公表資料の確認:諸外国における妊娠を他者に知られたくない女性の出産等に関する調査研究報告書
掲載 更新【解析1】公表資料の確認:諸外国における妊娠を他者に知られたくない女性の出産等に関する調査研究報告書 公表資料の初回確認です。令和8年3月の調査研究報告書で、諸外国の内密出産・匿名出産・保護出産などの制度、出自を知る権利、人工妊娠中絶、養子縁組、母子支援の状況を整理しています。未施行の制度説明を含む可能性があるため、原文全体の確認が必要です。 【解析2】諸外国における匿名出産・出自を知る権利・中絶制度に関する調査研究報告書の追加 公表資料の確認です。フランスに関する調査研究報告書の該当ページが新規に追加されています。未施行の法改正を示すものではなく、制度の整理・紹介を含む報告書の追補として扱います。 【解析3】諸外国の妊娠時秘匿出産と母子保護に関する調査研究報告書の初回確認 公表資料の確認です。フランスと韓国の養子縁組、妊娠・出産支援、保護出産、出自を知る権利、人工妊娠中絶に関する制度や運用がまとめられています。未施行の制度や将来予定の記述も含まれているため、現時点で日本の現場に直結する変更と断定せず、原文全体の確認が必要です。 【解析4】諸外国における妊娠を他者に知られたくない女性が出産する場合の法・制度及び母子の権利保護に関する調査研究報告書の公表資料確認 こども家庭庁の調査研究報告書の初回取得です。未施行・施行の断定はせず、韓国の危機妊娠保護出産法の条文紹介と、アメリカの乳児避難所法や出自を知る権利、人工妊娠中絶、養子縁組の制度整理が含まれています。 【解析5】諸外国の妊娠秘匿・内密出産等に関する調査研究報告書の初回確認 こども家庭庁の調査研究報告書の初回公表資料を確認した内容です。アメリカ、イギリスなど各国の妊娠・出産支援、内密出産、匿名出産、養子縁組、出自を知る権利に関する制度や運用の整理が掲載されています。未施行の法改正や施行済み制度と断定せず、公表資料の記載内容として把握してください。
これは初回取得時に確認した公式資料の要約です。制度変更のお知らせではありません。
AI要約
【解析1】この資料は各国制度の調査結果をまとめた公表資料です。現場では、国内制度の変更通知として直ちに扱わず、比較対象として参照する位置づけかを確認してください。未施行の記述や各国の制度説明を含むため、義務の新設や運用変更をこの抜粋だけで断定しないでください。 【解析2】匿名出産、出自を知る権利、養子縁組、中絶に関する制度説明が追加されています。現場では、具体的な運用や支援の根拠として使う前に、原文全体と参照先を確認してください。部分差分のため、義務の新設や削除は断定できません。 【解析3】各国の制度運用の整理であり、直ちに日本の義務変更を示すものではありません。未施行の制度や将来予定の記述が含まれるため、実務で参照する際は原文全体を確認してください。 【解析4】制度の新設・改廃を断定できる差分ではありません。原文全体を確認し、各国制度の比較整理として読む必要があります。現場では、内密出産・保護出産・乳児保護に関する説明資料の参照先を確認してください。 【解析5】制度比較や運用整理を扱う報告書の初回確認です。現場では、各国制度の比較記述として参照し、未施行・運用中の別や制度の確定的な適用を公表資料で確認してください。原文全体の確認が必要なため、個別の支援対象や手続の詳細は本文で再確認してください。
資料の取得種別:初回取得
対象となる施設・事業
- 児童相談所
- 自治体
- その他
- 里親
- 児童養護施設
- 民間教育事業
- 母子生活支援施設
公式資料で確認すること
- 資料の位置づけが調査研究報告書であることを確認する。
- 国内の実務運用への直結情報か、比較資料かを区別して扱う。
- 未施行を含む記述があるため、制度の適用可否は原文全体で確認する。
- 報告書全体で、匿名出産に関する制度説明と出自を知る権利の整理箇所を確認する。
- 養子縁組、児童の保護、相談支援、情報保管の流れを原文で確認する。
- 実務への適用可否は、引用元の法令・指示書・ヒアリング記載を含めて確認する。
- 報告書全体で、各国の制度整理と未施行・施行済みの区別を確認する。
- 保護出産、養子縁組、出自を知る権利に関する記述は、国ごとの制度差として読み分ける。
- 現場で制度説明や相談対応に用いる場合は、原文の該当箇所を確認してから整理する。
- 制度変更として断定せず、公表資料の確認として扱うこと
- 韓国の危機妊娠保護出産法の条文紹介である点を確認すること
- アメリカの乳児避難所法は州差が大きい整理である点を確認すること
- 出自を知る権利や人工妊娠中絶に関する記述は比較研究の説明として読むこと
- 報告書の該当章を確認し、各国制度の比較として参照する
- 未施行の記述と運用中の記述を区別して整理する
- 養子縁組や出自を知る権利に関する記述は本文で再確認する
要約の根拠
諸外国における 妊娠を他者に知られたくない女性が 出産する場合の法・制度及び 母子の権利保護の在り方に関する 調査研究 報告書 令和8年3月 目次
取得後 · 諸外国における妊娠を他者に知られたくない女性が出産する場合の法・制度及び母子の権利保護の在り方に関する調査研究報告書(令和7年度調査研究)(PDF/5.4MB)(1ページ) · 1ページ
第1章 調査研究の概要 1-1 目的 諸外国においては、妊娠を他者に知られたくない女性の出産等に関する法・制度が存在 しており、近年では、韓国において新たに法制化が行われたところである。 現在、我が国においては、そうした諸外国の制度に対応する制度は存在しないものの、 予期せぬ妊娠等により、妊娠を他者に知られたくないと考える女性への対応について様々 な議論がある中で、諸外国における法・制度の体系や、母子に対する処遇や支援、出自を 知る権利の保障等の状況を調査し、比較検討することは有用であると考えられる。 本調査研究では、諸外国における妊娠を他者に知られたくない女性に対する法・制度の 内容を把握するとともに、各国において、母子の権利がどのように保護されているのかに ついて調査を行い、今後の我が国における支援体制を検討するための基礎資料とすること を目的とする。
取得後 · 諸外国における妊娠を他者に知られたくない女性が出産する場合の法・制度及び母子の権利保護の在り方に関する調査研究報告書(令和7年度調査研究)(PDF/5.4MB)(5ページ) · 5ページ
本調査研究では、以下の調査方法によって、ドイツ、フランス、韓国、アメリカ、イギ リス3における妊娠を他者に知られたくない女性の出産等に関する法・制度、一般的な妊 娠・出産に関する法制度、妊娠を他者に知られたくない女性より生まれたこどもの出自を 知る権利、人工妊娠中絶に関する法制度、養子縁組に関する法制度および養子の出自を知 る権利について調査した。 1-2 調査対象・時点 本調査研究の対象は、ドイツ、フランス、韓国、アメリカ、イギリスの計5か国におけ る、妊娠を他者に知られたくない女性を対象とする法制度、その成立背景、および一般的 な妊娠・出産に関する法制度、人工妊娠中絶に関する法制度、養子縁組に関する法制度で ある。 なお、記載は断りがない限り 2026 年3月時点のものである。
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(3)法に基づく施策・法制度に位置付けのない取組 諸外国における妊娠を他者に知られたくない女性を対象とした取組の中には、ドイツの 内密出産制度やフランスの匿名出産制度、韓国の保護出産制度、アメリカの乳児避難所法 に基づく乳児引渡しのように、法令を根拠とする取組もあれば、韓国のベビーボックス、 ドイツのベビークラッペのように、法令に基づかずに、民間で実施されている取組もあ る。本調査研究は、法に基づく施策(個人の権利義務を定める法、命令、法令に基づき実 施される取組)を主に調査対象とした。 (4)断絶型/非断絶型養子縁組 本調査研究で調査項目とした養子縁組については、大きく断絶型/非断絶型養子縁組と いう違いがある。 断絶型養子縁組とは、実親との法的な親子関係を終了させる養子縁組である。
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■出自を知る権利の保障に係る条約■ 国際連合「児童の権利に関する条約」第7条 1.児童は、出生の後直ちに登録される。児童は、出生の時から氏名を有する権利及び国籍を取 得する権利を有するものとし、また、できる限りその父母を知りかつその父母によって養育さ れる権利を有する。 2.締約国は、特に児童が無国籍となる場合を含めて、国内法及びこの分野における関連する国 際文書に基づく自国の義務に従い、1の権利の実現を確保する。 同条第1項における「できる限りその父母を知り・・・権利を有する」の部分が出自を 知る権利と呼ばれる。この権利は、一般的な家庭で生まれ育ったこどもだけでなく、断絶 型養子縁組で養子となり実親との関係が終了したこども、生殖補助医療で生まれたこども など、全てのこどもが有するものと考えられていることから、本調査研究では、各制度に おける保障の在り方を比較している。
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そのほか、いわゆる「内密出産」「匿名出産」、「医療機関等での匿名の児童の受入れ」 を各国の比較のため制度の総称として用いている。これらの定義は以下のとおりである。 用語 定義 妊娠を他者に知られたくない女性/ 予期せぬ妊娠をした女性 家族・知人、行政、医療機関等、様々な他者に妊娠を 知られたくないという思いから、出産時や出産後の 意思決定に当たり、特に大きな困難に直面している 女性。 児童の手放し/引渡し/保護 等 生まれた児童の養育をしないこととする意図をもっ て、誰かに分かる状態で、または誰にも知られずに、 児童を手放すこと。 法に基づく施策 個人の権利義務を定める法、命令、法令に基づき実 施される取組。 法制度に位置づけのない取組 民間支援団体や教会で実施されているものなど、法 に基づく施策以外の仕組み。
