支援施設、児童養護施設、障害児入所施設、児童心理
治療施設、児童自立支援施設、指定発達支援医療機関、一時保護施設等の場合
⚫ 被措置児童等虐待を受けたと思われるこどもを発見した者については、通告義務が課せられており、発見した
者は速やかに、通告受理機関(都道府県の設置する福祉事務所、児童相談所、都道府県(担当部
署)、都道府県児童福祉審議会等、市町村)へ通告しなければならない。
(出典:こども家庭庁「被措置児童等虐待対応ガイドライン」)
障害福祉サービス事業所等の場合
⚫ 障害者福祉施設従事者等による障害者虐待を受けたと思われる障害者を発見した者は、速やかに、市町村
に通報する義務がある。(障害者虐待防止法第 16 条)
⚫ 「障害者虐待を受けたと思われる障害者を発見した」場合とは、障害者福祉施設従事者等から明らかに虐待
を受けた場面を目撃した場合だけでなく、虐待を受けたのではないかと疑いを持った場合は、事実が確認できな
くても通報する義務があることを意味している。
⚫ 通報義務は、障害者虐待を受けたと思われる障害者を発見した者に対して、速やかな市町村への通報を義
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(102ページ)
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変更後 · 102ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
務付けているため、利用者の家族等施設の中で障害者虐待を発見した者や、同じ障害者福祉施設等の職
員が、市町村に直接通報することも想定されている。
⚫ 市町村に通報することなく、施設の中だけで事実確認を進め、事態を収束させてしまうと通報義務に反すること
となるため、必ず市町村に通報した上で行政と連携して対応を進める。また、内部的には法人の理事長に報
告し、必要に応じて臨時理事会の開催について検討する。
⚫ 管理者は、虐待を受けた障害者のためにも、障害者福祉施設等の支援の改善のためにも、行政が実施する
訪問調査等に協力し、潜在化していた虐待や不適切な対応を洗い出し、事実を明らかにすることが求められ
る。
(出典:厚生労働省・こども家庭庁「障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き」)
公務員の場合~告発の義務~
⚫ 犯罪があると思われるときは、刑事訴訟法の定めにより、告発をすることが求められる。
⚫ 特に、不同意わいせつ罪や不同意性交等罪等については非親告罪となっており、保護者による告訴がない場
合であっても、告発義務を免れるものではないことに留意が必要である。
⚫ 判断に迷うような事案については、警察と連携したり、弁護士に相談したりして、本来告発すべき事案が告発さ
れないことが生じないようにする必要がある。
(出典:文部科学省「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する基本的な指針」より抜粋)
7.再発防止策の検討・実行
児童等への性暴力被害や不適切な行為又はそれらの疑いが生じた場合、その要因を分析して、適切な再発防止
策を検討し、実行していくことは、事業者が引き続き、教育・保育に関する事業を適切に経営し続ける上で、重要と考
えられる。
その際、実際に生じた個別の事案のみを考慮して改善を図るのではなく、その背景にある要因や、施設・事業所の
組織・運営等における根本的な課題等を踏まえた上で、事業者全体としての改善を図ることが重要と考えられる。
再発防止策の検討は、性暴力や不適切な行為があったと評価できた場合だけでなく、性暴力や不適切な行為があ
ったと評価することが難しかった場合(事実の有無が評価できない場合)にも行うことが考えられる。
また、被害児童等の保護者へ、再発防止策を適切なタイミングで説明し、理解を得ることが重要と考えられる(他
の保護者に事案が知らされている場合には、当該保護者にも説明する)。
ア.再発防止策を検討する上での観点
事業者は、個別事案の原因を踏まえて再発防止策を検討するだけでなく、児童等への性暴力及び不適切な行為
の防止や早期発見に向けて、どのように組織文化や体制を改善していくことができるかという観点で再発防止策を検討
することで、真に性暴力が生じにくい、かつ生じたとしても早期に発見し、適切に対応できる組織づくり、専門家との連携
体制の構築につなげていくことができると考えられる。
例えば、本横断指針に記載されている取組を参考にしつつ、事業者において更に改善・実施できることはあるかとい
う観点で、再点検することが有効と考えられる。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(103ページ)
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変更後 · 103ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
①性暴力や不適切な行為があったと評価できた場合の検討事項例
⚫ 性暴力や不適切な行為が生じた要因の分析
⚫ 未然防止に向けて改善できること(例▶ レイアウト変更・防犯カメラ設置・不定期の巡回による死角の改善、
思考の誤り・こどもの人権・服務規律等の未然防止に資する研修内容や方法の改善、服務規律等のルールの
見直し)
⚫ 【早期発見ができなかった場合】早期発見に向けて改善できること(例▶ 被害児童等の異変の有無の振り
返り、児童等への教育・啓発内容の改善、早期発見に向けた従事者への研修内容の改善)
⚫ 【被害児童等への二次被害が生じた場合】二次被害防止に向けて改善できること(例▶ 二次被害防止に
向けた従事者への研修内容の改善、情報管理の改善)
②性暴力や不適切な行為があったと評価することが難しかった場合の検討事項例
⚫ 性暴力や不適切な行為の疑いが生じた要因と、そうした疑いを防止するために改善できること(例▶ 服務規
律等に関する研修内容の改善、服務規律等のルールの見直し)
⚫ 適切な事実の有無の評価が可能になるために改善できること(例▶ 防犯カメラの設置)
⚫ 【被害を申告した児童等への二次被害や、加害が疑われた者への不利益が生じた場合】 二次被害や加害
が疑われた者への不利益の防止に向けて改善できること(例▶ 二次被害等の防止に向けた従事者への研
修内容の改善、情報管理の改善)
なお、児童等への性暴力について、「誰の落ち度で防げなかったのか」という議論と、「どのようにすれば防げたのか、よ
り早期に発見することができたのか」という議論は混同されやすいが、別々に議論することが重要と考えられる。再発防
止策の検討に当たっては、個人の責任追及ではなく、客観的にどのようにすれば再発防止できるかを議論することが重
要と考えられる。
イ.再発防止策の検討体制
再発防止策の検討に当たっては、組織内のメンバーだけでなく、可能な限り、外部有識者(監督機関がある場合
は監督機関)の助言等を受けることが重要と考えられる。
また、被害児童等の保護者の意見を聞き、再発防止策を検討していくことも重要と考えられる。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(104ページ)
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変更後 · 104ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
8.関係機関との連携
児童等への性暴力防止対策の推進や、被害児童等の保護・支援に当たっては、より実効的な対応ができるよう、
事業者の管轄機関である自治体や教育委員会、業界団体等のみならず、警察、性暴力被害者支援機関、医療機
関などの関係機関、専門機関等との適切な連携が有効と考えられる。
関係者 連携内容の例
警察 ⚫ 従事者による児童等への犯罪が明らかである、または疑いがある場合には、速やかに、警察
に通報する。
⚫ 警察に通報するか判断に迷う場合には、そうした状況にあることを含め、今後の対応につい
て所轄警察署と相談する。
⚫ 教育・保育等を提供する児童等に関し、インターネット上への性的な誹謗中傷や興味本位
の書き込み・画像等を確認した場合には、むやみに削除依頼せず早期に警察に相談する。
⚫ 事件として取り扱わない場合でも、事業者での安全確保や再発防止に向けた指導助言、
相談・支援を受けることが可能である。
性暴力被害者
支援機関
⚫ 性暴力被害者支援機関(性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター、犯
罪被害者等早期援助団体等)では、研修を受けた相談員・支援員が、相談を受けなが
ら必要な情報や支援を提供している。
⚫ 被害児童等やその保護者の心理的負担を軽減する上で、当該機関の協力を得ることは
有効と考えられる(性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターは、被害児童
等への直接的な支援を対象としており、事業者等については相談支援の対象とならないこと
に留意する)。
⚫ 性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターは、警察等への同行支援や、性
暴力被害者支援に知見がある医療機関や弁護士への同行支援・紹介など、様々な支援
を提供している。
ワンストップ支援センターで受けられる支援内容の詳細は、各都道府県に設置されている各
ワンストップ支援センターの HP を参照すること。
⚫ 教育・保育等を提供する事業者による支援は、児童等の在籍期間内で修了するという制
約があるため、性暴力が生じた場合は、初期段階から性暴力被害者支援機関のサポート
を得ることが有効な場合がある。
性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター 一覧
https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/seibouryoku/consult.html
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(105ページ)
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変更後 · 105ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
関係者 連携内容の例
医療機関 ⚫ 児童等から不同意性交等の被害の訴えがあった場合は、72 時間以内に緊急避妊薬を服