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断絶型養子縁組 実親と養子の親族関係が切断されるものであり、我 が国における特別養子縁組に相当するもの。 非断絶型養子縁組 実親と養子の親族関係が維持されるものであり、我 が国における普通養子縁組に相当するもの。 出自を知る権利 国際連合「児童の権利に関する条約」第7条第1項に 定められる、児童が実の父母を知る権利。 内密出産 妊婦がその身元情報を医療機関等の一部の者のみに 明らかにして出産することを保障する出産制度。 匿名出産 妊婦がその身元情報を全く明らかにせず医療機関に おいて出産することを保障する法制度。
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用語 定義 医療機関等での匿名の児童の受入れ 出産した児童を自ら育てられない母等に対し医療機 関等において匿名で児童を受け入れる仕組み(いわ ゆる「赤ちゃんポスト」)。 1-4 調査の手法 本調査研究は、(1)文献に基づく法制度の調査(2)行政当局等へのヒアリング調 査、の2つの調査によって構成される。
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(2)行政当局等へのヒアリング調査 (1)を踏まえ、政府の現状認識や実務面の情報等、文献からは調査が困難な内容につ いては、必要に応じて当該法制度を所管する行政当局や支援団体等に対し、WEB 会議ツー ル(Microsoft Teams)を用いたヒアリング、またはメールによる照会を実施した。 調査対象機関及び回答有識者は、以下のとおりである。 【ドイツ】(現地協力者:現地コーディネーター 杉山てる子) 回答機関名 回答機関の概要 ドイツ連邦家族・高齢 者・婦人・青少年省 (Bundesminister ium für Bildung, Familie, Senioren, Frauen und Jugend) (BMBFSFJ) ドイツの教育・福祉・家族・女性平等に関する行政機関。
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ドイツの内密出産を管轄し、傘下の連邦家庭・市民社会任務庁 (Bundesamt für Familie und zivilgesellschaftliche Aufgaben)(BAFzA)において内密出産により生まれた児童の 出生情報を保管する。
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【フランス】(現地協力者:Fujisankei Communications International, Inc.) 回答機関・団体名 回答機関・団体の概要 社会結束総局 (La direction générale de la cohésion sociale)(DGCS) フランスの連帯・保健省の傘下機関。 フランスにおける高齢者・障害者の自立支援、女性の権利、児童 とその家族、弱者の保護等の公共連帯政策を設計および管理す る。 フランスの保護出産に関する事業を管轄する。 AGE-M.O.I.S.E パリ市において、匿名出産の利用を希望する女性に対し、匿名出 産制度に関する説明を実施し、女性の相談に応じるアソシエーシ ョン(民間団体)。
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匿名出産で生まれた 人々の団体 (Collectif des nés sous) フランスの匿名出産制度において生まれた人物による、匿名出産 制度に反対する活動団体。 フランスの匿名出産に反対し、同団体が提案する「慎重な出産 (dans la discrétion)」へ移行することを訴求している。 【韓国】(現地協力者:sai international) 回答機関名 回答機関の概要 児童権利保障院 (아동권리보장원) 韓国の保健福祉部傘下の行政機関。 児童政策および児童福祉関連事業を総合的・効率的に遂行し、児 童の権利を保障することにより、児童の生活の質の向上に寄与す る目的で、2019年7月に設立された。 保護出産の支援・出自情報の管理のほか、養子縁組や児童虐待等 の児童の福祉に関する政策の実施・分析を行う。
取得後 · 諸外国における妊娠を他者に知られたくない女性が出産する場合の法・制度及び母子の権利保護の在り方に関する調査研究報告書(令和7年度調査研究)(PDF/5.4MB)(10ページ) · 10ページ
【アメリカ】(現地協力者:Fujisankei Communications International, Inc.) 回答機関名 回答機関の概要 ニュージャージー州 児童家庭局 (New Jersey Department of Children and Families)(NJ DCF) ニュージャージー州において、乳児避難所法をはじめ困難な状況 にある児童・家族への支援を提供する行政機関。 ニュージャージー州はドブス対ジャクソン女性保健機構判決以 降、乳児避難所法を改正し、医療機関での出産後、児童をそのま ま州に引き渡すことができるようにした。 アイダホ州保健福祉 局(Idaho's Department of Health and Welfare)(Idaho's DHW) アイダホ州において、健康、児童の安全・安定した家庭の実現のた めの支援を提供する行政機関。
取得後 · 諸外国における妊娠を他者に知られたくない女性が出産する場合の法・制度及び母子の権利保護の在り方に関する調査研究報告書(令和7年度調査研究)(PDF/5.4MB)(10ページ) · 10ページ
アイダホ州は乳児避難所法において、医療機関に対し、出産後そ のまま児童を州に引き渡すことを認めている。
取得後 · 諸外国における妊娠を他者に知られたくない女性が出産する場合の法・制度及び母子の権利保護の在り方に関する調査研究報告書(令和7年度調査研究)(PDF/5.4MB)(10ページ) · 10ページ
【イギリス】(現地協力者:Fujisankei Communications International, Inc.) 回答機関名 回答機関の概要 養子縁組あっせん団 体 Adoption England イングランドの養子縁組あっせんに関する中央機関として、地域 養子縁組あっせん機関と連携し、養子縁組世帯の関係構築等を 支援する行政機関。 Marie Stopes International 人工妊娠中絶支援運動と人工妊娠中絶を主とした医療機関の運 営を行う活動団体。政治家の勉強会にも登壇する等、政界とのつ ながりを持つ。 (人工妊娠中絶の改正についてメールで問合せを行った。
取得後 · 諸外国における妊娠を他者に知られたくない女性が出産する場合の法・制度及び母子の権利保護の在り方に関する調査研究報告書(令和7年度調査研究)(PDF/5.4MB)(11ページ) · 11ページ
第2章 ドイツ 2-1 妊娠を他者に知られたくない女性が出産する場合の法・制度 2-1-1 ドイツにおける一般的な妊娠・出産および内密出産等の法制度の概要 ドイツにおける一般的な妊娠・出産制度の概要および内密出産・人工妊娠中絶等に関す る法制度の状況は以下のとおりである。 (1)法制度一覧 ■出産・内密出産・人工妊娠中絶等に関する法制度の概要■ 法制度の状況 妊娠・出産に関する 法制度・支援体制 法制度 ・社会法典第 5 編に基づき、公的医療保険(GKV) が適用される医療機関であれば無料で妊娠・出産 に関する医療が利用できる。 外国人対象 の有無 ・ドイツで働く外国人および配偶者、ドイツへの留学 生は対象となる。 その他 支援体制 ・出産手当、母親手当、両親手当、児童手当等の多数 の支援金制度がある。
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・Pro Familia 等の政府から委託された公的支援 団体による無料相談やベビーベッド等の購入費用 補助がある。 内密出産の法制度 (妊婦がその身元情報を医 療機関等の一部の者のみ に明らかにして出産するこ とを保障する法制度) ・あり (「妊婦支援の拡大及び内密出産の規律のための法律(略称:内密 出産法)」において保障される) 匿名出産の法制度 (妊婦がその身元情報を全 く明らかにせず医療機関に おいて出産することを保障 する法制度) ・なし (民間による実施あり) 医療機関等での匿名の児 童の受入れに関する法制 度 ・なし (民間で匿名の児童引渡し、ベビークラッペの実施あり) 人工妊娠中絶に関する法 制度 ・原則違法 ・妊娠葛藤法において、妊娠 12 週以内に「妊娠相談所」の相談員 に人工妊娠中絶について相談し、3日間の考慮期間をもって検討 した上であれば合法とされている。
取得後 · 諸外国における妊娠を他者に知られたくない女性が出産する場合の法・制度及び母子の権利保護の在り方に関する調査研究報告書(令和7年度調査研究)(PDF/5.4MB)(12ページ) · 12ページ
なお、ドイツでは、妊娠中の検査・診察は産婦人科が行い、出産は総合病院の分娩室ま たは助産院、自宅出産等を利用するといった、妊娠中と出産時では利用する医療機関が異 なる仕組みとなっている。また、医療機関とは別にかかりつけになる助産師を依頼する必 要がある。 内密出産等については、厚生労働省の先行調査において記載しているとおり、内密出産 に関する法律である「妊婦支援の拡大及び内密出産の規律のための法律(以下「内密出産 法」という。)(Gesetz zum Ausbau der Hilfen für Schwangere und zur Regelung der v ertraulichen Geburt:SchwHiAusbauG)」が 2013 年に成立し、2014 年より施行されてい る。なお、内密出産法は妊娠葛藤法を改正する形で施行され、妊娠相談所は内密出産制度 にも大きく関わっている。
取得後 · 諸外国における妊娠を他者に知られたくない女性が出産する場合の法・制度及び母子の権利保護の在り方に関する調査研究報告書(令和7年度調査研究)(PDF/5.4MB)(13ページ) · 13ページ
内密出産制度を利用する場合には妊娠相談所において内密出産 に関する相談をする必要がある。 イ.人工妊娠中絶 ドイツでは人工妊娠中絶に関する法律である「妊娠の葛藤状態の回避及び克服のための 法律(以下「妊娠葛藤法」という。)(Gesetz zur Vermeidung und Bewältigung von Schw angerscha-ftskonflikten:SchKG)」が 1992 年7月に成立し、同年8月より施行されてい る。 冷戦後から東西統一までの間、旧西独は人工妊娠中絶を違法とし、旧東独では妊娠初期 は女性の意思で人工妊娠中絶が可能であった。
取得後 · 諸外国における妊娠を他者に知られたくない女性が出産する場合の法・制度及び母子の権利保護の在り方に関する調査研究報告書(令和7年度調査研究)(PDF/5.4MB)(13ページ) · 13ページ
統一後、ドイツ連邦は人工妊娠中絶を違法 としたが、旧東西の中間となる法の制定を目指して、女性が「妊娠相談所(Schwangersch aftsberatungsstelle または Schwangerschaftskonfliktberatungsstelle)」において「妊 娠葛藤相談」を受けることで人工妊娠中絶の手術を可能とする妊娠葛藤法を定めた。67 妊娠葛藤法において、妊娠相談所は「住民4万人に1人以上の相談員を配置」8すること が定められており、国の委託によって自治体・民間非営利団体等が運営している。2023 年 時点では官民併せて 1,600 か所以上設置されている。 人工妊娠中絶を希望する女性は、妊娠 12 週以内に妊娠相談所の専門の相談員に相談 し、3日間の考慮期間をもって検討した上であれば人工妊娠中絶手術が可能である。
取得後 · 諸外国における妊娠を他者に知られたくない女性が出産する場合の法・制度及び母子の権利保護の在り方に関する調査研究報告書(令和7年度調査研究)(PDF/5.4MB)(13ページ) · 13ページ
ウ.養子縁組 ドイツでは 1976 年のドイツ民法典(BGB)改正により、未成年養子縁組は断絶型(特別 養子縁組)のみ採用しているが、こどもの保護を目的とした養子縁組は件数が少ない9。 2-1-2 ドイツにおける危機妊娠保護出産法制定の経緯等 (1)内密出産法の成り立ち 1999 年以降、「緊急下の女性(Frauen in Not)」と呼ばれる予期せぬ妊娠・出産をした 女性による新生児の殺害や遺棄を防ぐために、宗教団体や民間教育団体によって、女性が 匿名で利用することができる以下の取組が展開された。
取得後 · 諸外国における妊娠を他者に知られたくない女性が出産する場合の法・制度及び母子の権利保護の在り方に関する調査研究報告書(令和7年度調査研究)(PDF/5.4MB)(14ページ) · 14ページ
内密出産法はこれらの議論を受け、緊急下の女性とこどもを法的に保障しつつ、母体と こどもの安全を確保するとともに、こどもの「出自を知る権利」を保障することを目指し 制定されたものである。 9 “Nach historischem Tiefstand: Zahl der Adoptionen steigt im Jahr 2024 um 1,7 %”, Statistisches Bundesamt (Destatis), 2025 年7月4日, https://www.destatis. de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2025/07/PD25_243_22.html 10 柏木 恭典,「(連載)赤ちゃんポストのいま:第一回 なぜ、赤ちゃんポストは作られた のか」,児童心理,2018 年 11 月号,P.119-125 11 トビアス・バウアー,「ベビークラ
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(2)議会における内密出産法の審議時の状況 ドイツではドイツ連邦議会(下院)議員・連邦参議院(上院)議員・連邦政府が立法権 を持つ12。 内密出産法は、2013 年3月 22 日、議員立法として、当時の与党であるドイツキリスト 教民主同盟・バイエルン・キリスト教社会同盟の統一会派(CDU/CSU)および連立政党で あった自由民主党(FDP)の連邦議会派より法案が提出された13。その約1か月後の 2013 年4月 15 日、国家規制監視委員会(Nationaler Normenkontrollrat(NKR))14による行 政・経済への負担(時間・費用)の計算を含んだ政府案が提出された。なお、この際は条 文案そのものの修正はしておらず、議員案のままであった151617。
取得後 · 諸外国における妊娠を他者に知られたくない女性が出産する場合の法・制度及び母子の権利保護の在り方に関する調査研究報告書(令和7年度調査研究)(PDF/5.4MB)(15ページ) · 15ページ
■議員案と委員会修正案の違い■ 議員案 「家族、高齢者、女性および青少年委員会」 による修正案 第7条 妊娠葛藤法の改正 (妊娠葛藤法に以下の条文を追記する) 第34条 費用負担 (1) 妊婦が居住する州は、出産および出産前 後のケアに関連する費用を負担する。費用 負担は、妊娠および出産に関する法定健康 保険の給付金に応じて行われる。 (2) 出産が行われた施設の運営者、出産支援 を行う資格のある者、出産支援を行った者、 およびその他の関連サービス提供者は、州 に対して直接この費用を請求することがで きる。 (3) 出産後、母親が出生登録に必要な情報を 提供した場合、州は、第 1 項に基づき負担し た費用を健康保険に返還を求めることがで きる。 (4) 詳細については、州法で規定する。
取得後 · 諸外国における妊娠を他者に知られたくない女性が出産する場合の法・制度及び母子の権利保護の在り方に関する調査研究報告書(令和7年度調査研究)(PDF/5.4MB)(16ページ) · 16ページ
第7条 妊娠葛藤法の改正 (妊娠葛藤法に以下の条文を追記する) 第 34 条 費用負担 (1) 連邦は、出産及び産前産後に必要な費用 を負担する。費用負担は、妊娠及び母性保護 のための法定疾病保険の報酬に準じて行 う。 (2) 出産支援が行われた施設の長、出産支援 を行った出産支援を行う資格を有する者そ の他の関係する出産支援提供者は、その費 用を直接連邦に請求することができる。 (3) 母が出産後、出生登録に必要な事項を申 告した場合には、連邦は、第 1 項の規定によ り負担した費用を償還するよう疾病保険に請 求することができる。 (4) 第 2 項及び第 3 項に規定する事務は、 連邦家庭・市民社会任務庁(BAFzA)が行 う。 (5) 第 3 項の場合には、身分登録官庁は、連 邦家庭・市民社会任務庁(BAFzA)に対し て、母の氏名および住所並びに仮名を通知 する。
取得後 · 諸外国における妊娠を他者に知られたくない女性が出産する場合の法・制度及び母子の権利保護の在り方に関する調査研究報告書(令和7年度調査研究)(PDF/5.4MB)(16ページ) · 16ページ
委員会修正案が最終的な法案となったが、野党は匿名の新生児引渡し・ベビークラッ ペ・匿名出産が容認されることを理由に投票を棄権し、結果として委員会修正案が全会一 致で可決した212223。 なお、同案審議の際、野党による反対意見のほか、ベビークラッペ等について否定的な 見解を示してきたドイツ倫理評議会をはじめとした有識者からも、匿名の新生児引渡し・ ベビークラッペ・匿名出産を容認することについて批判の声が挙がった。2425 また、ベビ ークラッペや匿名出産を実施していた団体側においても、内密出産法の是非の見解は分れ ている。
取得後 · 諸外国における妊娠を他者に知られたくない女性が出産する場合の法・制度及び母子の権利保護の在り方に関する調査研究報告書(令和7年度調査研究)(PDF/5.4MB)(17ページ) · 17ページ
イ.内密出産法の見直し 内密出産法について制定以降改正は行われていない。BMBFSFJ へのヒアリングにて改正 の予定を確認したものの、回答は得られなかった29。 2-1-3 内密出産法の法体系上の位置づけ (1)内密出産法の法体系上の位置づけ(法分野) 内密出産法は以下の法律に関連している。
取得後 · 諸外国における妊娠を他者に知られたくない女性が出産する場合の法・制度及び母子の権利保護の在り方に関する調査研究報告書(令和7年度調査研究)(PDF/5.4MB)(18ページ) · 18ページ
り、内密出産法は妊娠葛藤法を改正する形で施行された。ドイツでは妊娠葛 藤法に基づいて 1,600 か所以上の妊娠相談所が設置されており、内密出産法では、内密出 産制度を利用するために同相談所において内密出産に係る相談をすることを義務付けたた め、妊娠葛藤法においても妊娠相談所に係る条文について改正が行われた。 改定内容は以下のとおりである。 ■内密出産法制定による、妊娠葛藤法の改正内容30■ 1.妊婦に対する支援の強化 妊婦に対する支援の強化として、第1条及び第2条が改正された。 -匿名出産を希望する妊婦にとって、対面の相談で専門的な支援を受けることは非常に重要 である。相談はいつでも抵抗なく利用できるものでなければならず、信頼できる永続的な 制度でなければならない。このため、連邦は、母及び妊婦に対する支援並びに内密出産の制 度について周知する旨が定められた。
取得後 · 諸外国における妊娠を他者に知られたくない女性が出産する場合の法・制度及び母子の権利保護の在り方に関する調査研究報告書(令和7年度調査研究)(PDF/5.4MB)(18ページ) · 18ページ
の生活が困難と認められる場合には、妊婦がその身元を明らかにした上で、児童を養子に 出すことが勧められる。この場合においてもなお、妊婦が匿名での出産を希望するときに初 めて、内密出産の制度によることになる。(第 2 条第 4 項) 2.内密出産 内密出産法により定められた内密出産に関する規定は、妊娠葛藤法の第 6 章(第 25 条~第 34 条)に記された。 -内密出産は、妊婦が身元を明らかにしないで行う出産であり、内密出産が行われる場合に は、児童のために、母の身元を記録した出生証明書が相談所により発行される。相談におい て、内密出産を希望する妊婦には、内密出産の手続及び法的効果並びに児童及び父の権利 等について説明が行われる。内密出産のための相談は、養子縁組あっせん機関と協力して 行われる。(第 25 条) -内密出産をする場合には、妊婦は自分の仮名を定め、希望する児童の名を複数挙げる。