用する必要があるため、直ちに医療機関(産婦人科等)に連絡する(深夜の場合は、
医療機関や性暴力被害者支援機関の夜間対応窓口等に連絡する)。
⚫ 性暴力被害においては、被害児童等の不安が高まったり、ASD(急性ストレス障害)や
PTSD(心的外傷後ストレス障害)が生じたりすることも予想されるため、症状の低減等を
目指して初期段階で適切な心のケアを行うことが求められることもあり、早期もしくは希望時
や必要時に専門家(精神科医、 公認心理師等)へ相談することが重要と考えられる。
⚫ 心身に傷を負った性暴力被害者に適切なケアを提供するための訓練を受けた、看護師・助
産師・保健師(SANE)が配置されている医療機関もある。
⚫ 性暴力被害に理解がある医療機関については、警察や性暴力被害者支援機関等から紹
介してもらうことが有効と考えられる。
弁護士 ⚫ 被害児童等は人権侵害を受けており、今後も二次被害を受ける可能性もある。被害児童
等の権利を守るため、早期に弁護士のサポートを求めることも有効と考えられる。
臨床心理士会
公認心理師会
等
⚫ 「一般社団法人 日本臨床心理士会」では、条件に合う臨床心理士を検索するサービス
を提供している。 https://jsccp.jp/near/
⚫ 各都道府県の臨床心理士会、公認心理師会の中には、臨床心理士や公認心理師への
相談が可能な団体がある(助言、心理職の派遣調整を行っている団体もある)。
児童相談所 ⚫ 児童相談所は、家庭からの養育相談等に対応するとともに、専門性を要する事例や養育
上のリスクが高い事例の対応、児童虐待への対応を行う行政機関である。
⚫ 児童相談所では、保護者や事業者からの任意の性暴力相談を受け付けている。
⚫ 児童虐待防止法は、保護者がその監護する児童にわいせつな行為をすること又は児童をし
てわいせつな行為をさせること(性的虐待)を児童虐待の一つとして定義している。性的
虐待は、速やかに事実確認、事前の安全確保をすることが必要であり、児童虐待防止法
に規定する性的虐待に該当する場合、主たる対応は児童相談所が行う。
⚫ 性的虐待を含め児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、児童相談
所や市町村に通告する義務がある。
❖ 学校の場合:スクールカウンセラー/スクールソーシャルワーカーとの連携
⚫ スクールカウンセラーは、カウンセリング等を通じて、児童等の悩みや抱えている問題の解決を支援する心理の専
門家(公認心理師や臨床心理士といった有資格者を想定)であり、学校・教育委員会等に配置されている。
⚫ 学校における被害児童等への対応・支援において、心理的な知見から事案全体を見立て、被害児童等の心
理状態に配慮したきめ細やかな対応策等を助言したり、カウンセリングを行ったりする役割を担う。
⚫ スクールソーシャルワーカーは、福祉や医療などにおける支援が必要な児童等やその保護者を支援する福祉の
専門家(社会福祉士や精神保健福祉士といった有資格者を想定)であり、学校・教育委員会等に配置さ
れている。
⚫ 学校における被害児童等への対応・支援において、福祉的な知見から事案全体を見立て、関係機関とのネッ
トワークの構築や連携・調整、地域の社会資源(制度やサービス等)に関する情報提供または紹介、ケース
会議開催等の支援体制作りといった「つなぐ支援」を行う。
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(106ページ)
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変更後 · 106ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
コラムコラム 児童等の間の性暴力
「力の差」を背景に行われる児童間の性暴力
⚫ 教育・保育等の場において、児童に性暴力を振るう加害者は、従事者ばかりではない。被害者
と年齢の近い児童が加害をする場合もある。
⚫ 児童間の性暴力は、年齢差や体格差など、加害者と被害者の間に発達や力の差があることが多い。また、同じ年
齢であっても、性差や学級内での地位の差など、子どもなりの力の差が存在する。
⚫ 児童間であっても、被害者が嫌だけれども断れない、逃げられない、応じざるを得ない等の状況や立場に置かれて
いる場合には、それは性的遊びではなく、性暴力となる。
⚫ 性暴力がいじめの手段として使われることがある。二人きりの場面に限らず、集団で性暴力がふるわれることもある
(学校における児童間の性暴力はいじめの対象となるため、「いじめ防止対策推進法」に基づいた対応が必要に
なる)。
事業者による児童間の性暴力への対応・支援
⚫ 児童間の性暴力が生じた際に教育・保育等を提供する事業者は、「加害・被害児童が同じ施設・事業所に在籍
し、その管理下で起こった性暴力加害・被害に対応する」という、困難な場面に直面することになる。
⚫ その際の関係者への対応・支援においては、「従事者から児童に対する性暴力」を対象とする本横断指針が示す
内容に加えて、加害児童及びその保護者への対応を進めることが求められる。
⚫ 学校で起こった児童間の性暴力への対応・支援に関する手引きとして、次のような資料が公表されている。
➢ NPO 法人性暴力被害者支援センター・ひょうご「学校で性暴力被害がおこったら 危機対応手引き」
➢ 三重県「学校における児童生徒間の性暴力 対応支援ハンドブック」