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-出生登録簿には、児童の氏名、生年月日及び性別が登録される。児童の氏名は、母の希望を 汲んだ上、所管の行政官庁が決定する。(同法第 21 条) ・家事事件及び非訟事件手続法の改正 -身分登録官庁は、内密出産による児童の出生の届出があった場合には、家庭裁判所に報告し なければならない。(家事事件及び非訟事件手続法第 168a 条) (これは、家庭裁判所が、必要に応じて、児童の後見人や里親を任命することができるよう にするための改正である。) ・民法典の改正 -内密出産により生まれた児童の母の親権(elterliche Sorge)は、停止する。(民法第 1674a 条の新設) -養子縁組には実親の同意が必要であるが、長期にわたり行方不明となっている親の同意は 従来から不要とされていた。
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養子縁組支援法では、養親に求められる条件、養子縁組あっせん機関によるあっせん業務 や成立後の縁組家庭への包括的な支援、国際養子縁組等に関する規定が定められているが、 養子の出自を知る権利について、養子縁組あっせん機関による情報提供の在り方や、出自を 知る権利の調査支援についても定めており、調査支援の対象について「内密出産法で生まれ た子の出生証明書の閲覧を行う際の支援も含む」と定められている。
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2-1-4 行政における、予期せぬ妊娠・出産をした女性に対し推奨する方針 BMBFSFJ へのヒアリングにおいて、妊娠相談所における相談では、他の支援や、母親の 名前を明らかにした上での養子縁組に関する説明も行われるところ、内密出産以外の支援 や人工妊娠中絶という選択肢もある中で、ドイツとして内密出産制度がどのような優先順 位のもと利用されるものと認識しているか確認したところ、「まず一番の目的は、妊婦が 医療的にサポートされた出産を行えるようにし、こどもと一緒に生きるという選択をする ための助けを提供することである。内密出産法に沿った相談においても、胎児の命を守る ことが出発点となっている。」との回答があった。
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できる限りは母親がこどもと一緒に生活することを提案するが、母子ともに生活するこ とが難しく、胎児の命が危ぶまれるようであれば内密出産につなげるといった方針といえ る。 2-1-5 内密出産制度の具体的な受入れのスキーム (1)対象者 BMBFSFJ は、内密出産法が適用される対象者の定義や範囲として、「妊娠を否定したり隠 したり、通常の妊婦支援制度の対象とならない女性たち」と示している3334。 女性の年齢は問わず、未成年者が制度を利用することも可能である。BMBFSFJ の相談員 向けガイドライン「内密出産(Die vertrauliche Geburt)35」では、未成年者の内密出産 が行われた際、保護者が情報提供を求めた際も、出産に関与した者(相談員、医療機関 等)は未成年者本人が同意した場合のみ情報提供が可能としている。 外国人も利用が可能であり、国籍・居住地(国外を含む。
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ア.判断能力が不十分な女性による内密出産の利用 BMBFSFJ による妊娠相談所向けの内密出産に関する FAQ において、「未成年者が十分な知 的能力と判断能力を有していない場合は、法定代理人の同意を得る必要がある」という記 載がある37。 BMBFSFJ へのヒアリングにおいて上記の規定について尋ねたところ「法定代理人もしく は両親の同意が必要になるかどうかを判断するのは、妊娠相談所となる」という回答であ り、実際に受入れを判断しているのは妊娠相談所のようであった。 この規定を逆手に取り、法定代理人(女性の父親等)が女性を妊娠させ、人工妊娠中絶 が間に合わず内密出産で出産させるといった悪用はないか、BMBFSFJ へのヒアリングで確 認したところ「そのような事例については承知していない」との回答があった38。
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イ.性暴力・虐待等で妊娠したとみられる女性が内密出産を希望する場合 ドイツでは、性的暴行、性的強要、強姦は刑法(StGB)第 177 条に基づき刑事責任に問 われる39。 性暴力・虐待等で妊娠したとみられる女性が内密出産の実施を希望した際に、妊娠相談 所において女性が刑事事件に巻き込まれていることに気付いた場合、女性の同意が得られ れば妊娠相談所がその旨を警察に通報することができる。しかし、女性が通報を拒否した 場合は、内密出産の守秘義務が優先される。これらの対応については未成年者・成年者を 問わない。 ウ.外国人による内密出産の悪用への対策 先述のとおり、内密出産は外国人であっても自分の身元を証明できるものの提示があれ ば利用できる。
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(2)内密出産の定義 ドイツの内密出産は、内密出産に係る相談を受ける妊娠相談所の相談員以外への匿名性 (仮名による医療機関の利用、公的保健制度が利用できないことに対する費用の補填)を 保障するものである(出自を知る権利の行使としてこどもが情報の開示請求を行うことが 可能であるが、母親が開示を拒むことも可能となっており、両者の意向が対立した場合に は、最終的に家庭裁判所が開示の適否を判断する。詳細は後述。)。 ただし、女性自らが家族等に相談することは妨げられないため、家族等に情報を明かし た場合であっても、内密出産の申請を取り下げさせられることはない。 なお、生まれたこどもは、養育環境への配慮から、主に養子縁組あっせん機関による仲 介あっせんを受け養子となることが想定されているが、内密出産法の規定上、養子縁組の 実施を定めているものではない。
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■内密出産制度の流れ■ (資料)先頁脚注の参照資料をもとに事務局作成 各手続の詳細は以下のようになっている。 ア.出産前 (ア)妊娠相談所での相談 内密出産を希望する女性は、妊娠相談所において内密出産制度の利用について相談する 必要がある46。妊娠相談所では、第一段階として女性に妊娠中・産後の経済的支援や生活 支援等の一般的な情報提供を行い、女性に内密出産制度の利用だけでなく母子が一緒に暮 らすことも検討させる。この時点では女性は匿名の状態である。 この相談の時点で、女性が内密出産(匿名性)の希望を取り下げ母子ともに暮らすこと を目指す場合、妊娠相談所より支援提供につなげる。また、名前を明らかにした状態で養 子に出す選択も可能である。人工妊娠中絶の可能期間で人工妊娠中絶を希望する場合は妊 娠葛藤相談に移行する。
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(イ)ヘルプライン48 妊娠葛藤法において、妊娠を他者に知られたくない女性に対する周知活動の一環として 365 日 24 時間体制のヘルプラインを設置しており、内密出産を希望する女性もヘルプライ ンを利用することが可能である。ヘルプラインは無料・匿名・多言語で利用可能であり、 電話・メール・チャットといった多様な相談方法を設けている。 イ.出産 (ア)妊娠相談所による医療機関等への通知 女性が内密出産を希望した場合、妊娠相談所は以下の機関に対し内密出産の実施を通知 し連携を図る。 ■内密出産において、妊娠相談所が通知・連携を図る機関■ 医療機関・助産師 :内密出産を希望する妊婦の存在と仮名を通知する。 青少年局49 :内密出産を希望する妊婦の仮名・出産予定日・医療機関等を通知する。 養子縁組あっせん機関:内密出産を希望する妊婦の存在・出産予定日を通知する。
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女性はどの医療機関を選んでも良いが、BMBFSFJ へのヒアリングでは「妊娠相談所によ って、ある程度内密出産の受入れ経験のある医療機関または助産師の利用が勧められるこ とはよくあると思われる。」との回答があった。 なお、医療機関に対し、内密出産の実施を受け入れる義務は内密出産法では定められて いない。しかし、特段の理由なく緊急で医療を必要とする妊婦を診察しない、または妊婦 の受入れを拒否することは、状況により刑法の救助義務違反50とみなされる可能性があ る。ただ、実際に罰則が与えられるかどうかは、個々のケースによる51。 出産時、妊娠相談所と連携した養子縁組あっせん機関は女性の出産に付き添う。なお、 内密出産法では女性自身に守秘義務はなく、家族・友人等の付き添いを希望することも可 能であるが、実際の付き添いの可否は妊娠相談所が判断する52。
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■内密出産子の出生登録と出生証明書の発行■ 1.内密出産子の出産後、医療機関は妊娠した女性(母親)から希望するこどもの名前を確認し、 身分登録所と妊娠相談所に以下の情報を通知する。 ・内密出産子の名前(母親が希望した名前) ・内密出産子の性別 ・内密出産子の出生日時 ・内密出産子の出生地(出産した医療機関および携わった関係者(医師・助産師)) ・(身分登録所に対してのみ)母親の仮名 2.身分登録所は以下の情報を用いて、出生登録簿に内密出産子の出生登録を行う。 ・内密出産子の氏名(母親の希望をもとに、その州の州法上管轄権をもつ行政官庁が決定す る)53 ・内密出産子の生年月日 ・内密出産子の性別 また、身分登録所は BAFzA に以下の情報を通知する。
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(イ)内密出産制度による養子縁組 内密出産制度を利用した場合、内密出産子の母親(実親)の「母親の配慮権(親権)」 は停止し、実親との親子関係は終了する。このため養子縁組に当たり実親の同意は不要と なる。 内密出産子は出生後、青少年局による官庁後見・保護が行われ、養子縁組あっせん機関 による養子縁組の手続が開始する。 なお、内密出産子を受け入れて養親となる人物については、特に国籍を定めておらず、 外国人が養親(国際養子縁組)となる可能性もある。しかし、BMBFSFJ へのヒアリングで は「国際養子縁組は実際にはほとんど起こりえないと考えられる」との回答があった57。 内密出産制度による養子縁組の後、16 年間は母親の匿名性が完全に保たれる。内密出産 子は 16 歳になった時点で「出自を知る権利」として、出生証明書の閲覧または写しを請 求する「閲覧権」の権利を持つ(詳細は後述)。
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(ウ)内密出産した女性へのアフターケア 内密出産した女性は元々困難な状況に直面していると考えられることから、出産後につ いても、妊娠相談所が様々なアフターケアを提供している。産後うつ等の可能性がないか フォローアップを行うほか、出産後の医療的ケアの受診も含め、心理的支援や相談援助を 提供している。 2-1-6 関係機関の役割分担等 (ア)関係機関の役割分担 内密出産制度における関係機関の役割分担は以下のとおりである。
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■関係機関の役割分担■ 機関名 機能 ドイツ連邦家族 高齢者・女性・ 青少年省 (BMBFSFJ) 政府省庁として内密出産制度を管轄 妊娠相談所の相談員向けガイドラインの発行 妊娠相談所の相談員資格研修用資料の発行 その他、内密出産に関する情報資料・プレスリリースの発行 内密出産に関する WEB サイトの運営 連邦家庭・市民 社会任務庁 (BAFzA) BMBFSFJ 傘下の実務機関 内密出産の電話相談「ヘルプライン-困っている妊婦さんへ」の運営 出生証明書の保管 内密出産子による閲覧権請求時の対応 妊娠相談所における1年間の内密出産実施状況の把握 州 妊娠相談所の設置審査及び設置責任 妊娠相談所における1年間の内密出産実施状況の把握 身分登録所の運営 身分登録所における内密出産子出生の通知対応 身分登録所 内密出産子が生まれた
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(イ)妊娠相談所の運営 妊娠相談所は妊娠葛藤法のもと、州の委託により民間団体や医療機関が運営している。 運営内容は国が定めた妊娠葛藤法に基づいて実施するが、費用の公的補助の費目等の一部 については各州の州法で定めている。 内密出産制度のための資格を持つ相談員とは、BMBFSFJ が作成したカリキュラムに基づ き、州で研修を受けた相談員を指す59。 (ウ)ヘルプラインの運営 ヘルプラインも妊娠葛藤法に基づいて実施されるが、運営は BMBFSFJ の下部機関である BAFzA による直営であり、ケルン市街にある BAFzA 本部内にヘルプラインの拠点を設置し ている。 なお、このヘルプラインの職員は、BAFzA が別途行う「女性に対する暴力ヘルプライ ン」の担当者が兼任している60。
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■医学的な処置の実施に関する法律■ ドイツ民法典(Bürgerliches Gesetzbuch (BGB))第 630e 条(情報開示義務)61 (1) 治療を行う者は、同意を得るために必要な全ての事情について患者に説明をする義務があ る。これには、特に、その処置の種類、範囲、実施方法、予想される結果とリスク並びにその 処置の必要性、緊急性、適切性および診断または治療に関する成功の見込みなどが含まれ る。説明には、複数の医学的に同等に適応があり、かつ一般的な方法が、大きく異なる負 担、リスク又は治癒の可能性をもたらす場合、その処置に代わる選択肢についても言及しな ければならない。 (2) 説明は、以下の条件を満たさなければならない。 1 治療を行う者、またはその処置の実施に必要な訓練を受けた者が口頭で行う。補足とし て、患者が文書で受け取る資料を参照することも可能である。
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内密出産においても医学的な処置は同法によることとしており、内密出産法で別途定め ているものはない。また、元々ドイツでは出産時における帝王切開等の医学的な処置の実 施について、妊婦本人のみの同意により実施が可能であり、一般的には医療行為の前に同 意書や説明書が用意され、妊婦が署名するものである。 妊婦が分娩中に意識を失い、緊急帝王切開が必要となった場合、ドイツ民法典第 630d 条62において、「緊急処置について適時に同意が得られない場合、患者の推定される意思に 合致する限り、同意を得ることなく処置を実施することができる。」と規定されており、 内密出産の妊婦が出産中に意識不明となった状態で帝王切開が必要になった場合、医師の 判断で処置が行われている63。
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(カ)妊娠相談所への第三者評価・監査の有無 妊娠相談所は妊娠葛藤法第 33 条の規定に基づき、内密出産に関する相談や制度の利用 を記録し、1年間の報告を所管の州当局を通じて、BAFzA に提出する義務があるが、国に よる第三者評価や監査等の実施の指定はない。
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2-2 出自を知る権利の保障 2-2-1 出自を知る権利の保障のための仕組み (1)内密出産法における「出自を知る権利」の概要 ドイツでは、ドイツ基本法第2条第1項65において、「出自を知る権利」を保障してい る。同項そのものは出自を知る権利について言及していない。しかし、1989 年に一家の子 に当たる人物が「自分は法律上の父親のこどもではない」と嫡出否認し、実の父親を知る ことを目的に「出自を知る権利」を求めて裁判を行ったところ、同裁判において「出自を 知ることができないことは、ドイツ基本法第2条に反する」という判決が下された。これ はドイツにおける出自を知る権利の議論の出発点となり、ドイツ基本法第2条第1項にお いて「出自を知る権利」を保障すると解釈したきっかけとなった6667。 内密出産においては、妊娠葛藤法第 31 条において、こどもの「出自を知る権利」を保 障している。
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■「出自を知る権利」で知ることのできる情報■ 母親の氏名 母親の生年月日 出生時の住所 (資料)先頁脚注資料参照のもとに事務局作成 母親側がこどもに自身の情報を知られたくない場合、母親は内密出産子が 15 歳になっ た時点で妊娠相談所に対しあらかじめ反対の意思表明ができる(詳細は2-2-3を参 照)。 このほか、国の実施機関向け広報資料69において「母親にこどもへメッセージを残すよ う推奨する」といった旨が書かれている。妊娠葛藤法の第 26 条第8項では、母親がこど もに手紙等の情報を残した際は養子縁組あっせん機関が保管することを規定している70。
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■妊娠葛藤法における、「出自を知る権利」に関する条文76■ 【要約】 子は、満 16 歳に達すると、連邦家庭・市民社会任務庁において出生証明書を閲覧することが できる。 母は、子に出自を知られたくない事情がなお存在する場合には、子が満 15 歳に達した日以 降、当該事情を相談所に説明し、母の身に及ぶおそれのある危険の防止措置等を協議した上で、 子に出生証明書を閲覧させないことができる。子が家庭裁判所に出生証明書の閲覧を申し立て た場合には、家庭裁判所は、母と子の利益を衡量して閲覧をさせるかどうかを決定する。 (以下、妊娠葛藤法の第 6 章第 31 条及び第 32 条の条文) 第 31 条 出生証明書を閲覧する子の権利 ⑴内密出産により出生した子で 16 歳に達したものは、連邦家庭・市民社会任務庁において保管 された出生証明書を閲覧し又はその複写を要求する権利を有する(閲覧権)。
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第3章 フランス 3-1 妊娠を他者に知られたくない女性が出産する場合の法・制度 3-1-1 フランスにおける一般的な妊娠・出産制度および内密出産等の法制度の概要 フランスにおける一般的な妊娠・出産制度の概要および内密出産・人工妊娠中絶等に関 する法制度の状況は以下のとおりである。 (1)法制度一覧 ■出産・内密出産・人工妊娠中絶等に関する法制度の概要■ 法制度の状況 妊娠・出産に関する 法制度・支援体制 法制度 ・社会保障法典(Code de la sécurité social e)に基づき、国の健康保険制度が適用される公立 医療機関であれば妊娠・出産に関する医療が利用 できる。 外国人対象 の有無 ・3か月以上フランスに滞在する外国人は対象とな る。 その他 支援体制 ・「乳幼児受入れ給付」と呼ばれる、出産一時金・育 児手当等の支援金を内包した制度がある。