(出典:藤森和美・野坂祐子編「子どもへの性暴力 その理解と支援」、NPO 法人性暴力被害者支援センター・ひ
ょうご「学校で性暴力被害がおこったら 危機対応手引き」を参考に、一部追記)
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(107ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 107ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
【参考文献】
◼ こども家庭庁「こども性暴力防止法(学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の
防止等のための措置に関する法律)」Web サイト
https://www.cfa.go.jp/policies/child-safety/efforts/koseibouhou
◼ こども家庭庁「こども性暴力防止法施行ガイドライン」
◼ 外務省国際協力局民間援助連携室「子どもと若者のセーフガーディング最低基準のためのガイド」
◼ 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課地域生活・発達障害者支援室、こども家庭庁支援局
障害児支援課「市町村・都道府県における障害者虐待の防止と対応の手引き」
◼ 厚生労働省・こども家庭庁「障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き」
◼ こども家庭庁支援局虐待防止対策課・家庭福祉課・障害児支援課「被措置児童等虐待対応ガイドライン」
◼ こども家庭庁・文部科学省「保育所や幼稚園等における虐待の防止及び発生時の対応等に関するガイドライン」
◼ こども家庭庁成育局「保育士による児童生徒性暴力等の防止等に関する基本的な指針」
◼ こども家庭庁「すべてのこども・おとなに知ってほしい こども基本法とは?」
◼ 内閣府男女共同参画局「若年層における性的な暴力に係る相談・支援の在り方に関する調査研究事業 報
告書」
◼ 内閣府・こども家庭庁「こどもたちのためにできること~性被害を受けたこどもの理解と支援~」(リーフレット)
◼ 文部科学大臣決定「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する基本的な指針」
◼ 文部科学省「生命(いのち)の安全教育」Web サイト
https://www.mext.go.jp/a_menu/danjo/anzen/index2.html
◼ 文部科学省「性犯罪・性暴力対策の強化について」
https://www.mext.go.jp/a_menu/danjo/anzen/index.html
◼ 岡山県教育委員会「不祥事防止のためのチェックリスト」
◼ 京都府教育委員会「教職員による性暴力等の根絶に向けて -信頼される教職員であるために-」
◼ 埼玉県教育委員会「不祥事根絶アクションプログラム」
◼ 東京都教育委員会「教職員等による児童生徒性暴力等が発生した場合の初動対応」
◼ 東京都福祉局「都内の保育所等で保育士による児童生徒性暴力等が発生した場合の対応」
◼ 富山県犯罪被害者等支援協議会「教職員向け性暴力被害対応マニュアル」
◼ 福島県教育委員会「信頼される学校づくりを職場の力で【令和6年4月 改訂版】」
◼ 三重県「学校における児童生徒間の性暴力 対応支援ハンドブック」
◼ 板橋区教育委員会「子どもへの性暴力等防止ガイドライン ~わいせつ行為の根絶に向けて~」
◼ 札幌市児童等に関する重大事態調査検討委員会「札幌市立中学校における重大事態調査報告書【公表
版】」
◼ 千葉市教育委員会 子どもへの性暴力防止対策検討会「子どもへの性暴力防止対策について-提言-」
◼ NPO 法人性暴力被害者支援センター・ひょうご「学校で性暴力がおこったら~被害・加害児が同じ学校に在籍し
ている場合の危機対応手引き~」
◼ 奈良県性暴力被害者サポートセンターNARA ハート「学校でおこった性暴力被害の初期対応手引き」
◼ 子どもの性の健康研究会「子どもをささえるためにできること~性暴力被害にあった子どもの回復のために~」(リー
フレット)
◼ 全国保育士会「『子どもへの性暴力防止』の視点から考える保育の専門性」
教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(108ページ)
変更前新しく確認した内容です。
変更後 · 108ページ第5章 相談・報告等を踏まえた対応
◼ 公益社団法人全国保育サービス協会「ベビーシッターサービス提供中のウェブカメラ等の設置及び運用に係るガイ
ドライン」
◼ 公共財団法人全国学習塾協会「学習塾に通う子どもの安全確保ガイドライン 第2版」
◼ 株式会社リベルタス・コンサルティング(内閣府委託調査)「若年層の性暴力被害の実態に関するオンラインアン
ケート及びヒアリング結果 報告書」
◼ 福井裕輝「子どもへの性暴力は防げる!―加害者治療から見えた真実」,時事通信社
◼ 藤森和美・野坂祐子編「子どもへの性暴力 第2版 その理解と支援」,誠信書房
◼ 櫻井鼓「だれにも言っちゃだめだよ」に従ってしまう子どもたち」,WAVE 出版
◼ 小木曽宏編「児童福祉施設における性的問題対応ハンドブック」,生活書院