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・妊婦には、「妊娠初期面談」という、生活面を含め た不安について確認する面談を受ける義務があ る。 ・母子保護センター(PMI)による心理ケアや家事派 遣の支援がある。 ・産婦人科にはソーシャルワーカーが配置されるた め、ソーシャルワーカーによる生活に係る相談支援 を受けることも可能である。 ・出産による退院後、48 時間以内に助産師の家庭 訪問が行われる。 内密出産の法制度 (妊婦がその身元情報を医 療機関等の一部の者のみ に明らかにして出産するこ とを保障する法制度) ・なし (匿名出産制度が中近世よりあるため、特に議論にならなかった ものとみられる。) 匿名出産の法制度 (妊婦がその身元情報を全 く明らかにせず医療機関に おいて出産することを保障 する法制度) ・あり (民法・社会活動及び家族法典および養子及び国家後見子の出自 へのアクセスに関する法律によって保障されている。
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また、妊婦は妊娠4か月までに「妊娠初期面談(Entretien prenatal précoce)」とい う、助産師またはソーシャルワーカーより、医療面だけでなく生活面での不安を確認する 面談を受けることが義務付けられており、この面談を踏まえて支援が提供される場合があ る。 厚生労働省の先行調査において記載しているとおり、フランスでは「匿名出産 (Accouchement sous X)102」制度があり、1993 年に民法(Code civil)に規定された。 同制度の前身となった制度は 19 世紀から、さらにその前身は 16 世紀からと歴史は古い。 一方で、一部の者にだけ個人情報を明かす内密出産や、医療機関等での匿名の児童の受入 れ(いわゆる「赤ちゃんポスト」)に係る制度は存在しない。
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ウ.2002 年法による、現行制度の成立 1984 年の常設遺棄事務所廃止後、匿名出産子に対し母親が残す情報に係る法制度はな く、1993 年にはこどもから母親に対する強制認知の請求は不可能とされる等、匿名出産子 の「出自を知る権利」に対する保障はなされておらず、母親の匿名性の保障は強固になる 流れが続いていた。 この時代の匿名出産の現場においては、助産師等による可能な範囲での情報収集等は行 われていたものの、匿名出産子の出自に関する情報が乏しいケースが多かった。こうした 状況が、フランスにおける自己の出自へのアクセスを求める運動につながったものと思わ れる。 1995 年、出自を知る権利のための行動連絡組織(Coordination des Actions pour le Droit a la connaissance des Origines(以下「CADCO」という。
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adoptées et pupilles de l'Etat:loi Royal(以下「ロワイヤル法」という。))が成立 し、個人的ルーツへのアクセスに関する国家諮問委員会(Conseil National pour lAccés aux Origines Personnelles(以下「CNAOP」という。)123)が創設された。 これにより、匿名出産で出生したこどもは CNAOP を通じて、自己の出生した状況に関す る情報の開示を求めることができるようになった。ただし、情報開示には母親の同意が必 要であるなど、母親の意思が尊重される仕組みとなっている(詳細は後述)。 CNAOP 設立をもって、16 世紀に成立した匿名出産は、2025 年現在の形態に至ることとな った。
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女性に匿名出産の経験があった場合には CNAOP にその旨 を連絡し、CNAOP は匿名出産子に女性の身元情報は伝えず、遺伝子疾患に係る情報のみを 伝える。また、匿名出産子側でも自身の遺伝子疾患が見つかった場合は CNAOP を通じて女 性(母親)に情報を渡すこととなり、双方向の遺伝子疾患に関する情報伝達の仕組みが制 度化された135。 3-1-3 匿名出産制度の法体系上の位置づけ 匿名出産制度は以下の法律において制定されている。 ・民法(Code civill) ・社会活動及び家族法典(Code de l'action sociale et des familles:CASF) ・ロワイヤル法(loi Royal) 具体的な法の内容は以下のとおりである。 ■匿名出産制度に関する法律■ 【民法】 ・第 57 条 ※一部抜粋 児童の名前は、その父親と母親によって選ばれる。
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【社会活動及び家族法典(Code de l'action sociale et des familles:CASF)】 ・L222-6 条 出産に際し、自身の入院及び身元について医療機関に対し守秘するよう求める全ての女性 は、その求めがもたらす法的な結果及び全ての人にとって自己の出自と歴史を知ることは重要 であることについて説明を受け、自身が同意する限りにおいて、自身及び児童の父親の健康状 態並びに児童の出自及び出生の経緯を残すよう、さらに、自身の身元についてはこれを厳封さ れた封書に入れて残すよう促される。身元の秘密についてはいつでもこれを解除できること、ま た、解除を望まない場合には、本法典 L147-6 条の適用以外でこれが通知されることはない旨 説明を受ける。
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■匿名出産に関する情報159■ ⚫ こどもを養育する場合に受けられる経済的支援 ⚫ 匿名出産した場合の手続の概要 「閉じたファイル」(後述)の中に、自身の情報または自身が特定されない情報を残す選択が 可能(自身と父の健康に関する情報、こどもの出身地に関する情報、妊娠に至る経過に関す る情報 等)。 「閉じたファイル」は県の担当機関長によって保管され、こどもが 18 歳になり閲覧を希望 した際も母親の同意を得ないと開くことはできない。 出産後の 2 か月間は母親の猶予期間であり、匿名出産を撤回することが可能(なお、引取 りは母親のほか、父親でも可)(猶予期間中の子は国家後見子の候補として 2 か月間登録 される)。
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3-1-6 関係機関の役割分担等 (ア)関係機関の役割分担 匿名出産制度における関係機関の役割分担は以下のとおりである。 ■関係機関の役割分担■ 機関名 機能 県の児童社会扶 助部門(ASE) 「CNAOP の連絡員」の所属 匿名出産制度における実質的な運営 匿名出産実施におけるトラブルの責任 匿名出産で生まれたこどもの保護 匿名出産で生まれたこどもの養子縁組あっせん 「閉じたファイル」及び「非特定ファイル」の保存 個人的ルーツへ のアクセスに関 する国家諮問委 員会(CNAOP) 匿名出産制度における、匿名出産で生まれた児童の出自を知る権利を保 障 「CNAOP の連絡員」の任命 CNAOP の 連絡員 匿名出産に関する情報提供及び相談対応 匿名出産実施の責任 「閉じたファイル」の作成 児童出生届の作成 「匿名出産の証明書」の発行及び「
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3-2 出自を知る権利の保障 3-2-1 出自を知る権利の保障のための仕組み (1)匿名出産制度における「出自を知る権利」の概要 フランスの匿名出産は、1974 年のデクレにおいて、女性(母親)は身元を証明する書類 が不要とし、女性の身元に関するあらゆる調査を禁止している。 また、1984 年の常設遺棄事務所廃止後、匿名出産子に対し母親が残す情報に係る法制度 はなく、匿名出産の現場において助産師らによる可能な範囲での情報収集等は行われたも のの、匿名出産子の出自に関する情報は乏しいケースが多かった。また、CNAOP 成立以前 の匿名出産子の出自情報は、児童相談所・産科・乳児院、もしくは養子縁組あっせん機関 において保管されており、匿名出産子が出自を知ることを希望した際はそれぞれ個別に問 い合わせる必要があった187。
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3-3 フランスにおける人工妊娠中絶の法制度 3-3-1 法制度の概要 フランスにおける、人工妊娠中絶に関する法制度の状況は以下のとおりである。 ■人工妊娠中絶に関する法制度の状況■ 法律上の扱い 合憲(元々合法であったが、2024 年に憲法を改正) 法律上の週数 妊娠 14 週以内 (フランスでは受胎後からの週数で数えるため、日本の表記では 16 週) (妊娠7週(日本の表記では9週)までは、経口中絶薬による処置も可能) 法律上の条件 条件なし(女性の自由な意思で人工妊娠中絶をすることが可能) 処置施設 ・経口中絶薬は母子保護センター(PMI)、かかりつけ医、助産師より無料で 供給される。また、処方箋があれば一部の薬局でも供給可能である(匿名 での申請も可)。 ・吸引法の手術の場合、医療機関で処置される。
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第4章 韓国 4-1 妊娠を他者に知られたくない女性が出産する場合の法・制度 4-1-1 韓国における一般的な妊娠・出産制度および内密出産等の法制度の概要 韓国における一般的な妊娠・出産制度の概要および内密出産・人工妊娠中絶等に関する 法制度の状況は以下のとおりである。 (1)法制度一覧 ■出産・内密出産・人工妊娠中絶等に関する法制度の概要■ 法制度の状況 妊娠・出産に関する 法制度・支援体制 法制度 ・国民皆保険制度(국민건강보험)により医療費は受 診者の一部負担となっており、妊娠・出産に係る医 療も同様である。自己負担額は医療機関の規模等 によって異なる。 (※バウチャー(바우처)と呼ばれる支援制度あり) 外国人対象 の有無 ・韓国に居住する外国人も対象となる。 その他 支援体制 ・国民健康保険による診療費支援がある。
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)(위기임신및보 호출산지원과아동보호에관한특별법:위기임신보호출산법)」が 2023 年 10 月に成立し、2 024 年7月より施行されている。 危機妊娠保護出産法の成立は、韓国社会における未婚女性やそのこどもに対する風当た りの強さ、2011 年の養子縁組特例法の改正、およびベビーボックスでのこどもの受入れの 増加という、複数の社会問題が影響している。 イ.人工妊娠中絶 人工妊娠中絶についての法制度はない。従来、刑法において人工妊娠中絶は「堕胎罪」 とされ、一部の医学的・優生学的・倫理的事由がある場合を除き、全面的に禁止されてい た。 2019 年、憲法裁判所が「妊婦の自己決定権を過度に侵害するものであり、違憲」と判決 を下し、国会に 2020 年末までに改正案を出すよう求めた。
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法」を代表発議した242243。追って9月 21 日、国会保健福祉委員会がこれまで発議された保 護出産(内密出産)の法案を統合・調整し、保護出産制度の要件と手続を明示した危機妊 娠保護出産法を発議した244。 危機妊娠保護出産法は 2023 年 10 月、国会本会議で在席議員 230 人中 133 人の賛成を得 て成立、2024 年7月 19 日より施行となった245。 危機妊娠保護出産法に基づき、施行とともに制度に関する相談ダイヤル「危機妊婦相談 電話 1308(위기 임신 상담전화 1308)」が設置された。保護出産を望む女性は電話相談 か、市・道別に1ヶ所ずつ設置された専門の相談機関(「地域相談機関」と呼称される) における対面相談の上、保護出産制度の利用を検討することとする体制が作られた。
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(4)施行後の制度の見直し ア.保護出産の実施状況把握に関する規定 危機妊娠保護出産法では、保護出産の実施状況を把握し必要に応じて法改正を検討する ために、同法第4条において実態調査を3年ごとに実施することを定めている(初回の調 査実施は 2027 年夏になると見込まれる)。 ■危機妊娠保護出産法による、実態調査実施の条文246■ 危機妊娠保護出産法 第4条(実態調査 等) ① 保健福祉部長官は、危機妊婦支援及びその子の保護のための政策立案に活用するため、3 年ごとに危機妊婦とその子に対する実態調査を実施し、その結果を公表しなければならな い。この場合、保健福祉部長官は、保健福祉部令で定めるところにより、青少年危機妊婦等に 対する実態調査を併せて実施することができる。
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4-1-5 危機妊娠保護出産制度の具体的な受入れのスキーム (1)対象者 危機妊娠保護出産法では、同法が適用される対象者を「危機妊婦」と呼ぶ。危機妊婦の 定義や範囲として、「妊娠中の女性および分娩後6か月未満の女性で、経済的・心理的・ 身体的理由等により出産及び育児に困難を経験している女性」と示している。同法上で は、「経済的・心理的・身体的理由等により出産及び育児に困難を経験している女性」の うち「妊娠中の女性」が「危機妊婦」、「分娩後6か月未満の女性」が「危機産婦」と呼ば れる255。危機産婦は危機妊娠保護出産法第 14 条に基づいて、出産後であっても自身の出産 情報を非識別化し、こどもの保護を求めることができる(詳細は(3)実施のスキーム ウ.出産後において記載する)256。 なお、外国人は保護出産の対象外である。
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4-2 出自を知る権利の保障 4-2-1 出自を知る権利の保障のための仕組み (1)危機妊娠保護出産法における「出自を知る権利」の概要 韓国において、出自を知る権利については法律上では明記されていないが、家族関係登 録法の証明書において父母の名前が記載される仕組みとなっている。 危機妊娠保護出産法では、保護出産子による出生証明書の公開請求(同法上では「証明 書開示請求」と表記される)を可能とすることで、保護出産で生まれたこどもの出自を知 る権利を保障している。証明書開示請求は成人に限らず未成年でも法定代理人(養親等の 保護者)の同意があれば可能である。しかし、実親の個人を特定する情報は、実親本人の 同意がなければ開示されず、請求人(保護出産子)の出生背景情報のみ開示される277278。
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4-3 韓国における人工妊娠中絶の法制度 4-3-1 法制度の概要 韓国における、人工妊娠中絶に関する法制度の状況は以下のとおりである。 ■人工妊娠中絶に関する法制度の状況■ 法律上の扱い 法制度なし ※刑法において人工妊娠中絶は「堕胎罪」とされ、一部の医学的・優生学 的・倫理的事由がある場合を除き、全面的に禁止されていた。 2019 年憲法裁判所が「妊婦の自己決定権を過度に侵害するものであ り違憲」と判決。国会に 2020 年末までに改正案を出すよう求めた。し かし、議論は難航し同年末までに成立できず、該当する刑法の条項(第 269 条・第 270 条)が失効する形で堕胎罪が無効となった。
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4-4 韓国における養子縁組の法制度 4-4-1 法制度の概要 韓国における養子縁組は以下の3種類に分けられる。 ■韓国における養子縁組■ 民法第 866 条における「一般養子」 (養親・実親の両方と法的親子関係を築く養子縁組) 民法第 908 条における「親養子」 (断絶型の養子縁組。連れ子養子縁組に用いられることが多い) 養子縁組特例法における養子縁組 (18 歳未満の要保護児童を対象とする、国内外の養子縁組) ここでは養子縁組特例法における養子縁組について記載する。 先述のとおり、朝鮮戦争以降の韓国において、韓国人の家庭に対する価値観として一定 の背景を持つ養子は受け入れ難いものだったことから「海外養子縁組」が主流であった。
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4-5 母子に対する支援の内容 4-5-1 妊娠・出産に関する一般的な支援 (1)金銭的な支援 先述のとおり、韓国では国民皆保険制度により医療費は受診者の一部負担となってお り、妊娠・出産にかかる医療も同様である。ただし、妊娠・出産にかかる医療では国民健 康保険による診療費の支援に加え、「国民幸福カード」という名称のバウチャーカードが 支給され、産婦人科の健診や処方箋薬代、薬局での買い物に使用できる等、他の疾病と比 べると支援が多い。 また、2022 年には「児童福祉法(아동복지법)」の改正により、「危機妊娠・出産支援事 業(위기임신 출산지원사업)」という取組が開始され、その中で若年層・低所得者の妊婦 や夫婦を対象とした支援が行われた。 具体的な支援内容は以下のとおりである。
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4-6 危機的妊娠及び保護出産の支援並びに児童保護に関する特別法(略称:危機妊娠保 護出産法) 条文 [施行 2024 年 7 月 19 日] [法律第 19816 号、2023 年 10 月 31 日、制定] 第 1 章 総則 第 1 条(目的) この法律は、経済的・心理的・身体的理由等により出産及び養育に困難を経験 している妊産婦の安全な出産を支援し、その胎児及び子である児童の安全な養育環境を保 障することにより、実母及び実父とその子の福祉増進に寄与することを目的とする。 第 2 条(定義) この法律で使用する用語の意味は次のとおりとする。 1. 「危機妊産婦」とは、「母子保健法」第 2 条第 1 号に定める妊娠中の女性(以下「危機妊 婦」という。)及び分娩後 6 ヶ月未満の女性(以下「危機産婦」という。
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親家族福祉施設」という。)又は「社会福祉事業法」第 2 条に基づく社会福祉施設(以下「社 会福祉施設」という。)を設置・運営する者に入所を請求することができる。 ② 第 1 項による要請を受けたひとり親家族福祉施設又は社会福祉施設の長は、特別な事由 がない限り、危機妊産婦の保護施設入所に協力しなければならない。 ③ 地域相談機関の長は、出産後、家庭で産後ケアを行いたいと希望する危機妊産婦に対し、 「母子保健法」第 15 条の 18 に基づき、国又は地方自治体が支援する産後ケアヘルパーの 利用を連携することができる。 第 3 章 保護出産 第 9 条(保護出産申請) ① 第 7 条第 2 項及び第 3 項に基づく相談を受けた危機妊婦で保 護出産を希望する者は、その相談を受けた地域相談機関の長に対し、自らの意思決定に基 づき保護出産を申請することができる。
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第 4 章 児童保護 第 11 条(出生事実の通知等)① 医療機関に従事する医療人は、当該医療機関において保護 出産を通じて児童が出生した場合、出生事実を確認するため、次の各号の事項(以下「出生
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第5章 アメリカ 5-1 妊娠を他者に知られたくない女性が出産する場合の法・制度 5-1-1 アメリカにおける妊娠を他者に知られたくない女性が出産する場合の法・制度 アメリカにおける一般的な妊娠・出産制度の概要および内密出産・人工妊娠中絶等に関 する法制度の状況は以下のとおりである。 (1)法制度一覧 ■出産・内密出産・人工妊娠中絶等に関する法制度の概要■ 法制度の状況 妊娠・出産に関する 法制度・支援体制 法制度 ・なし (公的な健康保険については、低所得者向けの保険 制度「メディケイド(Medicaid)」に限られる。低所 得者の妊婦は妊娠・出産に関する医療について医 療給付を受けることが可能だが、一般的には自己 負担となるため民間の医療保険に加入し保険金を 受け取る。) 外国人対象 の有無 ― (外国人も自己負担となる(一般的には民間の医療 保険に加入し保険金を受け取る)。
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5-2 出自を知る権利の保障 5-2-1 出自を知る権利の保障のための仕組み アメリカでは「できる限りその父母を知る権利」を保障する児童の権利に関する条約を 批准しておらず、連邦政府としての出自を知る権利に関する一般法はない。そのため、各 州の判断に委ねられているが、各州において養子縁組や生殖補助医療といった個別制度に おいてそれぞれ必要と判断した範囲で出自を知る権利を認めている。なお、乳児避難所法 に基づき引き渡された乳児は身元不明となるため、実親およびその家族を知る手段が保障 されていない。これは乳児避難所法が実親およびその家族の匿名性を何より保障している ためである。 以下では、ニュージャージー州およびアイダホ州における取組について記載する356。 (1)ニュージャージー州 中央養子縁組登録制度があり、州内の養子全員が生みの家族や経歴に関する情報を登録 機関に請求できる。
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5-3 アメリカにおける人工妊娠中絶の法制度 5-3-1 法制度の概要 アメリカにおける、人工妊娠中絶に関する法制度は以下のとおりである。 ■人工妊娠中絶に関する法制度の状況■ 法律上の扱い 州によって異なる。 (1973年の「ロー対ウェイド判決」により人工妊娠中絶はアメリカ全州で合 法とされていたが、2022 年 6 月 24 日の「ドブス対ジャクソン女性保健 機構判決」により人工妊娠中絶の合法性や規制は各州法に委ねられるこ ととなった。) 法律上の週数 合法の州においても、州によって異なる。 法律上の条件 合法の州においても、州によって異なる。 処置施設 産婦人科・婦人科の診療所、人工妊娠中絶専門の診療所、総合病院 費用 州・施設によって異なる(およそ 600 ドル~2,000 ドル)358。 備考 ・合法の州においては、人工妊娠中絶について父親に当たる男性の同意は 不要。
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5-4 アメリカにおける養子縁組の法制度 5-4-1 法制度の概要 アメリカにおける養子縁組は州法の管轄であり、断絶型・非断絶型のどちらの種別かに ついても州によって異なる。その一方で、契約型の養子縁組は全州で実施しておらず、実 親の希望により行われる養子縁組であっても、養子縁組の成立には裁判所による判決を経 る必要がある。 養子縁組の件数のカウント方法も州によって「成立件数で数える」「申請件数で数え る」と異なっており、正式な数を把握することは難しい。
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5-5 母子に対する支援の内容 5-5-1 妊娠・出産に関する一般的な支援 農務省による児童栄養支援の一環として、低所得の妊婦、授乳中の女性、および5歳未 満の児童の健康管理と栄養を支援する連邦援助プログラム「女性、乳児、児童のための特 別栄養補助プログラム(Special Supplemental Nutrition Program for Women, Infants, and Children:WIC)」がある。
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第6章 イギリス 6-1 妊娠を他者に知られたくない女性が出産する場合の法・制度 6-1-1 イギリスにおける一般的な妊娠・出産制度および内密出産等の法制度の概要 イギリスにおける一般的な妊娠・出産制度および内密出産・人工妊娠中絶等に関する法 制度の状況は以下のとおりである。 (1)法制度一覧 ■出産・内密出産・人工妊娠中絶等に関する法制度の概要■ 法制度の状況 妊娠・出産に関する 法制度・支援体制 法制度 ・1946 年国民保健サービス法(1946 National Health Service Act)に基づき、国民保健制度 (NHS)が適用される公立医療機関であれば妊娠・ 出産に関する医療・処方箋が無料となる。 (※他の疾病の診療も無料だが、処方箋は有料で ある(ウェールズは無料)。また、歯科診療は有料で ある。
取得後 · 諸外国における妊娠を他者に知られたくない女性が出産する場合の法・制度及び母子の権利保護の在り方に関する調査研究報告書(令和7年度調査研究)(PDF/5.4MB)(175ページ) · 175ページ
「LSP」という。384385)において、「秘匿された妊娠(Concealed Pregnancy)」(以下「CP」 という。)または「否定された妊娠(Denied Pregnancy)」(以下「DP」という。)に関する ガイドラインを作成し、各機関にて支援が実施されている。なお、CP・DP に対する支援 は、各自治体の LSP において、生まれたこどもに対する児童虐待防止、および未成年者に よる妊娠に対する児童保護、精神疾患/学習能力・判断能力/被暴力等の問題がある妊娠 中の女性への保護の観点から行われている。また、妊娠・出産・出産後の生活について、 母子ともに暮らすことを前提とした支援(出産前のカウンセリングや医療・看護・メンタ ルヘルスケアの支援、保育の支援、住宅に関する支援等)が設計されている。
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6-4 イギリスにおける養子縁組の法制度 6-4-1 法制度の概要 イギリスでは断絶型の養子縁組のみ行われており、その多くが児童保護422のための養子 縁組であるとみられる。児童保護の目的からこどもが養子に出る場合、自治体(県)の児 童福祉担当やその地域の養子縁組あっせん機関を通じて養子縁組を希望する世帯とマッチ ングされ、裁判所の決定をもって養子縁組が成立する423。 こどもの保護を目的とした養子縁組が多い理由に、再婚家庭が連れ子養子縁組を行う必 要性は低い424こと、また児童保護体制の変遷が挙げられる。 イギリスでは 1940 年代まで児童保護は養護施設での養育が主流であったが「養護施設 での養育では、施設で育ったこどもたちが自身に対するスティグマを払拭できない」とし て 1950 年代以降は里親制度や養子縁組による養育への切替えが行われた425426。
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6-4-2 養子縁組における出自を知る権利 (1)出自を知る権利の保障のための仕組み 出自を知る方法としては大きく2つに分かれ、「生まれた当時の出生証明書(Original Birth Certificate)」の管理者である GRO に取り寄せる方法か、地方自治体の養子縁組あ っせん機関による「養子縁組記録」を閲覧する方法がある。 先述のとおり、イギリスの出生証明書は出生登録によって実親の名前が記載されるが、 イギリスの養子縁組は断絶型養子縁組であるため、養子縁組成立以降は「出生証明書」に 代わり「養子証明書(Adoption Certificate)」という証明書が発行され、養子証明書の 親の名前欄には養親の名前が書かれることとなる。このため、イギリスの養子縁組におけ る出自を知る権利とは、実質的には「生まれた当時の出生証明書」を取り寄せる権利とな っている。
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6-4-3 養子縁組における支援 イギリスでは、養子となるこどもについて、乳幼児期に様々な虐待等の経験を経て、ト ラウマ・喪失感を持つこどもが多いと認識されており、養子縁組世帯に向けて様々な公的 支援制度が用意されている。養子縁組世帯向けの支援制度は一般家庭向けの支援制度より さらに細分化されており、養子となったこどもが持つそれぞれのニーズに対し、特定の支 援ができるよう設定されている445。 具体的な支援内容は以下のとおりである。 ア.養子縁組および特別後見支援基金446447 教育省では、養子に迎えたこどもが過去の実親等との経験からトラウマや情緒的・行動 的な困難に直面している場合のためのケア資金「養子縁組および特別後見支援基金 (Adoption and special guardianship support fund)(以下「ASGSF」という。)」の給付 を行っている。
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第7章 まとめ 7-1 各国に関するまとめ 7-1-1 妊娠を他者に知られたくない女性が出産する場合の各国の法制度の比較表 各国における、妊娠を他者に知られたくない女性が出産する場合の法制度および比較は 以下のとおりである。
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7-1-2 ドイツ ドイツの内密出産制度においては、内密出産法施行以前より設置されていた妊娠葛藤法 に基づく妊娠相談所が重要な役割を担っている。特に内密出産の実施の責任は妊娠相談所 にあること、また妊娠相談所設置の責任は州の管轄局にあることから、州・妊娠相談所に おける責任が重くなっているといえる。 また、妊娠相談所だけでなく、BAFzA の直営による相談支援も内密出産法施行以前より 実施されており、内密出産制度を実施する上で重要となる機能があらかじめ整備されてい た事情がうかがわれた。 こどもの出自を知る権利の保障は、出生証明書の作成と開示によって担保されるが、当 該証明書で把握できる情報は「母親の氏名・母親の生年月日・出生時の住所」と少ない。
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